子供とのコミュニケーションで学級づくり【授業中の指示】

クラスが乱れがちな11月。今年度の後半を子供たちと楽しく過ごすために、クラスを落ち着かせる「子供との関わり方」について考えます。ここでは、授業中のシーンについて解説します。

お話しを伺ったのは…
千葉県公立小学校教諭・飯村友和
神奈川県公立小学校校長・小嶋千里
岐阜県公立小学校教諭 杉本大昂

子供とのコミュニケーションで学級づくり【授業中】

子供たちの様子を見るポイントと留意点

  • 授業開始時
    (休み時間との切り替えができているか)
  • 学習準備
    (学習用具が出ているか、忘れものはないか)
  • 姿勢保持、規律のゆるみ
    (正しい姿勢ができているか、上履きのかかと踏みなどはないか)
  • プリントの配り方、集め方
    (スムーズに回せているか、押し付けられていないか)
  • 子供たちの様子
    (子供たちが声をかけ合っているか)

(小嶋千里)

授業の導入にひと工夫、授業の質を上げることも重要

荒れ防止の対策として、授業の始まり方をひと工夫し、学習クイズからテンポよくスタートするのもよいでしょう。

しかし何よりも授業の質を上げ、楽しい学びをつくることが重要です。そのうえで、全体指示をしっかり明確に出すことを最優先にします。また、しっかりやろうとしている子供たちをほめる、認めるということを徹底しましょう。

(小嶋千里)

合言葉を使って正しい行動に気付かせる

チャイムが鳴り終わったときに、全員が座っていたら「切り替えフラッシュ」。しっかり前を向いていたり、先生のほうを向いて話を聞いていたら、「目力ビーム!」など、合言葉を使って、子供たちを「叱る」より、求められている行動に気付けるようにしていきます。ポイント制にして、ポイントがたまったら好きなレクをしてもよいでしょう。

(小嶋千里)

合言葉を使って正しい行動に気付かせる

乱れがちな子には身ぶり手ぶりでコミュニケーション

言葉で注意するよりも、手ぶりなどで視覚的に伝えるとより効果的です。

(小嶋千里)

「お口はミッフィー」

ほめる・認める声かけで暗示がけして荒れていない子を安定させる

落ち着いてきちんとやっている子を、まずは見てほめます。さらに「このクラスは、やるときにはきちんとやる子がたくさんいるね」と、言葉で暗示がけをします。

荒れがちな子やグループがいたとしても、まずは荒れていない他の子を安定させることを優先します。そちらをほめ、全体をしっかりさせることが重要。そのうえで、気になる子にアプローチをします。しかし、できていないときにいきなり、「だめでしょう」と指摘するのではなく、「どうしたの?」と話を聞くようにします。

すると、その子なりの言い分があるかもしれません。もちろん、それでもダメなときには叱ります。その際にも「先生は、あなたがこの失敗から学んでくれることを信じているよ」「先生はあなたのことが大切だから叱るんだよ」というフォローは必ず入れます。

しかし、問題を起こしがちな子も、学校にいる間ずっと不適切な行為をしているわけではありません。できるだけその子が普通にしているときに多く関わるようにして、できているときは認めほめてあげるようにします。「集中力がついてきたね」「お兄さんになってきたね」「さすがだね」と言葉で暗示がけをします。

とにかくプラスのところに目を向けてほめること。それによって暗示がけをすることを心がけましょう。

(飯村友和)

「集中力がついてきたね」

ダレそうになったら、身体を動かす活動を入れる

「全員起立。かけ算九九9の段を言ったら座ります」

じっと座っているだけの授業は退屈です。じっとしているのが苦手な子には負荷がかかります。立ち歩いて意見交換をする時間をとる、ペアで説明をするなど、子供たちの様子を見て、飽きを緩和するような活動を入れてあげるようにします。

さらにダレそうな雰囲気を感じたら、「全員起立。かけ算九九の9の段を言ったら座ります」「ノートを持って友達と意見交換してきましょう」など、動く活動を取り入れることで、ダレそうな雰囲気を変えることにつながります。

(飯村友和)

荒れを生まないために学習環境を整える

荒れを生み出さないためには、教室や学校の中に一人ひとりが安心できる環境をつくることがまず鉄則です。

学級には非常に多種多様な子供が在籍しています。文部科学省の調査(2012)によれば、人とコミュニケーションがうまくとれないなど、発達障害の可能性のある小中学生は6・5%(推計60万人)に上るそうで、これは40人学級で、一学級につき2、3人の割合になると言われています。

そういった困り感のある子供たちも含めて、どの子にとっても安心して授業が受けられる環境をつくることが肝心だと考えます(バリアフリーではなく、インクルーシブの考え方)。

その考えを具現化していくために私が意識しているのが、「ユニバーサルデザイン」という考え方です。「ユニバーサルデザイン」とは「年齢や能力、状況などにかかわらず、できるだけ多くの人にとって使いやすいように製品や建物、環境などをデザインする」という考え方です。

つまり、困り感の強いAさんのために環境を整えてあげるのではなく、みんなにとってそのほうが使いやすい、安心できるという環境を整えるということです。例えば次のような工夫が考えられるでしょう。

① 掲示物などの配置

私は黒板の両脇と前面にはできるだけ掲示物を貼りません。学級目標もB4サイズの紙にすっきりと掲示させています。

予定黒板が黒板の隣に設置されていますが、そこを使わずに、教室の廊下側に予定係に書いてもらっています。教師の机や棚の上にも物は置かず、気が散らないよう棚のガラス戸は模造紙で覆って、教師用の教科書や指導書がガラス戸越しに見えないようにします。

