小5国語科「季節の言葉① 春の空」全時間の板書&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小5国語科「季節の言葉① 春の空」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小五 国語科 教材名:季節の言葉① 春の空(光村図書・国語 五)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校・石井康介

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、「枕草子」の第一段や春の様子を表した俳句などを音読したり、春らしいものの様子を文章に書いたりすることで、言葉の響きやリズム、美しい表現などに親しむことをねらいとします。
また、広く季節に関わる言葉や作品に触れることで、語彙を豊かにすることはもちろん、言葉の面から感性や情操を育むことを目指します。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

「季節の言葉」は、2~6学年の各学年に設定されています。各学年の発達段階に応じてテーマがあり、第5学年では、気象に関する言葉が集められています。これまでの学習と比べると、抽象度が高い言葉も多いです。

第5学年に配列されている春夏秋冬四つの小単元では、枕草子の第一段が季節ごとに掲載されています。清少納言の季節に関する感じ方に触れることで、一人一人が今までになかった新たな視点をもって、日常を見渡せるようにしていきます。

本単元「春の空」では、「枕草子」につづられている春の風景を参考に、自分が感じる春らしいものや春の様子について文章に書くという活動をします。
まずは、右ページの「春はあけぼの」を音読します。何度も繰り返し読み、清少納言がつづった言葉を味わうことで、古文独特の言葉の響きやリズムに親しめるようにします。
また、清少納言がどんな風景を春だと感じたのか想像を膨らませるようにします。
次に、左ページの気象に関する言葉や俳句から、春のイメージをさらに深めていきます。
そして、今度は児童自らが周囲に取材して、清少納言のように、自分が感じた春について文章にまとめます。書いた文章は、友達とお互いに読み合います。そうすることで、さらにたくさんの言葉と、それに対するそれぞれの感じ方に触れることができます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉「私の枕草子」を作ろう

「枕草子」は今から千年前に作られた作品です。現在でも親しまれているということは、この作品が素晴らしい作品だということを示しています。そんな素晴らしい「枕草子」に触れ、「自分もこのような文章を作ってみたい」「自分が感じたことを書きつづった『私の枕草子』を作ろう」と目標を設定することができれば、主体的な学習が始められるはずです。
言葉の響きやリズムなどを大切にしようと考え、自分の文章をより豊かな表現で書こうとする姿を目指しましょう。

〈対話的な学び〉 友達の文章の素晴らしさを紹介しよう

文章が完成したら、友達と読み合います。たくさんの友達の文章に触れることで、新しい言葉を知ったり、いろいろな表現の方法を学んだりすることができます。
さらに、友達が書いた文章の素晴らしさを、書いた本人にだけでなく、学級のみんなに紹介する時間を設定します。こうすることで、友達の文章とじっくり向き合い、よい表現とは何かを考えることができるようになります。練習が必要ですが、友達のよいところを見つけ合い、お互いの表現を学び合うことができるようにします。

〈深い学び〉 カレンダーに季節の言葉を書き込もう

日常的に、季節の移ろいを豊かな言葉で表現できるようにしましょう。
子供たちが教室にあるカレンダーに、その日の気象を表す言葉を自由に書き込めるようにしておきます。書き込まれた次の日に、言葉の意味を確認し、昨日の気象の様子を振り返ります。
言葉と実際の気象を結び付けることで、授業中に説明を聞いたり、写真を見たりしたときよりも、その言葉がもつ意味を深く理解することができるはずです。カレンダーを常に見られる場所に掲示しておけば、年間を通して、季節の言葉に触れることができます。季節の移ろいを言葉で感じることができるカレンダーが完成したら素敵ですね。

加えて、見つけた季節の言葉が使われている文を朝の会等を生かして紹介し合う場を設けていきましょう。児童が、身の回りにある季節を表す言葉に触れ、他の場面で活用するきっかけとすることができます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)「春の言葉集」を用意する

教科書に載っている言葉や俳句だけでなく、他の言葉や俳句、春の詩などをあらかじめ集めておきます。それを、Googleスライドなどにまとめて、「春の言葉集」として、児童が自由に見られるようにしておきます。
また、春の様子の写真をたくさん載せておくことで、言葉だけではイメージしづらい子への支援になります。授業後は、新しく見つけた季節の言葉を、児童が自由に更新できるようにしておくと、発展的な学びにつながります。

(2)書いた文章を画像で保存し、友達と共有する

自分が感じた春の文章が書けたら、その文章をタブレットで撮影し、画像として保存しておきます。
撮影した画像を共有フォルダなどに保存し、学級のみんなで共有すれば、友達と作った文章を簡単に読み合うことができます。
さらに、画像をGoogleスライドなどの書き込みができるものに貼り付けておけば、みんなで感想を書き合うこともできます。

(3)1年間で「私の枕草子」が完成するように、書いた文章を保存しておく

この単元は、春夏秋冬四つの小単元に分かれています。
各単元で同じように文章を書き、その都度同じ場所に保存しておくと、1年間で「私の枕草子」が完成します。児童の実態に応じて、季節のこと以外にも、普段の生活で感じたことを書きつづり、それも一緒に保存しておくように声をかけるのもよいでしょう。
「私の枕草子」が、清少納言の「枕草子」に近づいていきます。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 季節の言葉①「春の空」

【主な学習活動】
1時、2時
第1時
① 自分が「春」を感じた経験を発表し合う。
②「春はあけぼの」を音読し、「私の枕草子を作る」という目標をもつ。
③ 春の言葉や写真、春を詠んだ俳句から、春のイメージを深める。〈 端末活用(1)〉

第2時
①「春はあけぼの」の書き方に当てはめて、自分が感じた春を文章にする。
② 書いた文章を共有し、友達と感想を書き合う。〈 端末活用(2)〉
③ 友達の文章のよいところを、学級のみんなに紹介する。
④ 1年間を通して、「私の枕草子」を完成させていく見通しをもつ。〈 端末活用(3)〉

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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