小3社会「わたしたちのくらしと工場の仕事」指導アイデア

執筆/東京都公立小学校主任教諭・生沼夏郎
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登、東京都教育庁指導部義務教育指導課・秋田博昭

目標

仕事の種類や産地の分布、仕事の工程などに着目して、見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、工場の人々の仕事の様子を捉え、地域の人々の生活との関連を考え、工場の仕事は、地域の人々の生活と密接に関わりをもって行われていることを理解できるようにする。

学習の流れ(10時間扱い)

問題をつくる(2時間)

○ 豊島区の産業の分布の様子、工場の数や種類などを調べる。
○ 印刷工場の様子が分かる写真を基に話し合い、学習問題を設定する。

<学習問題>
印刷工場のAさんたちは、どのようにして、さまざまな印刷物を作っているのだろう。

下矢印

追究する(6時間)

○ 工場で印刷する工程を調べる。
○ Aさんの工場を見学する計画を立て、見学の視点などを話し合う。
○ Aさんの工場へ見学に行き、印刷作業の工夫や努力を調べる。(2時間)
○ 工場で印刷された製品がどこに運ばれるのか調べる。
○ 調べて分かったことを基に話し合い、Aさんの仕事の様子を図にまとめる。

下矢印

まとめる(2時間)

○ 図を基に、学習問題に対する自分の考えをまとめる。
○ 前時にまとめた自分の考えや、工場の仕事と自分たちの生活とのつながりについて、意見交換する。

導入の工夫

豊島区で印刷されている製品を調べることで、自分たちの生活のなかには豊島区で印刷されている製品があることに気付き、印刷工場で働く人の仕事に関心をもって主体的に追究できるようにします。

第2時( 第1時では、豊島区では、印刷工場の数が多いことを調べる)

Aさんの印刷工場では、このような製品の印刷をしています。これらの資料から、Aさんの仕事の様子について、何か気付いたことはありますか。

Aさんの印刷工場でつくられている印刷物

子供が持っている教科書やノート、本などの紙類だけでなく、紙類以外の製品や、特別な加工をしている製品もあることに、子供が気付くことができるようにすることで、Aさんの製品づくりの様子に関心をもつことができるようにします。

Aさんの工場では、こんなにたくさんの種類の印刷物を作っているなんてすごいな。どうやって印刷しているのかな。

どのような道具や機械を使って、どういう順番で印刷をしているのかな。

Aさんは、どうして印刷工場をやろうと思ったのかな。豊島区に印刷工場が多い理由も聞きたいな。

印刷した製品は、どうやって本やメモ帳になるのかな。全部、Aさんが作っているのかな。ほかの工場と協力しているのかな。

学習問題
印刷工場のAさんたちは、どのようにして、さまざまな印刷物を作っているのだろう。

問題をつくる(1・2/10時)

豊島区の産業の分布の様子、工場の数や種類などを調べ、豊島区で盛んに行われている印刷工場の仕事について疑問に思ったことを話し合います。

まとめる(9・10 /10時)

調べて分かったことを基に、学習問題に対する自分の考えをまとめ、工場の仕事と自分たちの生活とのつながりについて考えます。

話合い活動の工夫

小3社会「わたしたちのくらしと工場の仕事」指導アイデア

調べて分かったことや考えたことをまとめた図や、学習問題に対する自分の考えを基に、工場の仕事と自分たちの生活とのつながりについて、意見交換を行うようにします。

第10時(第9時では、学習問題に対する自分の考えをまとめる)

印刷工場の仕事と私たちの生活には、どのようなつながりがあると考えますか。
これまで学習してきたことを基にして、友達と意見交換をしてみましょう。

本やノートなど、私たちが生活の中で使っている紙製品が、私たちの住んでいる地域で作られていました。こんなに身近につながっていることに驚きました。

Aさんの工場から、新聞社や出版社を通していろいろな所に製品が届けられていました。Aさんの工場は、日本各地とつながっていると思いました。

ミシン目を入れる工場や紙屋さんなど、ほかの工場とも協力していました。地域にある工場どうしがつながって、僕たちの生活に必要なものを作っているのだなと思いました。

工場の周りの家に騒音などで迷惑をかけないようにしていました。仕事をしながら、地域の環境や安全にも気を配っていることが分かりました。

調べて分かった工場の仕事の様子から「学習問題に対する自分の考え」をまとめ、その自分の考えを基にして、工場で作られた製品が私たちの暮らしを支えていること、地域の工場が連携して製品を作っていること、地域の環境や安全へ配慮をしながら仕事が進められていることなどについて、意見交換を行います。

単元づくりのポイント

○ 地域に見られる生産の仕事(農家の仕事、工場の仕事、木を育てる仕事、魚や貝などを採ったり育てたりする仕事など)の単元づくりをする際には、例えば、農地の有無や作物の種類、工場の数や製品の種類など、地域による違いがあるため、実態をよく調査したうえで、事例を選択する必要があります。

○ 本実践(印刷工場の仕事の様子)では、ほかの工場(製本工場など)と協力して本を作っている様子や、関連工場の分布の様子などにも着目することで、地域の人々の生活と密接に関わりをもって行われていることを捉えることができるようにしています。また、作業時の騒音、運搬時の安全などに配慮している様子にも着目することで、印刷工場の仕事と地域とのつながりについて考えをもつことができるようにしています。


イラスト/横井智美、佐藤雅枝

『教育技術 小三小四』2020年7/8月号より

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