小4国語「木竜うるし」指導アイデア
教材名:「木竜うるし」(東京書籍 四年下)
指導事項:読むこと (1)ウ・オ 伝国 イ(オ)
言語活動:ア
執筆/京都府公立小学校教諭・吉田夏紀
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、京都府公立小学校校長・藤本鈴香
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、音読劇をするために、叙述を基に人物の性格や気持ち、場面の様子を想像して読む力の育成を図ります。読み取った場面の様子や人物の気持ちの変化が表れるように音読します。
また、音読劇を発表し合い、それぞれの考え方や感じ方の違いを認め合う態度の育成もめざします。
②言語活動とその特徴
本教材「木竜うるし」は、人形劇の脚本です。脚本は、場面の様子や人物の動作を説明するト書きと台詞からできています。
子供たちがこれまで読んできた物語には、地の文に場面の様子や人物の気持ちが表現されていましたが、脚本には地の文がありません。ト書きによって、場面の様子が説明され、また台詞で構成されています。
本単元では、このような脚本を読み、場面や人物の様子を想像し、人物の気持ちの変化が伝わる音読劇をするという言語活動を位置付けます。音読劇をするという目的をもって脚本を読み、台詞とト書きを手がかりに、それぞれの場面の様子や人物の様子、気持ちを想像して読むことができるようにします。
また、物語とは違う脚本の魅力やおもしろさに気付き、新たな視点で文学作品を捉え、脚本に関心をもって読もうとする意欲や、読書の幅を広げることにつながるようにします。
単元の展開(12時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①人形劇の映像を視聴して関心をもつ。本教材「木竜うるし」を読み、内容の大体と脚本の特徴を捉え、学習課題を設定して学習計画を立てる。
→アイデア1 主体的な学び
【学習課題】脚本を読んで場面の様子や人物の様子を想像し、人物の気持ちの変化が表れるように音読劇をしよう。
第二次(2~9時)
②場面ごとに起きた出来事を確かめ、ト書きから場面の様子を想像して読む。
③台詞から、登場人物の気持ちを想像して読む。
④行動や会話を手がかりに、登場人物の人物像を考えて読む。
⑤ト書きと台詞から、登場人物の気持ちの変化を捉えて読む。
⑥⑦グループごとに役割を決め、登場人物の気持ちや性格が表れるような音読の工夫を考え、教科書やノートに書き込む。
→アイデア2 対話的な学び
⑧⑨グループごとに音読劇の練習をする。
第三次(10~12時)
⑩⑪音読劇の発表をする。
→アイデア3 深い学び
⑫場面や人物の様子を想像し、人物の気持ちの変化が表れるように音読劇ができたかをふり返る。
アイデア1 これまでの学習と関連付けて学習の計画を立てよう

「木竜うるし」は人形劇の脚本で、人物の台詞とト書きで構成されています。多くの子供たちは、脚本を読む学習経験は初めてと考えられるので、まず関心を高めるために人形劇の映像を視聴します。
そして、脚本を用意しておき、脚本の特徴に気付くようにします。映像と脚本を関係付けて読むことで、特徴を捉えられるようにします。場面・台詞・ト書きのつながりに気付き、自分たちも脚本の特徴を生かして音読劇をしようという学習意欲に結び付けます。
「音読劇」という言語活動は低学年でも経験し、また、「こわれた千の楽器」(四年上)の学習でも、工夫して音読することを経験しています。音読や音読劇をするときに、どのような学習をしたかを思い出すことで、音読劇を行うために必要なことを話し合い、学習計画を立てるようにします。
そして、おうちの人や地域の人、ほかの学年の人など、誰に伝えたいかをはっきりさせて学習を進めるようにしましょう。
人物の気持ちが表れるように、音読したいな。一学期に勉強してきたことを生かすといいね。
声の大きさや読む速さ、間の取り方を工夫すると、人物の気持ちが表現できるね。
役割や読む場面を決めて、おうちの人に見てもらいたいな。
アイデア2 場面の様子や人物の気持ちの変化を捉え、音読劇に生かそう
音読劇をするために、場面ごとに起きた出来事を確かめたり、登場人物の行動や会話を手がかりにして場面の登場人物の気持ちを想像したりしていきます。
想像したことを教科書の全文を印刷したワークシートに書き込んでいくことで、想像したことを基に、グループごとにどのように読むとよいか話し合うときの手立てとなります。話し合ったことはワークシートの台詞の横に書き込むとよいでしょう。
▼ワークシートの例
アイデア3 録音・録画機器を活用して互いに評価しながら音読劇に取り組もう
自分たちで話し合い、考えたことを音読劇で表現するために、繰り返し声に出して読むことが大切です。そのとき、音読劇の本番に向けて、グループどうしで互いの発表を聞き合い、よかったところや気が付いたところなどをアドバイスし合う時間をとるとよいでしょう。
また、カメラやタブレットなど録音・録画機器を活用し、自分たちの音読劇の様子を撮影し、視聴することで、自分たちの音読劇の様子を客観的に見ることができ、さらに改善し、工夫しようという意欲につながります。

ここでは、もっと間を取ったほうが、悩んでいる様子が伝わると思うな。
なるほど。もっと間を取るよ。間を取るだけでなく、うつむいたほうが、考えている様子が伝わるね。
他学年の子供たちや、おうちの人などに音読劇を発表できる場を設定します。その際、コメントカードを用意し、簡単な感想を書いてもらうと励みになります。
▼コメントカード

イラスト/やひろきよみ 横井智美
『教育技術 小三小四』2020年3月号より