安全!指導しやすい!水泳授業のポイント
夏期の体育で、子どもたちの多くが楽しみにするプールでの水泳授業。安全に特に留意しながら、効果の高い指導を行っていきたいものです。そのために、安全面の注意点と指導上のポイントを具体的にご紹介します。
目次
安全面には十分注意しよう
★学習前の準備
「爪を切る」「検温をする」「ゴーグルの有無」など、何を忘れたらプールに入れないか、学校で統一し、児童にも保護者にも事前に確認をします。水着に穴が空いていたり、生地が薄くなったりしている部分がないかについても確認してもらいましょう。
●女子の主な確認事項
・髪の毛は結ぶ。
・ピンは外す。
・帽子に髪の毛を入れるようにする。
●男子の主な確認事項
・水着のヒモが長すぎないか、きつく結びすぎていないか。
★水質管理や機械操作の仕方を確認
水質管理の仕方や機械操作の仕方は、できる人に任せずに、教員全員がしっかり把握しておきましょう。さらに水位の変更時の留意点や、いつどのタイミングで水位を下げるのかなど、校内で統一しておきます。
★水遊びのルールを徹底
安全面のルールを決め、徹底させます。バディシステムは、人数確認をするだけでなく、お互いの命を守る役割があることもきちんと伝えましょう。バディの体調を目で見て、例えば唇の色が紫になっているなど、体調が悪そうな場合には報告させます。
水遊びのルールは、「おかしふやせ」など、合言葉を使って覚えさせるのもよいでしょう。
・お → 押さない
・か → 駆けない
・し → しゃべらない
・ふ → ふざけない
・や → 約束を守る
・せ → 先生の話を聞く
★コールサインを決める
プールの授業では、子供たちは興奮しているのが当たり前。約束事など大事な話をする際には、「静かにしなさい」「話を聞きなさい」と大声で注意をするよりも、コール&レスポンスが効果的です。例えば、次のようなコールサインを決めておくとよいでしょう。
・先生「ピー! ピッピッピッ!」(笛で合図)
・子供たち「(全員で声を合わせて)注意!」
ただし、使う頻度が多すぎると子供たちは話を聞かなくなるので、使う場面を見極めることが重要です。
★入水方法や入水後の姿勢を統一
入水方法を決めておきます。夏休みに指導教員が変わる場合に、やり方が変わると子供たちが混乱するので、学校で統一しておきましょう。さらに、その目的も伝えておきましょう。
例えば・・・入水方法について、ハンドサインで、
「1」を示したら、「足の親指をプールサイドの端にかけて立って水中を見る」、
「2」を示したら「プールサイドに腰を掛けて、膝から下を水に入れる」、「3」でプールに入り、「壁に背中をつけて待つ」
というルールを決めます。
この際、「1」で重要なことは、起立をすることではなく、水の中の安全を確認することであり、「2」では、座ることが目的ではなく、足を水の中に入れて温度を確かめてから入水することが重要であることを丁寧にしっかりと伝えます。
目的を理解することで、学校外のプールでも、正しい入水方法を守るようになります。
うまくいく水泳指導のポイントとは
★指導体制を確認
教員内で役割分担や責任範囲をはっきりさせておくことが重要です。さらに、立ち位置も決めておきましょう。指導中は必ずそれぞれ対角線に立ち、死角をつくらないようにします。
子供たちに話をする場合は、声が後ろまで聞こえるよう、横に並ばせたほうがよいでしょう。お手本を見せるときには、全員に見えるよう、角を使いプールを斜めに泳いで見せます。
全員がプールから上がったら、必ずプール全体を指差し確認。特に排水溝やプールのはしごなど、四隅もチェックします。
★視覚情報を使って指導
水泳指導がうまくいかない理由の一つに、子供たちが見通しを持てていないことが挙げられます。例えば、ホワイトボードをプールサイドに持ち込み、学習する内容の流れを書いておくことで、子供たちは見通しを持つことができます。さらに、重要なルールや泳法の指導も、ホワイトボードに書いて示すことで、より具体的に正確に伝えることができます。
★「話し合う活動」を取り入れる
新学習指導要領では、「自己の能力に適した課題を見付け、水の中での動きを身に付けるための活動を工夫するとともに、考えたことを友達に伝えること」と記されています。各活動の中に、どうすればよりうまくできるか友達と考え、伝え合う時間を積極的に取り入れましょう。
ペア活動の間に水中で「作戦タイム」の時間をつくったり、プールサイドでグループで行う「スーパー作戦タイム」をつくるのもよいでしょう。さらに、活動後にクラス全体で「発表タイム」を行い、うまくできたチームにインタビューをしたり、次の水泳の時間に、前回の発表タイムのふり返りをしてから同じ活動に取り組むのもおすすめです。
★「カエル足」の指導のコツ
中学年になると、「カエル足」ができずに平泳ぎがマスターできないという子が多くなります。効果的な指導法を3つ紹介します。
1 足の指をグーパーする
足を引き付けたときに足の指をパーに開く。足を伸ばしてけのびになったときには、足をグーに閉じるように教えると、あおり足になりにくくなります。
最初から水中でやることは難しいので、まずは陸上で練習させて慣れさせましょう。
2 陸上でビート板を使った指導
ペアになり、一人がうつぶせになります。両足の左右にビート板を立て、もう一人が押さえます。足を引き付けて伸ばすときに、ビート板の内側に親指をこするようにしながら蹴る練習をすると、あおり足がなくなります。
3 ペンギン歩きをする
水中でかかとだけ底に付けて、爪先を浮かせて歩く「ペンギン歩き」は、平泳ぎの泳法に使う足首の動きにつながります。準備運動などに取り入れましょう。
監修/東京都「学級づくり」研究会 取材・文/出浦文絵 イラスト/山本郁子
『小四教育技術』2018年6月号より