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遊びに出かけるのによい場所をALTに紹介するという単元【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #64】

連載
全国優秀教師にインタビュー! 中学校編 中1〜中3を見通す! 「高校につながる英・数・国」の授業づくり

今年は、全国英語教育研究団体連合会(全英連)の全国大会は、静岡県で開催されます。全国学力・学習状況調査の結果が良好なこの静岡県で、文部科学省の元視学官、現関西外国語大学の直山木綿子教授が英語科全体の授業力を高く評価するのが、焼津市立焼津中学校です。そして、この焼津中学校で、直山教授も授業力を評価するだけでなく、今年の全国大会で発表を行う予定になっているのが、藤根聖太教諭です。

そこで、今回からは藤根教諭の単元・授業の実践例とその背景にある授業づくりの考え方について紹介をしていきますが、初回となる今回は、1年生の単元、「私たちのとびっきり静岡をJourdinに紹介しよう」という単元を紹介します。

遊びに出かけるのによい場所をALTに紹介するという単元【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #64】 バナー

ALTが友達と2人で出かける先を紹介する

まず、単元構想の経緯やその単元構成のポイントと、その単元のゴール設定の鍵となる1/8時の授業の様子について、藤根教諭は次のように話します。

「実は、事前にALTのJourdinと話をしていると、彼女は静岡に来たばかりで、日本全体でも東京や関西の一部にしか行ったことがないと言うのです。そこで、Jourdinに静岡で遊びに出かけるのによい場所を紹介するという単元をつくっていくことにしました(資料1参照)。子供たちは、Jourdinが静岡の景勝地や観光地など、どこにも行ったことがないと知ったら、必ず教えたくなると思ったからです。

加えて、この単元は教科書では三単現が新出なのですが、JourdinにはLaurenというALTの同期の仲間がいます。ですから、2人で出かける先を紹介することになれば、JourdinにLaurenのことを聞くために、必ず、Does she~? という表現も必要になると考えたのです」

資料1

「私たちのとびっきり静岡をJourdinに紹介しよう」の単元計画
「私たちのとびっきり静岡をJourdinに紹介しよう」の単元計画

実際にそのような学習の動機付けであり、学習のゴールに向けた重要な起点となる1/8時の授業はどのようなものだったのでしょうか。藤根教諭は次のように話します。

「授業では毎時間、必ず発声しやすい雰囲気をつくるために、帯活動のスモールトークを行っています。この部分は学習内容に応じて意図的に仕掛けるところで、この日の授業では、“Where do you want to go in Shizuoka?”をトピックに、会話を広げていきます。(資料2参照)。

そこから、ALTのJourdinの紹介も含めて、子供たちの前で私が英語でJourdinに話を聞いていきます。その中で、Jourdinがこれまでどのように過ごしてきたか聞くと、『日本では東京と関西の一部には行ったことがあるけれど、静岡はまだどこにも行ったことがない』と答えます。そこで私が、『静岡ではどこにも行ってないの!』と驚き、『No、静岡じゃん!』と煽るように子供たちに話すと、ノリのよい子供たちは『おい、おい、おい!』『静岡、いい所あるよな!』と言います。そして、『じゃあ、Jourdinに静岡のいい所を紹介してあげよう!』と子供たちはノリノリになっていきます。

この授業は10月の初めで、10月の連休では近すぎるので、11月の連休を意識させ、『静岡でいいところを紹介してあげよう』という話になるのですが、『行くとしたら、1人で行くのかな?』という話になります。そこでさらにJourdinに聞いていくと、『焼津市内にLaurenという友達がいて、行くとしたらこの友達と行くだろう』と答えます。すると、『じゃあ、彼女たち2人が行きたくなるような、静岡の場所を紹介してあげようよ』と子供たちは考えていきます。

資料2

「私たちのとびっきり静岡をJourdinに紹介しよう」1/8時の指導案
「私たちのとびっきり静岡をJourdinに紹介しよう」1/8時の指導案

ちなみに、子供たちは小学校で過去形の一部、例えば、I went to~. I saw~. I ate~. It was~. といった表現を学習しています。加えて1つ前の単元で、その部分は再度、学習しています。そこで、『ネット検索した情報で紹介してもリアリティがないし、興味が湧かないな』と子供たちが感じ、自らの体験を通して、I went to~.などと伝えたくなるようにしたいと考えました。

そこで私が、実際に静岡を紹介するバッドモデルを見せていきます。例えば、御殿場プレミアムアウトレットに行ったことはないけれど、ネット検索したような薄い情報を基に、“You can enjoy shopping, delicious foods…”と紹介してみせるのです。すると、Jourdinの反応は今一つで、見ていた子供たちも『これじゃダメだ』と感じます。そこで私が『やっぱり自分が実際に行ったところのほうが根拠をもって説明できるね。それに、自分にしかできない紹介ができるんじゃない?』と投げかけ、子供たちも納得して、行った経験のある場所を紹介することにしました。

さらに、私から『Jourdinにしても、Laurenにしても、どんな人か分からないと、こちらの思い入れだけで薦めても楽しんでもらえるかどうか分からないから、彼女たちがどんな人か情報収集をしよう』と投げかけます。そこから小集団に分かれて、どんなことを聞いていくかアイデアを出し合っていきました。その間、Jourdinにはグループの間を回ってもらっていたので、Jourdinが近くに来たら質問したり、どうしても早く質問したいグループはJourdinのところまで行って質問したりしました」

 ちなみに藤根教諭は、「JourdinにLaurenのことを聞くときは、“Does Lauren~?”を使う」とだけ説明した後、活動に入りました。また、活動の途中で使った表現や集めた情報を共有し、後半の活動につなげたそうです。

Jourdinにも伝わった子供の工夫と熱意

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