いじめが辛いときに読んでほしい「生きることだけはあきらめないで」

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よしもとクリエイティブ・エージェンシーの養成所「NSC」で講師を務め、さらに漫才作家として活躍されている本多正識さん。デビュー前のナインティナイン、キングコング、南海キャンディーズ、ウーマンラッシュアワーをはじめ、ほぼ1万人近い芸人研修生を指導してきた名物講師です。昨年12月に発売した著書「笑おうね 生きようね─いじめられ体験乗り越えて」を書かれた経緯と共に、いじめにあっている子たちに伝えたい思いもお聞きすることができたので、ご紹介します。

よしもとNSC講師・漫才作家 本多正識 さん
よしもとNSC講師・漫才作家 本多正識 さん

自身の経験から

― 「いじめ」に関する著書を書かれた経緯を教えてください。

本多 実は芸能人で、いじめを受けた経験のある人はとても多いんです。自分も実際にいじめや、親から言葉の虐待を受けた経験があり、17歳から25歳までは家と病院しか知らない青春でした。それでも自分は死を選ばず、しぶとく生きています。

しかし、残念なことですが、近年いじめで自殺する子供が増えています。この本で一番伝えたいのは、「絶対に死なないで」ということ。私は今年で60歳になります。知識や実績は私のほうがあるかもしれないけれど、可能性・夢・チャンスは若い子のほうが圧倒的に多い。まず生きてさえいればチャンスは必ずあります。

でも命を断ってしまうと、そのチャンスすら手にすることはできません。何をあきらめてもいいから、生きることを絶対にあきらめないでほしいということを伝えたいです。

テーマは「いじめ」ですが、マンガを入れたり、教え子でもあるキングコングの西野(亮廣)、南海キャンディーズ山里(亮太)、ウーマンラッシュアワー村本(大輔)の3人との対談を盛り込むなど、手に取りやすい本になっていると思います。

いじめられている子に伝えたい

―いじめに対して、学校現場では何ができるでしょうか。

本多 私は教育に関して素人なので、偉そうなことは言えませんが、私ならいじめられているたちに「君はこの世界に一人しかいない存在なのだから、自分を認めて『今日までよく頑張ったね』とほめてあげよう。今の現実が全てではない。ちょっと横を見れば全く違う世界が広がっている。君の前にある無限の可能性を信じて、いろんなことにチャレンジしてみよう!」と伝えたいですね。

NSCに来る芸人志望の子たちも、表面的には自信満々に見えますが、実は「講師や同期生からどう見られているんだろう?」と、とても気にしています。そんな彼らに、「今は周囲の評価を気にしなくていい、自分たちが面白いと思うことを精一杯にやることが大切」と伝えています。いま活躍している生徒たち、ナインティナイン、キングコング、友近…数え上げたらきりがありませんが、みんなそういう葛藤を経てお笑いの世界で生き残っています。

「A君はできるのに、どうしてあなたはできないの?」という叱り方をする親御さんが多いように思いますが、我が子はA君ではありません。違っていて当たり前です。ですから何よりも「あなたはこの世の中で唯一無二の存在なんだよ!だから自分を大切にしようね」と伝えてあげてほしいと思います。

先生方には逆に、「子供たちから自分はどう見られているのか?」ということをしっかり意識していただきたいです。一人ひとりの違いが分かれば、自ずとかける言葉も変わってくるでしょう。

言われて嬉しい言葉もNGワードも一人ひとり違います。どうぞ、しっかりと見極めてあげてください。


笑おうね 生きようね いじめられ体験乗り越えて
著/本多正識   定価:1300円+税
ISBN 978-4-09-388662-8
試し読みはこちら

著者の教え子でもある一流芸人や、著者自身のいじめられ体験と、それに負けずに生き抜いたことを、今、いじめに直面し辛い思いを抱えている人たちに伝えたい。そして、あなたは決して一人ではないということを知ってほしい。笑うことで生きる力を取り戻せるなら・・・。笑おうね。そして、生きようね。一人ひとりに明るい未来はあるはずです。

取材・文:加藤舞(EDUPEDIA) まとめ/出浦文絵 撮影/編集部

●これと関連したインタビュー記事が「EDUPEDIA」でも配信されます。

 『教育技術』2019年 2/3 月号より

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