小3理科「ものの重さをしらべよう」指導アイデア
執筆/福岡県公立小学校教諭・幸野優
編集委員/文部科学省教科調査官・鳴川哲也、福岡県公立小学校校長・古澤律子
目次
単元のねらい
物の形や体積に着目して、重さを比較しながら、物の物質を調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に差異点や共通点を基に、問題を見いだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成します。
単元の流れ(総時数6時間)
一次 ものの重さと形(4時間)
① 身の回りにあるいろいろな物を手に持ち、重さを比べる(1時間)
② はかりやてんびんの使い方を知り、身の回りの物の重さを調べる(1時間)
③ いろいろな形に変えたときの物の重さを調べる(2時間)
二次 ものの重さとしゅるい(2時間)
① 同じ体積で、種類の違う物の重さを調べる(1時間)
② たしかめよう・学びを生かそう(1時間)
準備物
●身の回りの物(消しゴム、のり、はさみ、空き缶など)
●透明プラスチック容器
●粘土
●アルミニウム箔
●はかり(小数点以下は表記できないものがよい)
●同じ体積で重さの違う物(鉄、木、プラスチック、ガラスなどでできた球や立方体) ※五年生で使う振り子の球が使えると思います。
■単元デザインのポイント■
○ 単元の導入で、同じ重さの粘土の形を変えて比べたり、プラスチック製のスプーンと金属製のスプーンや、アルミ缶とスチール缶など、同じものでも材質の違う物を比べたりする活動をすることで、『形と重さの関係』と『形と種類の関係』の二つの問題を見いだすことができる。
○ 手ごたえなどの体感を基に、てんびんや自動上皿はかりを用いて重さを数値化するなど、定性から定量へとより科学的に追究することができる。
見方
「質的・実体的」のメガネで見てみよう!
質的・実体的
・物は、どんな形に変えても、重さは変わらない。
・物は、それぞれの種類(材質など)が違うので、体積が同じでも重さが違うことがある。
考え方
・物の形を変えたときの重さや、材質が異なる物の重さを「比較」して考える。
単元の導入
それぞれ、どちらが重いかな?
丸い粘土のほうが、つぶれたほうより重い気がするけど・・・
同じ空き缶なのに、アルミとスチールで重さが違う気がするよ!
同じものでも、つぶしてあるほうが軽いのかな? 同じ大きさでも、物の重さは変わるのかな?
必要な観察技能の指導を確実に行う
はかりの使い方
① 水平な所に置く。
② 数字を0にする。
③ 量りたい物を静かに載せて数字を読む。
・入れ物を使うときは、入れ物を載せてから数字を0にする。
授業の展開例(一次 第3時)
物は形が変わっても全体の重さに変化がないことを学習する場面です。結果を一覧掲示する際、視覚的に捉えやすい表として提示することで、差異点や共通点が明らかになり、物の重さについての問題を見いだす力の育成につながります。
いろいろな形に変えたときの物の重さを調べる
【自然事象へのかかわり】
粘土で遊んだときのことなどを想起させ、薄くしたり、伸ばしたりすると重さに違いはあるのかについての問題につなげます。
指導のポイント
イラスト/たなかあさこ、横井智美
『教育技術 小三小四』2019年12月号より