さらに、棚の側面に掛けがちな定規や分度器の類も見えないように隠します。

拡大モニターも、使う場面のときだけ立ち上げて、使っていないときはすぐに真っ暗になるように、スリープモードに設定しています。

② チョークの色

チョークの色にも工夫をしています。

  • 青…覚えておきたい単語・語句・公式が出てきたときにアンダーライン。
  • 黄…大切な言葉にアンダーライン。
  • 赤…コツやポイント、工夫などを示すときにアンダーライン。

というように、色に意味をもたせて使い分けて活用しています(その意味も事前に説明します)。

意識しているのは、あくまで色チョークを使うのは、極力白チョークで書いた箇所を、アンダーラインや囲みで色分けするだけに留めるということです。子供の中には、緑色の黒板と赤色のチョークの2色だけが重なると、色覚特性によって色の判別がしにくいという子がいます。そのため、文字は色チョークを使って書かないということを意識しています。

③ 指示や発問の言い方

指示をしたり、発問をしたりするときには、「では、今から次の問題を2分でやります。終わった人は次の〇〇をやります。はい、はじめ」など、できるだけ短く伝えます。

また、一文の中に複数の活動が伴うような話し方はしません。そして、言い換えをしないようにしています。言い換えるくらいなら、同じ内容を一言一句違わずにもう一度言うほうがよいでしょう。どの子にとっても混乱のない話し方であることが大切です。

「では今から次の問題を2分でやります」

④ 机上の管理

タブレット端末を置く場所、教科書やノートを置く場所、筆箱を置く場所などを明確に分けさせています(机の中も右と左で整理させています)。また、タブレット端末はどうしても触りたくなってしまうので、使わないときは面倒でも「話します。前を向きましょう。タブレットをしまいます」などと短く伝えて、引き出しの中にしまわせます。いつ使わせるかの見通しをこちらがもっていれば、子供に「何度も出したり入れたりしないといけない」などと煙たがられることはありません。

これらは「割れ窓理論」(割れた窓ガラスを放置したままにするとどんどん問題が深刻化するため、常に清潔・整頓された状態を保つことが荒れを抑制するための予防的方策として重要だという考え方)と同様の対応法です。身の回りの環境を整えることで、余計な声かけをすることもなく、自然と授業に向かう意識が付いていきます。 (杉本大昂)

「話します。タブレットをしまいます」

「ダレてしまう」ではなく「ダレさせない」ための先手を打つ

授業中に「今から、何するの?」「その次は何するの?」「どうやってやるの?」そんな戸惑いが生まれる瞬間や、見通しが描けない状況が常態化すると、子供は一気にやる気を失います。しかし、そう感じてしまうような場面はいくつもあります。そこで、その場面を大きく三つに分類して解説します。

① 授業の流れ

毎回、授業の進め方がバラバラだと、戸惑いが大きくなってしまいます。だからこそ、ある程度、授業の流れは同じにするとよいでしょう。

例えば、問題提示→見通しをもつ→課題化→個人追究→グループ交流(または全体交流)→ふり返りなど、一度展開された流れがだいたいいつも定まっていると、どの子にとっても安心できる授業になります。さらに展開されるそれぞれの時間も、ある程度固定化されているとより安心感が出てきます。

そこでタイマーは必ずセットします。これも、いつまでやるのかという時間が曖昧だと、戸惑いや見通しの悪さを生むので、それを未然に防ぐためです。

② 指示や発問

教師は曖昧な指示・発問になっていないか、常にメタ認知していく必要があります。

そのとき、教師の表情が重要です。重要な部分、落とさずに聞いてほしい部分では、あえてグッと表情を強めたりすることで、子供たちは「ここは重要なんだ」ということに気付きます。

その子供たちの表情を見ることで、どこまで指示や発問が理解してもらえたかを教師も把握できます。

「これからとても大切な話をします」

③ 指示や発問をした後(机間指導の場面)

指示や発問がしっかり理解されているかを確認するために、机間指導に入ることも重要です。 

さらによくあるシチュエーションですが、「指示されたこと、終わっちゃった。どうしよう」という時間をつくらないことが大切です。

全体交流が終わった後には、「では、〇ページの□の問題をやりましょう」と言って活動に入らせると、指示されたことが終わった子は、手持ち無沙汰な時間を過ごしてしまいます。こうした戸惑いや見通しの悪さを感じさせることが荒れを引き起こすトリガーだと思っています。

こうした状況を改善するためには、次にすることをあらかじめ提示して、戸惑う瞬間を与えさせないことが重要です。

私は黒板の隅に、「〇ページの□の問題が終わったら…」という見出しを付けて、「1.〇〇 2.△△ 3.□□」というように、終わった後にやることを明記しておきます。

それでもまだまだ中学年だと、はじめに指示されたことを作業している間に忘れてしまう子が出てきてしまいます。「先生、次、何すればいいですか?」という声が入ると、周りの人の集中力を妨げてしまうので、そうならないために、机間指導をこまめにして、作業が終わってキョロキョロしている子に近付き、静かに黒板を指します。すると、その子は「あぁ!」といった表情で、やることを再確認して、静かに取り組み始めます。このようにある程度予測できることについては、先手、先手をしかけていくことが荒れ防止には有効です。

(杉本大昂)

取材・文・構成/出浦文絵 イラスト/宇和島太郎

『教育技術 小三小四』2021年10/11月号より

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