小5算数「整数の性質」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・清水武蔵
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
本時の位置6/12
ねらい
2つの数の公倍数は、最小公倍数の倍数になっていることを理解し、2つの数の公倍数を求めることができる。
評価規準
・公倍数の意味や性質などに着目し、公倍数の求め方を考え、説明している。
・2つの数の最小公倍数を活用し、公倍数を求めることができる。
問題場面
4と6の公倍数を小さい方から5つ求めましょう。どのように見つけたらよいでしょうか。
「4と6の公倍数」というのは、どういう数のことでしたか。
4と6の共通な倍数を公倍数と言いました。
公倍数のうちで1番小さい数が最小公倍数です。
公倍数はどのように求めましたか。
数直線で求めることができました。
それぞれの倍数を書き出して共通の数で求めました。
本時の学習のねらい
数直線や倍数を書き出さなくてもできる公倍数の見付け方を考えよう。
見通し
どんな方法がありそうですか。
4の倍数と6の倍数をそれぞれ書き出してみようかな。
4の倍数を書き出してその中に6の倍数があるか探してみよう。
6の倍数を書き出して4の倍数を見付けた方が簡単にできるんじゃないかな。
自力解決の様子



学び合いの学習
3つの考え方の中で、Aの児童が多いことが考えられます。自力解決後の学び合いでは、児童が多様な考え方に触れること、それにより自分の考えを見直すことをねらいに、3~4人組で学び合いを行います。その際、考え方の説明や相違点を中心に話し合いをさせるとともに、それぞれの考え方のよさを話し合えるとよいでしょう。
さらに比較検討の場面では、Cの考え方は少ない手順で公倍数を見付けることができるというよさに気付かせたいものです。また、数直線を使って求めた児童は、答えの確認などで取り上げるようにします。
比較検討では、4と6の公倍数は12の倍数になっていることをまとめ、最小公倍数の12の倍数が4と6の公倍数になっていることを、児童の発言からおさえるようにします。
このように、児童どうしの学び合いを積極的に取り入れ、児童の対話的な活動を通して発見できるようにするとよいでしょう。
本時のノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
それぞれの考え方で気付いたことや似ているところはありますか。
Aの考え方は4の倍数も6の倍数も書き出してるけど、BとCの考え方は片方の数の倍数だけ書き出して調べています。
Aの考え方で求めた人は、なぜこの考え方を使ったのですか。
どちらの数の倍数も書き出すことで、間違えなく求めることができるからです。
4の倍数と6の倍数をどちらも書き出した方が数直線を使った時と同じようにできるので分かりやすいからです。
BやCは、どのように考えたのでしょう。
BとCの考え方は、4と6の倍数を全部書き出すと大変なので、どちらかを書き出して、それをもう一つの倍数になっているか調べています。どちらか書き出せばいいので、簡単にできると思います。
BとCは、同じように考えているけれど、Cの考え方のように大きい方の数の倍数を書き出したほうが早く見付かると思います。
求めた4と6の公倍数を見て、何か気付くことはありますか。(学び合い)
3と4の最小公倍数は12なので、4と6の最小公倍数は24かと思ったけれど、12です。
4と6の公倍数は、12の倍数になっています。
4と6の最小公倍数12の倍数になっている。
他の数でもできそうかな。(評価問題を行う)
学習のねらいに正対した学習のまとめ
まとめ
4と6の公倍数は、4と6の最小公倍数が12なので、12の倍数を使って求めることができる。
子供に期待する解答の具体例
6と9の最小公倍数は18なので、18の倍数を使って求めると18、36、54。
答え 6と9の公倍数は小さい方から順に18、36、54
感想例
- 公倍数を求めるためには、最小公倍数の数の倍数を考えれば簡単にできる。
- 2つの数の公倍数だけでなく、3つや4つの数でもできるのかやってみたい。
『教育技術 小五小六』 2020年9月号より