小6外国語「思考・判断・表現」を育成するための手立てとは
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外国語学習で「思考・判断・表現」を育成するためにできる手立てとは? 小学校外国語科検定教科書の編集委員でもある神奈川県公立小学校の長沼久美子先生による好評連載です。
執筆/神奈川県公立小学校教諭・長沼久美子

目次
Q1 「一番思い出に残っている学校行事についてたずねあおう」の学習で子どもの思考・判断・表現を育成するためには、どのような手立てを取るとよいのでしょうか。
(教育出版『ONE WORLD Smiles6』P.77)
A.準備シートに書いたことの他にも、複数のやりとりを想定して、話せるような支援をしてみましょう。
この学習では、学校生活の中で一番思い出に残っていることを聞き合い、わかったことをメモしていきます。
事前にどんなことを話すか考える時間があり、教科書の巻末に、話す内容をシナリオのように書く場所もあります。この準備を通して、子どもは思考・表現をします。
一方、この活動は、子ども同士の会話のやりとりがメインです。よって、やりとりにおける思考・表現も重要になります。例えば、事前に用意した内容だけを読んで、一言「Nice!」と言うだけでは、思考・表現しているとは言えません。
6年のこの時期になると、準備したシナリオにない会話ができるレベルに達している子どももいます。そのような子どもには、会話の相手(いわゆる聞き手)によって、内容を変えたり、話す量を変えたりできるように、複数のやりとりのシナリオを想定できるように支援することが重要となります。そこで、準備シートを書いている際に、
もし、相手が興味を示したら、思い出のエピソードを付け足せるようにしてみるといいよ。
というような声かけをしてみてください。
シナリオ通りのやりとりも難しいと思われる子どもに対しては、準備の段階で、相手役になって、やりとりのイメージがつかめるような支援は、どうでしょうか。
What’s your best memory?
と、話しかけて、
運動会!
等のやりとりが返ってきたら、
Your best memory is sport day. だね。一番楽しかったことは? What’s the best ?
というように、具体的なやりとりを通して、思考・判断を促す働きかけをしてみてください。
外国語学習における「思考・判断・表現」について、こちらの記事でも解説しています! → 小6外国語:「思考・判断」の見取りのポイントを教科書編集委員が解説
Q2 「わたしたちの食生活について考えよう」でアクティビティ「Point and Say Game」をする際、子どもが思考・判断・表現するためには、どのような手立てがありますか?
(東京書籍『New Horizon Elementary6』P.52、56・57)
A.家庭科や社会科の既習事項と結びつけながら考えられるように、補助資料を用意しましょう。
この活動は、ある品物がどこで作られたのかを当てるクイズのようなものです。クイズなので、回答するまでに思考・判断が繰り返されます。
生産地を当てるため、地名が登場します。既存知識として、スーパーでの買い物の経験、チラシを見た経験、世界の国名の知識、日本の都道府県に関する知識などをある程度持っていないと、答えることが難しくなります。例えば、地名を聞いて、「初めて聞いた」「どこなの?」となってしまっては、クイズに回答するための思考・判断に至りません。
教師にとっては、既存知識であっても、子どもは知らないこともよくあります。そのため、この活動に入る前に、関連する単元(例えばUnit3等)を振り返り、地名を確認したり、資料や地図などを提示したりしながら、生産地となる国の既存知識を掘り起こすような支援をしてみてください。
フィリピンはここにあるね。温暖な気候の国だから、バナナが収穫できるのだね。
外国語学習における「思考・判断・表現」について、こちらの記事でも解説しています! → 小6外国語「思考・判断・表現」の見取り方を教科書編集委員が解説