小6国語「ヒロシマのうた」指導アイデア
教材名:「ヒロシマのうた」他 東京書籍
指導事項:C読むこと エ オ
言語活動:エ
執筆/千葉大学教育学部附属小学校教諭・時田裕
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈 千葉大学教育学部附属小学校副校長・大木圭
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、「ヒロシマのうた」とそれに関連する本を読み、読んでほしい本を推薦する活動を行います。複数の本を比較しながら読むことで、「あの本は物哀しい結末だったのに、この本は明るい未来を感じる終わり方だ」など、自分の考えが生まれます。
また、推薦の際に引用したり推薦文を考えたりすることは、本文の優れた叙述について考えることに結び付きます。
②言語活動とその特徴
戦争や平和に関する本を推薦することを活動のゴールとして位置付けています。単元の早い段階から、個人が選んだ本について推薦活動を始めることも可能ですが、そうすると、選んだ本の特徴に合わせて、一人ひとりに違う指導を行う必要が生まれます。
そこで、「ヒロシマのうた」の推薦カードを教師が作成して示すことで、推薦カードに書くべき事柄を理解させ、次に、子供が選んだ本について推薦カードを書きます。
「ヒロシマのうた」は、行動が中心となって書かれており、登場人物の心情が描かれていない場面もあります。こうした場面について発問することで、登場人物の心情を考える学習も可能です。
単元の展開(9時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
■単元の見通しをもつ
→アイデア1
①戦争や平和について書かれた本を読み、選んだ本について推薦カードを書くという活動の最終ゴールを知る。「ヒロシマのうた」の範読を聞き、感想を記述する。
②本単元に関係する図書の一覧と読書記録を配付し、読書を始める(必要に応じて、読み聞かせなどを行う)。読書は単元を通して、空いた時間などに取り組むように伝える。
第二次(3~5時)
■「ヒロシマのうた」について学習する
③④「ヒロシマのうた」の感想をまとめた用紙を子供に配付し、共有したり、疑問点について話し合ったりする。登場人物の心情を書き入れた人物関係図を作る。
→アイデア2
⑤「ヒロシマのうた」の最終場面での「わたし」の心情を考え、結末の描かれ方の妥当性を話し合う。教師が作成した「ヒロシマのうた」の推薦カードを子供に提示する。
→アイデア3
第三次(6~9時)
■推薦活動を行う
⑥戦争や平和について書かれた本の読書を行い、推薦する本選びを始める。
⑦⑧推薦する本を決め、カードを作る。
⑨推薦カードを用いて、推薦し合う。
アイデア1 いつでも関連読書が手に取れるようにする
戦争をテーマにした本の学習では、戦争の悲惨さや平和などをテーマとすることが多いでしょう。しかし、これらについて考えるのであれば、「ヒロシマのうた」のような教材ではなく、戦場カメラマンの撮影した写真などの方が、子供たちにはストレートに伝わります。
イラスト/畠山きょうこ
『教育技術 小五小六』2019年12月号より