小5算数「分数のたし算」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・黒須直之
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
本時の位置5/12
ねらい
異分母の加法計算の方法を考えることができる。
評価規準
異分母の分数の加法計算の仕方について、分母を揃えることの意味を考え、説明している。(数学的な考え方)
問題場面
オレンジから絞ったジュースが[MATH]\(\frac{1}{5}\)[/MATH] Lと□Lあります。合わせて何Lになりますか。
児童の予想
式は、 [MATH]\(\frac{1}{5}\)[/MATH] + [MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH] になりそうなんだけど…
※□にあてはめる数のカードとして、 [MATH]\(\frac{1}{5}\)[/MATH] 、[MATH]\(\frac{4}{5}\)[/MATH] 、 [MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH] 、[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH] 、 [MATH]\(\frac{3}{4}\)[/MATH] を用意しておく。
【□の中に数のカード( [MATH]\(\frac{1}{5}\)[/MATH]、 [MATH]\(\frac{4}{5}\)[/MATH] )を当てはめながら、既習を確認して、本時の数値( [MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH] )を提示した後…】
これ、さっきまでと同じように計算できないよ。
どうしてですか?
だって、分母が違う数になっているもん。
これが今日の課題かな。
今までの学習との違いをはっきりさせることができましたね。では、今日のめあては何になりそうかな。
「分母が違う数のときの計算の仕方を考える」だと思います。
本時の学習のねらい
分母が違う数のときの計算の仕方を考えて、説明できるようにしよう。
見通し
分数を今まで習った小数になおして考えてみようかな。
分母が同じなら計算できるんだから、分母を同じにすることはできないかな。
[MATH]\(\frac{1}{5}\)[/MATH] + [MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH] なら、答えは、1Lの半分より多くなりそうだね。
自力解決の様子
学び合いのポイント
本時では、異分母分数の加法の場面において、通分して分母を揃える知識・技能を具体的な場面に生かしていくことになります。そのため、学び合いで、異分母分数の計算の仕方を考えることに加えて、問題の場面と式や答えを関連付けていくことが大切になります。つまり、形式的に分母を揃えて計算するということに終始するのではなく、単位分数の何個分で考えるために通分するということを、話合いの中で導入場面の既習事項の確認と繋げながら、おさえていくことも大切になります。
そのため、学び合いでは、B児の通分をして考えるということに対して、全体に「なぜ通分をするのか」を問いながら、分母を揃える理由について考えていくことを大切にしていきます。
また、学び合いを通して、子どもたちの考えを生かし理解をより確かなものにするために、通分して考えた分数の計算の答えについて、C児の分数を小数に直した計算で確認して、既習とのつながりを感じたり、納得感を得やすくしたりしていきます。なお、A児については、答えの見通しや小数に直した計算と結びつけることにより、自ら誤りに気付くようにすることが大切です。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
Bさんが、通分をして計算すると説明してくれましたが、通分するとオレンジジュースの量は、どうなりますか。
同じ大きさの分数にしただけだから、量は変わらないと思います。
通分しても数の大きさはそのままです。
なるほど。では、皆さんは、Bさんがなぜ通分をしようとしたと思いますか。
通分して分母を揃えようとしたのだと思います。
なぜ、分母を揃えようとしたのでしょうか。
分母を揃えると、同じ分数の何個分かで考えて計算することができるからです。
だれかそのことを説明できますか。
[MATH]\(\frac{1}{10}\)[/MATH] をもとにして、2+5=7 7個分だね。
では、この計算の答えは、 [MATH]\(\frac{7}{10}\)[/MATH] (L)になりそうということですね。
小数に直して計算してみたのですが、0.2+0.5=0.7になって同じになりました。
分数を小数に直して答えを確かめたんだね。
習ったことを生かして、別の方法で確認すると答えがより確実になりますね。
分母を通分して揃えて計算する方法は、分母が違う分数の計算で使えそうです。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
分母が違う数のときの分数のたし算は、通分をして分母を揃えれば、今までに習った分数のたし算と同じように、単位分数の何こ分かで考え、説明することができる。
【子供に期待する解答の具体例】
感想例
- 分母が違うときでも、通分をして分母を揃えれば、今までと同じように考えることができました。これからも、新しいことをやるときは、習ったことを生かしてみようと思いました。
- 今回は、分母の違うたし算だったけれど、分母の違うひき算でも同じようにできそうです。
イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』 2020年10月号より