学級活動(1)子どもが自信をもって司会をこなせるようになるポイント
子供たちが学級会の回数を重ねれば、果たして上手に話合いができているといえるでしょうか。子供たちに話合いや司会の技術の力をつけさせたければ、「ここを意識して話合いをしなさい」と目的やテーマを与えることが必要です。子供たちが自信を持って役割を果たせるよう、司会や提案者の役割について考えていきましょう。
執筆/福岡県公立小学校教諭・大嶌裕也
目次
司会の役割① 意見を引き出して次につなぐ
多様な意見を引き出す
子供たちの意見を一覧表にまとめて手元に置いておくことで、発言者の確認や意見の引き出しに役立ちます。
次につなぐ
意見が出そろったら、比べ合いを行います。ここで、「どの意見に賛成ですか?」と聞いても、また賛成か反対かの意見を出し合うことになり、話合いが振り出しに戻ることもありえます。次につなぐためにも、「出た意見の中で、より活動の目的に合うのは、どれですか?」と問いかけたり、理由がなければ、「なぜ、そう考えたのですか?」と尋ねたりできるよう指導しましょう。
司会の役割② 効率のよい進行
効率のよい進行を行うためには、場面に応じた対応のポイントがあります。また、意見を整理、分類していく力も必要です。
対応ポイント
司会の子供たちに、こんなときにはこうするとよいということを事前に教えておくことで、効率のよい進行につながります。
1.話題がそれたときの対応
例)「今は、○○について話し合っているので、○○については、後で話をします」
2.意見が行き詰まったときの対応
(例)「周りの人と○○について2分間話し合って、考えをまとめてください」
(例)「提案者は○○の思いを持っています。みなさん、もう一度話合いの目的を確認して考えてみてください」
3.折り合いがつかないときの対応
(例)「意見が分かれていて、なかなか決められません。まとめられる意見はないですか?」
短冊を使って意見を整理、分類する
似た意見を1つにしたり、意見をいくつかに分類したりすることも司会の役割です。フロアの子供たちから、整理、分類の意見が出ることもあります。事前に子供たちの意見を短冊に書いておけば、整理や分類もしやすくなります。
司会の役割③ 話合いのまとめ方を見通す
みんなの総意としてまとめるために、まとめ方を見通す
話合いは学級のみんなで行っています。みんなが納得できる意見を選んだり、意見のよいところを取り入れながら納得したりするなどの方法で、一人ひとりを大切にした決定をしなければなりません。そのために、①いくつ決める、②優先順位を決める、③工夫やアイデアを見つけるなど、見通しを持たせておきましょう。
事前にシミュレーションを行う
子供たちに自信をつけるためにも、事前に教師と司会グループでシミュレーションを行い、不安を取り除いておくことが大切です。
シミュレーションの際には、「何のために活動をするのか」「何のために話し合うのか」を必ず理解させるよう指導します。子供たち自身が話合いの目的、ゴールがわかっていることが重要です。そのために、板書を計画させて、話合いの流れを見通させましょう。また、提案者の思いや願いを理解できているかを確認しましょう。
提案者の役割 問題意識を高めさせ、共通理解させる
提案者が説明する提案理由を聞くことで、話し合う目的が明確化され、みんなで話し合って解決していく動機づけになります。
思いや願いを込めた提案理由
①現状の問題点
②考えられる解決の方法
③解決後のイメージ
①〜③が書かれた提案理由は、合意形成の拠りどころになります。折り合いがつかず、合意形成が難しいときや、話合いの目的を確認したいときに考えるヒントになっていることが大切です。
「司会をしたい」という子供が増えれば話合いが上達する!
学級会で司会という役割を果たし、教師や学級の仲間から認められれば、自信をつけて、「またやりたい!」と思う子供が出てくるでしょう。司会を上手にできることを経験した子供は、フロアでも友達の意見をよく聞いたり、自分の考えをわかりやすく伝えたりする力が高まります。
なすことによって学ぶ
司会の振り返りを次の学級会の司会者へ
司会の経験を子供たち自身で生かせるように、今回の話合いから次回気をつけるべきことを学級会コーナーに掲示しておくとよいでしょう。実践していくことで経験を積む学級会は、失敗から学ぶこともあります。教師は長い目で見守り、失敗を子供の成長過程と捉えましょう。
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小五小六』2020年10月号より