小5国語「六年生におくる字をすいせんしよう」指導アイデア
教材名:「六年生におくる字をすいせんしよう」(東京書籍)
指導事項:A「話すこと・聞くこと」 イ・エ
言語活動:ウ
執筆/福岡教育大学附属小倉小学校教諭・廣口知世
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・城戸祥次
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
目的や意図に応じ、説得力のある構成を考えて話す力、話し手の意図を捉えながら聞く力を育成します。
②言語活動とその特徴
本単元には「6年生におくる漢字を推薦する」という言語活動を位置付けます。推薦とは、事物や人物を優れていると認めて他者に薦めることです。議案や考えを出す提案とは異なり、推薦では、自分が優れていると認めた事物や人物を実際に選んでもらえるように働きかけることが求められます。
そのためには、事物や人物についての情報を収集し、推薦する理由を取捨選択するなどして、説得力のある構成を考えることが大切です。「6年生におくる漢字を推薦する」という言語活動は、卒業する6年生に在校生の代表として漢字をプレゼントするという目的、自分が選んだ漢字を選んでもらえるようにするという意図が明確です。
また、子供の既有の経験や漢字辞典などから選んだ漢字についての情報を収集することで、推薦する上で重要となる理由を考えることができます。
単元の展開(5時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①6年生との思い出を振り返り、単元を設定して、学習計画を立て、推薦する漢字を決める。
→アイデア1 主体的な学び
【単元】六年生におくる漢字をすいせんしよう。
第二次(2~4時)
②教科書214ページの「高橋さんのスピーチ」を基に、説得力のある推薦のポイントを見つける。
③教科書213ページの「高橋さんのメモ」を参考に、スピーチメモをつくり、再度、推薦する漢字を決める。
→アイデア2 対話的な学び
④グループに分かれてスピーチを聞き合い、自分と友達の考えを比べ、まとめる。
→アイデア3 深い学び
第三次(5時)
⑤納得したスピーチを選んで、6年生に贈る漢字を決める。
アイデア1 既習の経験を想起する単元の設定
▼資料1 既有の経験を想起するイメージマップ
導入では、資料1のように、「六年生」という言葉を中心に置いたイメージマップを作ります。まず、黒板に、6年生のよさが表れている写真を数枚提示し、それらから連想する言葉を子供から引き出します。
教師はその言葉を、資料1の形式で板書していきます。ここで大切なのは、多くの言葉を書くことではなく、「どのように考えれば、適切な漢字が見つけやすくなるか」という思考の過程を、子供と共通理解することです。
例えば「応援団長と委員長の二つから言えることはどんなことですか」と発問し、「全体をまとめる」という言葉が子供から出た上で、「まとめることを表すのにふさわしい漢字は何だと思いますか」と発問して、漢字を四角囲みで書くという過程です。
この過程を確かめ、個々でイメージマップを作る活動に移ります。
アイデア2 似ている考えをもつ友達同士でのペアの話合い
第3時は、導入で自分が選んだ漢字と、その漢字を推薦する理由に整合性があるかということについて話し合います。6年生に贈る漢字が異なっていても、選んだ経験が同じという場合があります。
イラスト/種田瑞子
『教育技術 小五小六』2020年2月号より