学級解散式にもおすすめ!学級じまいにとっておきの演出アイデア8選
コロナの影響で行事が中止や縮小を余儀なくされ、子供たちの思い出や感動が少ないと言われている今年度。学級最終日、華やかな演出と心に残るメッセージで、子供たちに最高の思い出をつくって送り出しましょう!
執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太
目次
1 ○○先生プロファイル
「『先生の通知表』みたいなものです。みんなの通知表はここにあるので、成績などには一切関係しません。私とこの1年間、きっと私の家族よりも長い時間を過ごしたのがみんなです。遠慮なく書いてほしいです 」
学年末の最終日、通知表を子供たちに「渡す直前」のタイミングに、次のことが印刷されたプリントを配り、書いてもらいます。
- ○○先生はこんな先生
- ○○先生との思い出の授業
- ○○先生でよかったこと
- ○○先生へアドバイス
本気で向き合った教え子からのメッセージは、私たち教師も成長できる「糧」となります。読み返すたびに胸が熱くなる宝物です。
「今、みんなが真剣に悩みながらも心を込めて書いてくれたように、私もこれから渡す通知表を一生懸命書きました」
言葉を贈る経験をすることが、言葉を贈られるありがたみを実感することにつながるのです。子供たちもこの直後、通知表を大切に受け取ります。
2 通知表ダイジェスト
「生活科では、おもちゃの作り方と遊び方の説明が分かりやすくて感心しました。この1年間で説明する力を伸ばした……○○さん! 」
「はいっ! 」
丹精込めて完成させた通知表の所見から抜粋した一文を付け加えて、一人ひとりの呼名をします。大型テレビにその子の写真とキーワードを提示しながら行うと、さらにインパクトが大きくなります。写真は、その子の通知表エピソードを象徴する場面や、学級開きで生徒指導用に撮影したものが「変容」を意識できるためおすすめです。
仲間の成長エピソードとそれを象徴する写真から、1年間の学習や生活、行事のふり返りが促されます。
私たち教師も、最後の1か月間を一人ひとりの変容に目を向け、豊かな語彙でフィードバックしようとする「感度」を高めて過ごすことにつながります。写真の整理は通知表の下書き提出日(約2週間前)から準備をします。
クラス全員の通知表ダイジェストを全員で共有した後、卒業式の映像ハイライトを見ます。一年生にとっては、入学からお世話をしてくれたあの憧れの六年生です。
「あの六年生のように! 」
小学校生活のゴールイメージをもてるようにメッセージを贈ります。子供たちは六年生が受け取った卒業証書のように通知表を受け取ります。温かくも凛とした雰囲気の中で、通知表を受け取る仲間の姿を見守り、そして仲間に見守られます。最後の一人が席に戻ってから、通知表を一斉に開きます。読み終えたらランドセルにしまいます。もしものときには訂正できるよう、早い校時に渡します。
廊下などで、二人きりで読み合って渡すようなことを私はしていません。これからも同じコミュニティの中で過ごしていく仲間の成長を一緒に喜び合いたいからです。
3 ちょっぴり先取り学習
次学年の学習をちょっぴり体験します。
二年生の学習で真っ先に思い浮かぶものは、やっぱりかけ算です。「0の段」と「1の段」を行います。意味はよく分からなくてもかまいません。とにかく繰り返し唱えます。
「かけ算を言えた! 」
「なーんだ、かけ算って簡単じゃん! 」
となったところで……やめます。
「これならできそう!」
と思えることが大切だからです。
三年生は教科数が増えます。社会科の四方位を覚える「裏技」を伝授します。方位記号を黒板に書いて上が北、下が南ですが、東と西はどちらが右か左か、大人でも混同します。
「北という漢字の真ん中に線を入れます。入れた線の右側にカタカナが見えませんか? 」
「カタカナの〝ヒ〞だ! 」
「〝 ヒ〞のある右側が『〝ヒ〞ガシ』なのです! 」
みんなの教育技術YouTubeチャンネル『東西南北の方位を一発で正しく覚えられる方法(土作彰先生)』掲載のミニネタです。
最終日は、復習よりも予習の「おいしいところ取り」で次年度の味見をします。
「もっとやってみたい! 」
最も多くの時間を過ごす授業への期待が膨らむように、背中を押すことが大切です。
二年生や三年生の先生方や子供たちの力も借りて、学年を越えた交流の場を前日までに設けることも効果的です。一つ年上の先輩たちにとっても、学習をふり返り、進級を実感する機会となります。この時期は、手応えの大きい異学年交流活動を行うチャンスです。
ちなみに、お楽しみ会を行う場合は「最終日以外」に設定します。万が一トラブルが起こった場合にも、後味悪く学級じまい……ということにしないためです。
