授業で発言できない子供への対応法【子供の個性と能力を最大限に引き出す 学級経営の極意Ⅲ④】

子供の個性と能力を最大限に引き出すためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に、学級の中で個々の子供の力を伸ばしていく方法について解説します。第4回は、授業で発言できない子供への対応について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
授業は、子供たちの「多様な発言」によって、対話的で深い学びの場となります。子供たちが自分の考えを発表し合い、他の考えを理解し合うことで、多面的、多角的な集団思考として学ぶことが可能となります。しかし、なかなか発言できない子供も少なくない現状があります。本来、「発言できない子供」は、「発言をしたくない」のではなく、「発言しにくい状況に置かれている」という教師の認識からスタートする必要があります。そこで、子供たちが進んで発言できるように指導するにあたって、次の3つのキーワード「発言を阻害する要因」「発言阻害をする要因への対処」「指導上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 発言を阻害する要因を正しく把握しよう
「発言しにくい子供」が出てしまう要因は多岐にわたります。まず、子供の成長過程における発達の段階、個々の子供の特性などによる子供自身に関する要因があります。また、集団の雰囲気や友達との関係性などによる学級集団に関する要因も考えられます。
さらに、この2つの要因の基盤となるのが、授業での教師の在り方です。教師の発問の仕方や投げかけ方、子供の発言の受け止め方などによる「教師の関わり方」に関する要因も大切な視点です。それぞれについて、その要因を2つに大別して取り上げます。
「発言を阻害する要因」を検討します
上記のように「発言しにくい子供」の理由には、大別すると「子供本人に関すること」と「学級集団等に関すること」があります。そして、この2つの要因は「教師の言葉がけ」の在り方によって変わってくるものです。
(1)子供本人に関すること
①子供自身の「感情」によるもの…言いたいけれど発言する「勇気が出ない」
②発問の「理解不足」によるもの…質問されている内容が「理解できない」
③授業への「関心度」によるもの…授業への関心が低く、言うことを「思いつかない」
④発表の「表現技術」によるもの…どう言えばよいか、発表の仕方が「分からない」
(2)学級集団等に関すること
⑤他への過剰な「意識」によるもの…「文句や馬鹿にされる」ことがないか心配
⑥他との発言の「重なり」によるもの…他の人が「同じ発言」をしたので言えない
このような「発言を阻害する要因」をつくってしまうことも、その阻害要因を改善していくことも「教師の関わり方」が基盤になることを踏まえて、指導の改善に取り組みましょう。
CHECK② 発言阻害をする要因への対処
発言阻害要因の分析に基づいて、具体的に「教師の指導」を改善していくことが求められます。あくまでも、子供たちは「発言したくない」存在ではなく、「発言できにくい状況」に置かれている存在であるという教師の認識からスタートします。個々の子供の実態を踏まえた「個別指導」、学級集団としての凝集性等を踏まえた具体的な場に応じた「集団指導」を適切に行うように努めていきましょう。
発言を阻害する要因への対処を行います
前記の発言を阻害する要因に対して、例えば、学級会の話合いの場面では、次のような対処についての構想を立て、指導に当たっていくことが考えられます。
(1)子供本人に関すること
①言いたいけれど、発言する「勇気が出ない」
→学級会では、学級会ノート等を活用して発言内容を事前に準備できるようにする。
②質問されている内容が「理解できない」
→今、話題となっている内容について、教師がどの子供にも分かるように助言する。
③授業への関心が低く、言うことを「思いつかない」
→議題選定を全員で行い、議題について事前の予告等を行い、関心を高める。
④どう言えばよいか、発表の仕方が「分からない」
→基本的な話型を提示し、各教科等でも繰り返し発表の仕方を指導する。
(2)学級集団等に関すること
⑤「文句や馬鹿にされる」ことがないか心配になる
→支持的な風土を醸成し、互いのよさを見取る活動を積極的に取り入れる。
⑥他の人が「同じ発言」をしたので言えなくなった
→同じ意見のよさを指導し、「私もAさんと同じで~」と発表の仕方を指導する。
一人一人の子供なりの自己表現を積極的に見取り、全体に広げていきましょう。

