これからの外国語教育「スモールトーク(Small Talk)」の進め方
新学習指導要領において外国語の正式な教科への指定により、2020年の全面実施へと大きく舵をきる外国語教育。そこでは、“実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う”「言語活動」が重要なポイントになります。文部科学省・直山木綿子教科調査官による、第15回全国小学校英語教育実践研究大会三重大会での講演では、スモールトーク(Small Talk)の実践による授業改善例が紹介されました。
本当のことを伝え合うから楽しいスモールトーク
これまでの高学年の外国語活動の授業で、子供たちが「黒板に貼られた掲示物の会話を見ながら言っている」「言い方をカタカナでプリントの隅に書いて、それを見ながら言っている」ということはありませんでしたか。
そのような中、教師には「決まったパターンを言わせるだけでいいの?」「覚えたことを言っているだけではないの?」「子供の本当に聞きたいこと、言いたいことなの?」と外国語活動の授業に対する意識の変化が見られるようになりました。そんな意識を、もう一歩進めてみましょう。
例えば、高学年用新教材に設定されているスモールトークは、
- ライブ、本当のことを言うから、楽しい。
- その場で何が出てくるか分からないから、楽しい。
- 今までに習った語句や表現からどれを使ったらよいかを考えて言えたとき、相手に伝わったときは、とても嬉しい。
というように、子供たちは本当のことを伝え合うから、楽しさや嬉しさがあるのです。
スモールトークの進め方例
そのようなスモールトークにするための進め方例として、 次のようなものが考えられます。
- 教師と子供で、簡単なやり取りをする(話題の提供)
- 子供と子供とで、やり取りをする(まずは、やらせてみる)
- 指導(言えなかったことを、既習表現に結び付けられるようにヒントを出す。みんなでどう表現すればよいかを考える)
- 相手を替えて、再度子供と子供でやり取りする(既習表現を意識して活用させる)
スモールトークをするのに必要なものは何?
- 子どもの既習語句や表現を把握していること
- 子どもが興味をもって話すだろうという、また、学習単元とかかわりのあるお題が選択できること、つまり深い子ども理解と単元目標、ゴールとなる言語活動の具体を意識していること
- 使いながら、使えるようになるという意識
- 子どもがどう言ったらいいか分からないということを、既習表現を活用できるようにかみ砕くこと
- 学習規律がある学級を創っていること、つまり「学習集団」づくり
- 子どもとやり取り、子ども同士でやり取りをして進める授業形態を、どの教科等でも実践していること
- 子どもとやり取りをする英語力
具体的な授業実践
『教育技術 小五小六』5月号本誌では「外国語の授業レポート」が特集されています。特集ページには、購入者特典のウェブ版映像付録を見られるパスワードが掲載されており、具体的な授業実践の様子を動画でご覧いただけます。詳しくはこちらから。
『教育技術 小五小六』2019年5月号より