小4国語「広告を読みくらべよう」指導アイデア
教材名:「広告を読みくらべよう」(東京書籍 四年上)
指導事項:〔知識・技能〕(2)イ 〔思考力、判断力、表現力等〕読むこと(1)ウ、オ
言語活動:ア
執筆/香川大学教育学部附属坂出小学校教諭・西吉亮二
編集委員/前・文部科学省教科調査官・菊池英慈、前・香川県公立小学校校長・川井文代
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では情報の比較や分類のしかたを理解し、目的を意識して情報が適切かどうかを考える力を付けることがねらいです。
二つの情報を、共通点や相違点に着目しながら比べたり、共通する性質に基づいて分けたりしながら、目的に応じて、どのような表現(①キャッチコピー、②写真、③取り上げる事柄やその順序など)をしているのかを見付け、適切かどうかを自分の体験などと結び付けて考える力を付けることをねらっています。
②言語活動とその特徴
本単元では、教科書の二つの広告を、観点を明確にして比較したり分類したりし、分かったことや考えたことを、説明したり意見を述べたりする言語活動を設定します。
その際、目的と合った情報が取り上げられているか、情報の配置は適切かなどについて話し合うことで、理解したことに基づいて考えをもつ力を付けます。

単元の展開(8時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①身の回りにさまざな広告があることや、それらの広告の目的や特徴を知るとともに、学習計画を立てる。
→アイデア1 対話的な学び
【学習課題】広告が目的に合わせて適切に作られているか調べよう
第二次(2~4時)
②二つの広告を比較し、共通点・差異点を見付ける。
③④差異点であるキャッチコピー・写真・取り上げる事柄の順序などが違う理由を考える。
→アイデア2 深い学び
第三次(5~8時)
⑤⑥さまざまな広告について、調べたり評価したりする。
⑦学んだことを生かして目的に合った広告を作る。
→アイデア3 主体的な学び
⑧単元の学習をふり返る。
アイデア1 広告の目的や情報について興味をもつ
生活のなかで、よく目にする広告を取り上げ、その広告が伝えたいものは何かを考えていきます。身の回りの広告には、「目的」(誰に・何を伝えるためのものか)や、目的に合わせた表現があることに気付き、学習課題を設定していきます。
スーパーの広告って赤色の文字が多くて目立つね。
値段の数字がたくさん書かれているね。
大人が欲しいものから、子供が欲しいものまで、いろいろなものが載せてあるね。
今までは、なんとなく広告を見てきたけれど、いろいろな人が欲しいものを安い値段で売っているということを知らせたいんだね。
アイデア2 観点を明確にして、比較する情報を整理する
ステップ1 比較する観点を見付ける
教科書の二つの広告を読み、違いを見付けていきます。見付けた違いから子供の言葉を基に観点を整理していきます。
キャッチコピーの言葉が違うよ。
言葉だけじゃなく、文字の色も違うよ。
写真の大きさや位置が違うよ。
載せている情報は一緒だけど、取り上げている順が違うよ。
比較する観点
・キャッチコピー
・文字の色
・写真
・事柄の順序 …
ステップ2 理由を交流することで関係性を理解する
教科書の二つの広告を比較させます。「なぜ違うのか」という理由を考えることで、広告の目的と表現との関係性に気付いていきます。
▼板書例
キャッチコピーが明るい色を使って大きな字で書かれていると、読み手の興味を引くからいいね。
広告1は、おじいちゃんとおばあちゃんも写真に入っているところが大事なポイントだね。
音だけでなく光でもお知らせすることを載せているから、耳が遠い僕のおじいちゃんでも使いやすいことが分かるよ。
広告2の「いつでも清けつ」って、「すばやくはかれる」ことと、あんまり関係ないよね。
そうだね。それよりは、丈夫で壊れにくいということを載せるほうがいいんじゃないかな。
確かに、子供が使うことを考えたら、丈夫で壊れにくいことのほうが目的にぴったり合う事柄だね。
アイデア3 学んだことを二段階で生かす(広告を評価する・広告を作る)
集めた広告を評価したり、自分で広告のデザインを考えたりする場を設けることで、学んだことと自分の体験とを結び付けて、主体的に考えを深めていくことができます。
ステップ1 評価する活動
上記のようなカードを使うことで、教科書で学んだ観点を意識しながら、さまざまな広告を読むことができます。カードのなかの「一番伝えたいこと」と「そう考えた理由」を交流することで、情報を整理しながら、広告の目的と表現との関係性について話し合うことができます。
ステップ2 広告を作る活動
目的:体温計を病院で使ってもらえるように、短時間で検温でき、多くの人に使いやすいことを伝えたい

上記のような広告をアイデア2で取り上げた観点で、どのように修正するかを考えていきます。
- キャッチコピー修正
- 商品のよさについての情報を変更
- 色やフォントの変更 など
修正しようと思った理由を友達と話し合う場を設定することで、情報を整理し、自分の体験や既習の内容と結び付けて考えたことを発表していくことにつながります。
イラスト/やひろきよみ 横井智美
『教育技術 小三小四』2020年7/8月号より