小5外国語:5年の終わりにしておきたいこと
小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生の好評連載! 5年の終わりにしておきたいのは、どんなことでしょうか?
執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子
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目次
Q1 憧れの人を紹介する活動で、主体的に取り組むためには、どのような手立てが必要でしょうか。
(光村図書『Here We Go!5』P.113)
A.グループの人数や発表の方法を工夫してみましょう。
このアクティビティでは、自分が憧れている人について、自分との関係、職業、性格、できること等について、クラスの友達に発表します。
発表に向けて、事前の準備があります。子どもが主体的に取り組むために、伝えたいという思い、聞き手に聞いてもらいたいという気持ちをもつ必要があります。
また、
わかってくれた。伝わった、嬉しい!
○○さんは○○なんだ。知らなかったなぁ。聞けてよかったなぁ
というように、やり取りをした意味があったと実感できることも重要になります。
憧れの人について伝えたいという思いを、準備の段階から意識できるようにしたいところです。そうすることで、何を伝えようか、どのように伝えようかといった思考・判断を促すことにつながります。
そこで、発表のグループの人数や方法について、いくつか工夫をしてみましょう。
伝える相手が決まると、発表内容も工夫して考えることができるようになります。
発表場面でのグループの人数は少なくしましょう。人数が少ないことで、相手との距離が近くなり、質問などのやり取りも気軽に交わせるような状況が生まれます。大きな声を出す必要もなく、友達と話す感覚で気楽に行うことができるので発表しやすくなります。
一方で、できるだけ多くの友達に発表を聞いてもらう機会を設けることも、主体的な活動につながります。子どもたちは、多くの友達が聞いてくれるというだけで、やる気が倍増するからです。
そして、友達の発表に触れる中で、より上手な発表を聞き、
もっと○○にしてみよう
○○のところは、○○に変えよう
など、さらに思考・判断が促されることが期待できます。
後半になるにつれて発表が上達していく子も現れることでしょう。発表を繰り返すことで、自信が付き、自分の理解度を認識できるようにもなっていきます。このイメージを準備の段階で子どもと共有して、伝えたい気持ちを育むような支援を意識しましょう。
是非、少人数で、グループ替えを取り入れ、発表が複数回できるように、友達の発表も近くで聞けるような状況をコーディネートしてみてください。
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Q2 5年生最後の単元「日本のすてき」を英語の先生に紹介するアクティビティでは、どのような姿を期待すればよいでしょうか?
(東京書籍『New Horizon Elementary5』P.83)
A.自分で使うことができる語彙やフレーズを活用して、自分なりのスピーチをつくることを期待しましょう。
このアクティビティは、自分にとっての「日本のすてき」と思う、「人」「行事」「食べ物」等についてスピーチします。
子どもたちは5年生の1年間を通して、自分で使うことができる語彙やフレーズを蓄えてきています。これらを活用して、自分自身で考えたスピーチ作りに期待したいところです。
しかし、まだ5年生、できそうだけれどできないところが多くあり、また個人差も大きいと思います。
さぁ、原稿を作ってごらん
と任せると、戸惑う子どもも多いのではないでしょうか。
そこで、自分で進められる子は見守り、ヘルプの必要な子には適宜、必要なアドバイスをするとともに、友達同士のアドバイスも重視してみてください。
友達にアドバイスをするためには、スピーチの目的や構成等を理解できている必要があるため、自分の理解も深まります。アドバイスをもらう子どもは、同じクラスの仲間からの支援が刺激になります。5年生のこの時期ならではの交流が始まるでしょう。
同時に、原稿の作成からスピーチまで、頑張って自分でやってみようとする姿を見取り、主体的な活動をしっかり価値づけ、それを周囲の子どもに紹介してみてください。
また、できない部分があっても粘り強く取り組む子どもの姿勢も見取り、価値づけてください。教師の関わりは、子どものやる気に直結します。
もし可能ならば、5年生と6年生で時間割を調整して、6年生のスピーチを5年生が聞くことができるとよいでしょう。6年生になった時のイメージを膨らませることができ、次年度に向けた学習の意欲づけになります。
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Q3 5年生の終わりに、何かしておいた方がよいことはありますか。
A.現時点で「何ができるようになっているのか」を子どもたちが自分で確認する機会を設けましょう。
授業後に振り返りカードなどに取り組むことは、よくあると思います。ぜひ、年度末にも、年間を通した振り返りに取り組んでみてください。
いわゆるCan Doリストのような細かいものでもよいし、そうでなくても、子どもたちが自分で自分の英語の力を客観的に捉えることができるような機会を設けましょう。
振り返りカードを活用する方法が取り組みやすいと思いますが、自由記述でも問題ありません。
重要なのは、子どもたち自身が自分の力をメタ認知する能力を育むことです。
子どもたちが書いたものは、成績を付けるために使うのではなく、子ども自身が自分の学習状況を知るための振り返りとして位置付けてください。
振り返りとともに、6年生になったら英語学習はどのように取り組みたいのか、どんなことができるようになりたいか、どんなことをやってみたいのか等も書くようにすると、次年度へのモチベーションにつながっていきます。
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長沼久美子
神奈川県公立小学校教諭。小学校英語教科書CROWN Jr. 編集委員。『[動画でわかる]英語授業ハンドブック〈小学校編〉』(大修館書店)共著。
(イラスト/本山浩子)
イラスト/横井智美