小6国語「忘れられない言葉」指導アイデア
教材名:「忘れられない言葉」他 光村図書
指導事項:B「書くこと」 ア、ウ
執筆/千葉大学教育学部附属小学校教諭・時田裕
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈 千葉大学教育学部附属小学校副校長・大木圭
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
「随筆」というものに子供たちが初めて触れ、実際に書く活動を通して、随筆に書く事柄について決めたり、自分の経験と考えを区別したりしながら書くことをねらった単元です。
随筆は、自分の思いや考えがあることで成り立つため、それらをもたせることができるかが重要になってきます。また多くの場合、自分の経験談が思いや考えを形成する根拠になります。〈経験談〉と〈思いや考え〉、この両方を注意して書き分けることが大切です。
②言語活動とその特徴
随筆に馴染みのない子供がほとんどであることが予想されますので、「随筆って面白そう」と感じさせられるかが、単元のポイントになります。
「随筆」という名前に堅苦しさを感じてしまう子供が多いようであれば、「エッセイ」という言葉を用いて、子供に親しみやすいエッセイを紹介しながら授業を進めてもよいでしょう。
例えば、さくらももこの『もものかんづめ』や椎名誠のエッセイなどなら、子供たちはある程度、理解できる内容となっています。また、定義しにくいのも、随筆の特徴の一つです。
「随筆とは……」と言葉を尽くして説明したくなるところですが、その定義は難しいと思われます。「単元を終えたときに、何となく随筆のイメージが捉えられていれば十分」というような気持ちで、単元に臨んでもよいのではないでしょうか。
随筆を書く子供がほとんどであることを考えると、一つの大きな工夫をするのではなく、単元全体にわたって細かく、たくさんの工夫をする必要があるでしょう。随筆を書く用紙も、書き直しが容易にできるように、罫線のみの用紙にするなどの工夫が必要です。
※ただし厳密には、「エッセイ」の語源は、随筆とは異なります。
単元の展開(7時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
◎読み手として、随筆の面白さを知る。
①学習の見通しをもつ。
・「ふわふわの雪」を読み、筆者の考えについて知る。
・「明日の私は新しい」を読んだあと、「忘れられない言葉について随筆を書く」という単元の学習計画を知る。
→アイデア1
第二次(2~6時)
◎書き手として、随筆の面白さを知る。
②忘れられない言葉と、言葉に出合ったときのことを書き出す。
・下学年で使っていた教科書や低学年で読み聞かせをしてもらった本など、それまでの学習活動が想起できるものを示す。
→アイデア2
③随筆の文章構成や工夫点を知る。
・「ふわふわの雪」と「明日の私は新しい」の共通している点と異なる点について考え、構成の特徴を知る。
④イメージマップを描き、書く事柄を考える。
→アイデア3
⑤⑥随筆を書く。
第三次(7時)
⑦完成した随筆を読み合い、感想を交流する。
アイデア1 「随筆って面白そう!」と感じさせる
随筆には筆者の思いや考えが書かれています。そこで、「ふわふわの雪」や「明日の私は新しい」の筆者の考えに共感できるかどうか、自由に発言させてみましょう。
イラスト/畠山きょうこ
『教育技術 小五小六』2020年2月号より