普段の授業でコスパの高い授業参観をつくる3つのポイント
年に数回しかない小学校の授業参観。そこでの様子が担任への評価にも直結するだけに、力が入りやすいのではないでしょうか。この記事では、教師にとっても子どもにとっても負担の大きい「発表会型」の授業参観ではなく、「普段の授業」で授業参観を成功させるための3つのポイントを紹介します。
執筆/大阪府公立小学校教諭・浅野学
目次
授業参観は「特別な授業」でなくていい
授業参観といえばどのような光景が思い浮かびますか?
私は子どもたちが保護者に向けた作文を朗読発表するような授業参観が思い浮かびます。ちなみに私のこのイメージは、企業CMの映像だったような気がします。
この企業CMが象徴しているように、授業参観が持つイメージは「普段と違う授業」だったり「保護者の存在を意識した授業内容」というのが一般的かと思います。
これらの授業参観を私は「発表会型授業参観」と呼んでいます。
この発表会型授業参観というのはその準備や練習に大変な労力と時間がかかります。時には普段の授業内容を削ってまで参観に向けた練習をするようなこともあるでしょう。
これは教師にとっても子どもにとっても大きな負担となります。授業参観前には何時間も練習時間を取らなければならず、授業内容は予定よりもどんどん遅れていきます。
それならばいっそのこと、「普段の授業」で授業参観をしてみませんか?
そもそも、学校ではどうして「発表会型授業参観」が多いのでしょうか。それは学校側の保護者への「サービス意識」があるのかなと推測します。
年に数回しかない授業参観だから特別な授業を保護者に見せないといけない。しかし、これ、本当に保護者が望んでいることでしょうか。
様々な意見があることは承知の上で、一保護者でもある私の意見を言わせてもらえば、授業参観に期待するのは、普段と異なるような「特別な授業」ではなくて、普段の様子を感じることができる「普通の授業」です。
教室の中で自分の子どもはどのように学習をしているのかを知りたい保護者はきっと多いはずです。
実際、学校には運動会、学習発表会など「特別な教育活動」は行事として設定されています。そうであるのならば、授業参観では用意周到に準備された発表会よりも、子どもの呟きが聞かれて、先生の脱線話があるような、そんな普段の空気感を感じられる授業を参観してもらう方がいいのではないでしょうか。
「普段の授業で授業参観」のポイント
では、普段の授業を見せる時に何を意識すればいいのでしょうか。
これはもう、練習とか準備の類の話ではありません。何せ「普段の授業」なのですから、授業参観に向けた何かではないのです。こう言ってしまっては身も蓋もない話になってしまうので、3つのポイントを話したいと思います。
1、授業の導入は端的にわかりやすいものか
授業の導入というのは保護者も注目しています。これからの45分間が一体どのように展開していくのか。保護者も子どもも固唾を飲んで見守っています。
授業で一番注目されている場面なのですから、入念に準備をしたいところです。しかし、だからと言ってダラダラと説明するのはアウトです。
ポイントは、端的にわかりやすいか。いきなりイラストを出すのでもいいし、いきなり発問をしてみるのでもいいでしょう。保護者も思わずワクワクしてしまうような導入を考えてみましょう。
2、子どもの主体的な活動時間はあるのか
「先生がずっと話してたね」。こんな感想を保護者に持たれては台無しです。
「主体的・対話的で深い学び」はメディアでも取り上げられることが増えてきた言葉です。子どもたちが、ただ先生の話を聞くでもなく、ただ黒板の内容を写すでもないような活動を設定しましょう。
例えば、「書いたノートを持ちながら歩かせて見せ合って交流する活動」や「班で答えが一つではないようなテーマでの話し合い」や「ミニ先生として前に出て話す」などは保護者も見ていて楽しい内容かなと思います。
このような子どもの主体的な活動は、想定外のハプニングも起こるでしょう。しかし、それさえも「普段の授業」です。普段からどのように想定外のハプニングに対応するのかというのを保護者も見ていますので、焦ったりイライラせずにどっしりと構えておけば大丈夫ですし、普段の授業から練習しておきましょう。
3、先生の学習のまとめはあるのか
導入と同じくらい注目されるのが学習のまとめです。ここでも端的にわかりやすくまとめましょう。
しかし、その際に、用意していた台本を読むよりは、授業参観で起こった内容も踏まえて若干のアドリブが入ると保護者は楽しめるかと思います。子どもに感想を言わせるのもいいかもしれません。
「普段の授業」と言いつつ、保護者がたくさん来ていれば、子どもたちも浮き足立っています。逆にそれを楽しんでもいいかもしれません。
いかがでしたか? 普段から、いつでも保護者に見せられる様な質の高い授業づくりをしておくことが、いざと言う時にも身を助けることになりそうですね!