4 日移動型カレンダー
『カウントダウンカレンダー』を手作りする学級は多いと思います。
- 月日
- 終業式までの登校日数
- 主な行事
- みんなへのメッセージ
- イラスト など
一人1枚画用紙に書く場合、学級の人数と残りの登校日数を考慮し、2か月前に作成するのがおすすめです。低学年の場合には、二人1枚(1か月前)や、四人1枚(2週間前)を共同制作してもよいでしょう。
私は、「日めくり型」ではなく、「日移動型」で掲示しています。教室背面に「全員分」を貼ります。その中から、「今日の1枚」を教室前面に移動して貼り出しています。
ここで重宝するのが20㎝の「マグネットクリップ」です。背面掲示板に等間隔に画鋲(鉄製)を刺しておきます。カウントダウンカレンダーをはさんだ「マグネットクリップ」が画鋲にくっ付きます。「今日の1枚」は、教室前面のスピーカーに同じようにして貼っています。移動や更新が簡単にできるためです。
「日めくり型」で1日しか掲示されないのはもったいないことです。「日移動型」にすることで、学級じまい直前の一人ひとりの思いを毎日目にすることになります。朝や休み時間も進級に向けた話題で、自然と語り合う姿が教室で見られるようになります。
5 子供の声を大切に
「○年○組はゴールを迎えるけれど、この素敵な学級を超えたい、超えなければという新たな目標が私にはできました。みなさんが目標です! 」
学級通信にもこのように記し、宣言します。出会いがあれば別れがあり、別れがあるからまた新しい出会いがあるのは、子供たちも教師も同じです。過去をふり返りつつも、過去に依存してはいけません。新たなスタートにつながるゴールにしたいものです。
「私が伝えたいことはすべて伝えてきました。みんなが『今』語りたいことを、みんなで聴き合いましょう」
『カウントダウンカレンダー』を持ちながら話してもOKです。物があったほうが話しやすい子もいます。最後の学級の時間は、一人ずつ黒板の前に出て、その子が「今」語りたいことを語ります。教師が何を語るかも大切ですが、一人ひとりの子供たちが、学級じまいのこの瞬間に何を語りたいかを、いっそう私は大切にしています。そのため、子供たちが語ることのできる時間と場を設けます。
「私が伝えたいことはすべて伝えてきました」と言いつつも……子供たちの姿を見ていると、改めて伝えたいことがむくむくと湧いてくるものです。学級じまいのそのとき、それでも自然と湧き出てきた「実感」の込もった言葉を語ればよいのです。これは、1年間担任をした者の特権です。
6 学級目標降下の儀
学級の象徴的な掲示物を外します。教室前面の上方に掲示していた「学級目標」です。運動会の閉会式で旗を降納するようなイメージで行います。掲げていたシンボルを降下すると、「おしまい」が印象付きます。
外した学級目標を持って、学級全員で記念写真を撮影し、最後の学級通信に、この写真と学級開きのときの集合写真を比較して掲載します。最終日当日に撮影して印刷するのは慌ただしいため、前日までに行うのがよいでしょう。このとき、一度外した学級目標は、手の届くところに掲示しておくようにします。
これ以外の掲示物も、1週間かけて少しずつ外します。後輩たちが気持ちよく使えるように、清掃活動にも力を入れて取り組みます。
個人の荷物も、1週間かけて前日までに計画的に持ち帰ります。大荷物で慌ただしく下校となると、余韻も何もありません。
教室が閑散とし、寂しさを感じますが、この寂しさを味わうことも大切な経験です。教室環境とともに、気持ちも新たなステージへ進むための「区切り」を大切にします。
7 昇降口の「外」で解散する
学級じまいの「さようなら」は、昇降口の「外」で行います。授業終了時刻以降は昇降口が混雑してしまうため、それよりも少し前に、すべての荷物を持って全員で外に出ます。このとき、廊下のフックや靴箱の中や傘立てまで、子供たちと教師の目で最終確認をします。3日前から毎日このようにすると、忘れ物はありません。
昇降口の外で、最後の帰りの会を行います。学級目標を外まで持っていったり、学級のオリジナルソングを歌ったり、円陣を組んだりしたこともあります。
名残惜しくも、短い時間で爽やかに解散しましょう。
8 「計画性」が鍵
学級じまいと気負いすぎて、最終日当日にあれもこれもやろうと思わないことです。最終日「まで」にやっておくことが大切です。
- 2か月前→カウントダウンカレンダーの作成
- 1か月前→通知表の作成
- 2週間前→写真の整理
- 1週間前→掲示物、荷物の整理
- 3日前→お楽しみ会
学級開きと同じく「計画性」が大切です。
イラスト/浅羽ピピ
『教育技術 小一小二』2021年3月号より