【小6・社会「新しい文化と学問」】[第2回]適切な支援により生まれる子供同士の学び合い〈デジタル×深い学び〉
今回は、2025年11月に板橋区立志村小学校で行われた小学6年生・社会科の研究授業(本橋寛之教諭)の45分に焦点を当てます。紙とデジタルを行き来できる学習環境、進度を見える化して支援につなげる仕組み、そして、子供同士の学び合いが立ち上がる瞬間――教室では、子供一人ひとりの学びが止まりにくい工夫が重なっていました。
新渡戸文化小学校教諭であり教育デザイナーの西田雅史氏のコメントとともに、その授業の姿を紹介します。
この記事は、連続企画『「デジタル×深い学び」の授業デザインReport』の34回目です。記事一覧はこちら

東京都板橋区立志村小学校
学校目標は「共に生きる」。校内研究では「共学共創」を研究理念に掲げ、「志村小アドバンス学習」を推進。学びに向かう力を育て、学び合いを通して確かな学力の育成をめざすとともに、個別最適で協働的な学びや自由進度学習のグランドデザインづくりに取り組んでいます。
目次
[授業のはじめ]
本時の目標を共有し、学習を子供に委ねる
この単元では、子供たちは自分が興味をもった順番で学習内容を選択し、調べ学習を進めます。学習内容は、本橋先生が提示した次の中から選びます。
①江戸時代に生まれた文化について調べよう。
②どのような文化が今につながっているかを調べよう。
③江戸時代に発達した産業や交通について調べよう。
④江戸時代に生まれた学問について調べよう。
⑤江戸時代にはどのような教育が行われていたのか調べよう。
授業のはじめには、前時までの学習をふり返りながら、子供たちが自分の学習状況を確かめる時間がありました。本橋先生は「今日は自由進度の5時間目」と位置づけ、これまでの学習の流れを踏まえながら、次に進む内容を確認していきます。
例えば、「順番通りに進めている人は、『学習内容④ 江戸時代に生まれた学問について調べよう』に取り組んでください。学習内容④に入っていれば順調です」と声をかけ、子供たちが迷わず取組を始められるよう方向性を示しました。さらに、進度を示す達成率にも触れ、「今日は水色(80%)になってほしいです。80%まで終わっていたら順調です」と、目安を共有します。このように、学習の見通しと現在地をそろえたうえで、本橋先生は子供たちに次の選択を促しました。
誰とやるか、どこをやるかを決めてください。決まった人は先に自分でスタートしていいですよ
子供たちは移動して、それぞれの場所で学習をスタートさせます。授業開始から約5分が経つ頃には教室が落ち着き、子供たちが自分で選んだ方法で学びを進めていく時間へと切り替わっていきました。
[授業のなか]
迷わずに進める、深めるための学習環境
授業は、ワークシートの内容は同じまま、紙で取り組むか、Googleスライドを用いたデジタル形式で取り組むかを選べるようにデザインされていました。PCの操作に慣れている子供はデジタルを軸に学習を進め、書くことに安心感がある子供は手元の教科書や資料集などを手がかりにしながら学習を進めます。学び方の個人差を前提に、取組の入り口が複数用意されていました。
●教科書・ワークシートの電子化
デジタル形式を選んだ子供に対しては、教科書や資料集のページをスライド化して提示することで、必要な情報にすぐアクセスできるようになっていました。


●Google Classroomで情報をまとめて発信
動画資料もURLとして整理され、Google Classroom上に時程ごとに配置されているなど、「デジタルが得意な子なら1台で完結できる」環境が整えられています。

授業中、本橋先生は子供たちの学習の進行状況をモニターで常に確認できるようにし、進度に変化が見られない子供を素早く把握して、スムーズに支援できるようにしていました。

【西田講師からひと言】
本橋先生の声かけをきっかけに考えが深まり、先生がその場を離れたあとも子供同士の対話が続いて教室が盛り上がる場面が見られるなど、学びを前へ動かす声かけが随所に行われていました。学びが深まるきっかけとなる「知らないことを知る《知の興奮》」が、教室の中で確かに起こっていました。
【西田講師から一言】
本橋先生は、教室のあちこちに目を配りながら、必要な場面で的確に声をかけていました。学習の進度を確認するマネージャー、個別の理解を支えるインストラクター、子供同士をつなぐファシリテーターなど、教師の役割を場面に応じて切り替えていた点が印象的でした。


