小2算数「かけ算(1)」指導アイデア
執筆/福岡県公立小学校教諭・阿部万優子
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏

目次
本時のねらいと評価規準
[本時4 /25時]
ねらい
乗法の意味(一つ分の大きさが決まっているときに、その幾つ分かに当たる大きさを求める場合に用いられる)について理解する。
評価規準
乗法が用いられる場面を具体物や図を用いて考え、式や言葉で表すことができる。[知識・理解]
問題場面
ゆうえんちのえから、かけ算のしきになるばめんを見つけましょう。

今日は、前の時間に学習したかけ算を見付けましょう。
かけ算は、どんなときに使えますか?
この絵のように、1台のコーヒーカップに3人ずつ乗っていて、2台あるときだと思います。
前の時間に出て来たように、2人乗りの自転車に2人ずつ乗っていて、6台あるときだと思います。

そうですね。(前の学習に使った自転車の絵を見せて)2人ずつ6台分で12のように、1つ分の数が何個あるかで、全部の数を表すときに使えますね。コーヒーカップの他にもかけ算になる場面を、遊園地の絵から見付けてみましょう。
本時の学習のねらい
かけ算のしきになるばめんを見つけて、ブロックやしきやことばであらわそう。
子どもたちに、ブロックを使って表すよう指示をします。遊園地の絵からかけ算に表すことができる絵を見付けたら、その場面をブロックで表した後に、かけ算の式を書かせます。式で表した後に、「〇人ずつ〇個だから、全部で〇人」のように、 意味を言葉で説明するよう促します。
見通し
1つ分に同じ数ずつ乗っているものを見付ける。
自力解決の様子
A つまずいている子
1台ごとに同じ人数ずつ乗っている乗り物を見付けられない。または、見付けていてもブロックで表していない(挿絵に〇を付けるなど)。

B 素朴に解いている子
1台ごとに同じ人数ずつ乗っている乗り物を見付け、ブロックとかけ算の式で表しているが、意味の説明ができない。

C ねらい通りに解いている子
1台ごとに同じ人数ずつ乗っている乗り物を見付け、ブロックとかけ算の式で表し、その意味を言葉で書いている。

学び合いのポイント
子どもたちは、かけ算( 1 )の1時間目の学習で、いろいろな乗り物の人数を調べ、「1台に何人ずつで何台分ある」という人数の表し方を学習しています。本時の学習では、その学習を生かして、かけ算の式に表すことを考えていきます。Aの子どもについては、全体交流前に個別に指導を行い、自力解決ができるようにしましょう。
全体交流では、Bの子どもから発表させ、その付け加えとしてCの子どもが発表することで、ブロックと式の意味の関連付けを図りましょう。
また、絵→ブロック→式の順番だけではなく、Cの子どもが書いた式を示して、それを絵の中から見付ける活動や、示した式をブロックに置き換える活動も行いましょう。
ノート例
全体交流
遊園地の絵から、かけ算の式になる場面を教えてください。

私は、飛行機の人数をかけ算で表すことができると思います。1台に乗っているのが3人だから、3つのブロックを置いて、それが4台あるから、3つのブロックが4個できます。
その式は、どうなりますか?
3×4=12になると思います。他にもあります。ゴーカートです。
ゴーカートの人数を発表してもらう前に、その人数をかけ算の式になるように、ブロックで表してみましょう。
※机の上でブロックを操作した後に発表する。

では、発表します。ゴーカートには、1台4人ずつ乗っていますから、ブロックは4個置きます。そして、このゴーカートが3台あるので、ブロック4個が3つできます。だから、4×3=12になります。
※遊園地の絵からかけ算の式を発表した後に、かけ算の意味理解を深めるために、下のような交流を行ってみましょう。
ここに出て来た2つの式を比べてみましょう。全部の数は、12で同じですね。飛行機とゴーカートに乗っている人は、全員で12人ですね。でも、3×4=12と4×3=12と式が違いますね。どうしてですか?
1つ分の数が違っています。
1つ分の数が違うのに、全部の数が同じ数になっていますね。
飛行機は、1台に3人ずつで4台です。ゴーカートは、1台に4人ずつで3台です。
1つ分の数といくつ分が逆になっています。
1つ分の数といくつ分が逆になっても、全部の数は変わらないですね。
かけ算の式は、他にもあるかもしれないから、いろいろ探してみよう!
本時のまとめ
かけ算のしきであらわすことができるのは、1つ分のかずが同じで、それがなんこかあるときです。
評価問題
このえの中から、かけ算を見つけて、しきであらわしましょう。かけ算のしきを図であらわしましょう。

感想例
かけ算の式を見付けるときは、1つ分のかずといくつ分を考えることが大切です。
イラスト・コダシマアコ 横井智美
『教育技術 小一小二』2019年10月号より