「イマージョン教育」とは?【知っておきたい教育用語】
外国語で教科を学ぶことにより、言語能力と教科学習を同時に伸長することで注目される「イマージョン教育」。その基本的な考え方と、効果や課題などについて解説します。
執筆/文京学院大学名誉教授・小泉博明

目次
イマージョン教育とは
【イマージョン教育】
従来の語学の学習法とは異なり、子供を外国語に浸す(immerse)ことで、外国語の環境をつくり、語学力を伸長させる学習法。
学校で、外国語を学習するには「英語」「ドイツ語」などの科目を日本語で学習するのが一般的です。しかし、イマージョン教育では算数、理科、社会などの教科の授業を外国語で学習し、その言語を習得するのです。
イマージョン教育には、授業で使用する言語の割合において、二つの形式があります。
●完全イマージョン形式
全ての授業を目標言語で学びます。英語であるならば、国語以外の全ての教科を英語で学びます。目標言語の習得が速く、高い学習効果が期待されます。
●部分イマージョン教育
特定の科目だけを目標言語で学ぶ形式です。子供の負担を少なくし、徐々に新しい言語に慣れることができます。小学校では、低学年では部分イマージョンを行い、高学年になると完全イマージョンに移行する場合があります。
また、イマージョン教育には、二通りの授業の進め方があります。
●一方向性イマージョン教育
全員が同じ目標言語を学ぶ方法です。教室全体が一つの言語環境に浸るので、子供は支え合いながら学ぶことになります。
●双方向性イマージョン教育
二つの言語を話す子供が同じ教室でともに学びます。例えば、英語を話す子供とドイツ語を話す子供が同じ割合で在籍し、両方の言語を使用して学びます。
イマージョン教育の効果
イマージョン教育には、次のような教育的な効果があるとされています。
●自然な形での言語の習得
習得したい目標言語を使用し、算数、理科、社会などの教科を学ぶことにより、実際の生活や文脈に即した形で言語に触れることができます。言葉を覚えるだけではなく、実践的な会話力が身に付きます。
●多様な文化を受け入れる下地
子供たちは、目標言語を使用する国や地域の文化にも触れることができます。また、その背景にある文化や価値観、歴史を理解する習慣が自然に育まれます。異文化を理解する力は、多様性を受け入れる下地となります。
●認知能力の高まり
異なる言語環境で学ぶことで、複数の情報を同時に処理するスキルや、柔軟な考え方が自然に養われます。言語を学び物事を考えるプロセスそのものが脳を刺激し、創造的な発想力を引き出すと期待されます。
