【相談募集中】LINEスタンプを授業で使用するのはNG?
普段、当たり前のように利用しているLINEスタンプですが、教師が子供たちの意欲を引き出すために、これを授業で使用するのは著作権に触れるのですか? という質問が「みん教相談室」に届きました。この疑問に対して、弁護士・川上大雅先生が法律家としての見解で回答した内容をシェアします!
目次
Q. 子供のやる気アップのためにLINEスタンプを授業で使いたいのですが…
私立学校で中学生の授業を持っている非常勤講師です。著作権について質問があります。
教育上必要と認められる限度では、利用できると示されていますが、生徒のやる気を上げるために授業スライド(電子黒板利用時)に、LINEスタンプの画像を貼ることは、著作権を害することに値しますか。
また、もし対面では問題がないとされても、オンライン授業、その授業時間のみ生徒と教師がアクセスできる状態での利用だとすると、問題になりますか。(mmm先生・20代男性)
A. 著作権法に抵触する可能性が非常に高いと考えます
今回の利用態様としては、スタンプショップにて購入したスタンプをスクリーンショットなどにより「複製」し切り取り(編集し)新たな画像を作った上で、自らのPCの画面などで授業の際に利用するということが予定されているのかなと考えます。
おっしゃる通り、著作権法35条は「学校その他の教育機関における複製等」についてのルールを定めています。
おおまかな説明となりますが、普段は使用するときに許諾が必要な「著作物」について、学校で教育を担当する人が授業の過程で行う「複製」「公衆送信(インターネットに載せるなどすること)」は、「著作権者の利益を不当に害する」こととならない限り、権利者からの許諾がなくとも行うことができる、ということが書かれています。
一方、LINEスタンプに関しては、LINE利用規約上、その複製が認められていません(後掲の利用規約参照)し、サービスが予定している「利用態様を超えて利用」することが認められておりません。
今回の利用態様につきましては、そもそも利用規約上認められていない複製が行われている上、サービスが予定しているものを超えてしまっているという印象です。LINEスタンプ はトークにおける使用に最適化されている画像です。トーク以外の場面での利用は、スタンプの作者の意図とは異なる形で使われてしまうことになります。
また、悪い考えをしてみると、購入サンプル画面をスクリーンショットしてしまえば、購入しなくとも自分のPC上で使用できてしまいます(こうした方法を取られる方はさすがにいらっしゃらないでしょうが…)。
以上の点を併せ考えると、今回ご相談にありましたような利用の方法は、たとえ教育目的を有していたとしても、著作権法35条にいう「著作権者の利益を不当に害する」と判断される可能性が非常に高いと考えますので、対面、オンライン問わず避けた方が良いと考えます。
「コピー&ペースト」「スクリーンショット」といった行為は子供たちにも身近なものとなっているにも関わらず、著作物の利用に関するルールはなかなか学ぶ機会がありません。著作権法35条が予定している教育目的での複製等の範囲は意外と狭かったりしますので、各種団体が定めるガイドライン等も一度見てみた上で、上手に著作物を活用していってほしいと思います。
(参考)
*LINE利用規約より文言を抜粋
10.3. お客様は、本コンテンツを、本サービスが予定している利用態様を超えて利用(複製、送信、転載、改変を含みます。)してはなりません。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。