子供の「個性」を伸ばすために必要な視点と配慮すべきこと【子供の個性と能力を最大限に引き出す 学級経営の極意Ⅲ②】

子供の個性と能力を最大限に引き出すためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に、学級の中で個々の子供の力を伸ばしていく方法について解説します。第2回は、子供の「個性」を伸ばすために踏まえておきたい視点について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
子供一人一人の「個性」を伸長することは、教師に求められる重要な指導の視点です。ただ、「個性」という概念について、教師の認識の違いにより、指導の手立ても変わってくることがあります。ここでいう「個性」とは、単に他者との比較によって、特別な行動などをすることを指すものではありません。そこで、子供一人一人の「個性」を伸ばしていくために、次の3つのキーワード「個性についての認識」「個性を伸長する視点」「指導上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 「個性」について正しく認識しよう
「個性」とは、「個々の人または事物に備わった、そのものの特有の性質や特徴のこと」を意味しています。しかし、一般的には、「あの人は個性的な人ですね」と言われた時、それはあまりよい意味で捉えられていないように感じます。悪く言うと、独善的であり、他者と違う特異なことに視点を置いているという認識があるように思います。
「個性」の構成要素の1つには「社会性」という概念も包含されているという視点をもつことが求められます。このことから、単に自分勝手な行動は「個性」と捉えずに、子供たちが他とともに協働しながらよりよい生活を送ることができるように支援していきましょう。
「社会性」の育成を重視して「個性」を伸長します
子供たちは、多様な他者との関わりの中で「社会性」を身に付け、「個性」を伸長していきます。「社会性」の視点を踏まえた教育指導を行う際には、「協働」した活動を展開していくことが肝要です。
ここで言う「協働」とは、「複数の主体が、何らかの目標を共有し、対等な立場でともに力を合わせて活動する」ことと捉えます。学習指導要領の前文にも「一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働する」ことの大切さを示しています。
このような考えを踏まえ、教師自身が次のような視点をもって指導の手立てを講じていきましょう。
CHECK② 個性を伸長する視点とは?
子供一人一人の「個性」を伸ばすためには、子供同士が関わりながら「協働」する活動を展開することが大切です。その際、教師は「一人一人が活躍できる場面」を意図的に取り入れる必要があります。
具体的には、一部の子供がリーダーシップを発揮するのではなく、どの子供もリーダーシップを発揮できるような場面を設定します。例えば、1日の生活場面のどこかで全員がリーダーとしての役割を担うという「場面リーダー制」の手法を取り入れることが求められます。そして、子供たちが「互いのよさを認め合う場面」を積極的に取り入れていくようにしましょう。

「個性」を伸長するために教師が自らの指導を振り返ります
子供の「個性」を伸ばすためには、教師が「子供のよさや可能性」を見取ることが大切です。そのために次のような「教師自身の自己評価の視点」を踏まえて指導を振り返り、改善していきましょう。
①教師が子供一人一人のよさや可能性を把握するように努めているか。
②学級内の子供について、他の教師から情報を得るように努めているか。
③子供一人一人が自分のよさや可能性を発揮できる場面を設定しているか。
④子供が自分のよさや可能性に気付くような手立てを講じているか。
⑤子供が自分のよさや可能性を伸ばすために自己決定する場を設定しているか。
⑥個々の子供のよさや可能性を学級全体で認め合う支持的な雰囲気があるか。
⑦個々の子供のよさや可能性は他との比較ではないという認識が学級内にあるか。
⑧教師が子供のよさや可能性の伸長の状況を総合的に評価しているか。
