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秋の人気者・ドングリで遊ぼう、味わおう!

連載
モンタ先生の自然はともだち
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森田弘文

♪どんぐりころころどんぶりこ♪公園や野山など、どこでもよく見られ、小さい子どもから大人まで、誰もが親しみを感じる木の実、それがドングリですね。手の平の上に載せて転がしたり、握ったりしているだけでも心を和ませてくれます。今回は、そんな馴染み深いドングリの魅力を深掘りし、子どもたちと一緒に深まる秋を楽しむアイデアをご提案します。

【連載】モンタ先生の自然はともだち #28

執筆/森田弘文

いろいろなドングリ
いろいろなドングリ

ドングリとは、ブナ科の果実の総称で、日本には20種類以上があります。常緑樹もあれば落葉樹もあり、風媒花もあれば虫媒花もあります。さらに、花が咲いて1年目にドングリができるものもあれば、2年目に実るもの等、特徴はさまざまですが、全体的に見てドングリの実は、どれも茶色の実で丸い形をしています。ドングリの実は自分の重さで落下し、なるべく遠くまで転がって芽を出せるように、丸くコロコロとした形をしているわけですね。ドングリの背比べという言葉がありますが、どれも同じような大きさであることも特徴です。

ドングリで遊んでみよう

『どんぐりのこま』

いろいろなドングリ独楽
いろいろなドングリ独楽

ドングリを使った遊びで一番ポピュラーなものは、ドングリごまでしょう。ドングリに穴を開けて、楊枝や竹ひご(焼き鳥の串など)をさせば出来上がり。とても簡単ですが、どのドングリを使うかで、こまの良し悪しが決まってしまうのをご存知でしたか? なるべく硬い実を使うと、頑丈でよく回るこまになります。特にマテバシイやクヌギがオススメですので、記事の最後にある検索表を活用して、ぜひ探してみてくださいね。

『どんぐりのヤジロベエ』

ドングリのヤジロベエ
ドングリのヤジロベエ

ゆらゆら動くヤジロベエも楽しいです。竹ひご2本とドングリが3つあれば、すぐにできますよ。
左右同じドングリを重りにしてもいいし、違うドングリにして、竹ひごの長さを調整したりするのもおもしろいです。

こまやヤジロベエが完成したら、油性ペンなどで着色し、模様や顔などを描いてみるのも、とても楽しいと思います。

『どんぐりコロコロ迷路ゲーム』

ドングリコロコロ遊びゲーム(完成)
ドングリコロコロ遊びゲーム(完成)

空き箱と画用紙、そして割り箸を使って、上の写真のような『どんぐりコロコロ迷路ゲーム』を作ってみるのもオススメです。


【材料】

お菓子の空き箱…1個
ダンボール…好きなだけ
画用紙(厚紙でもOK)…好きなだけ
1cm程の角材(割り箸でもOK)…好きなだけ
クヌギなどのドングリ…好きなだけ

作成手順】
手順②

①箱の大きさに合うように切った画用紙に、コースのレイアウトを作ります。落とし穴を開けたり、カーブを作ったりと自由に。ドングリは楕円形なので、まっすぐ転がらず、穴の上を通り過ぎたり落ちたりします。レイアウトや穴のサイズ・位置などを工夫すると、とても楽しくなります。

 

手順③

さらに、好きなイラストを描いたり、色を塗ったりすると楽しいです。

手順①

コースレイアウトに合うよう、箱の隅などに段ボールを貼ってコースの支えを作ります。段ボールは落ちたドングリが転がって出てくるよう、何枚か貼り合わせて厚みを出してください。この上にコースを貼ったら完成です。

遊び方】

コースを手で持って、さまざまな方向に傾け、ドングリをスタートからゴールまで運びます。

食べられるドングリもありますよ

スダジイのドングリ
スダジイのドングリ
マテバシイのドングリ
マテバシイのドングリ

日本に自生しているブナ科の植物は全部で26種あり、いずれもドングリのような実をつけます。ほとんどの種では実にタンニンを多く含んでいるため、渋くて食べられたものではありませんが、何種類かの実はタンニンの含有量が少なく、人間でもおいしく食べられます。
いちばん有名なのは、クリですね。そのほか、全国でよく見られるスダジイ(椎の実と呼ばれます)とマテバシイもおいしいです。炒っても茹でても食べられますよ。また、西日本に分布するイチイガシ、シリブカガシというのも食べられます。
食べる実践は子どもたちが大喜びしますが、残念ながらアレルギー(ブナアレルギーやナッツアレルギー、口腔アレルギー症候群など)を持っている子どもには禁忌となりますので、実施前に必ず保護者に確認しましょう。
とってきた実を、まずは水を張ったボウルに入れてみます。これで浮いてきた実は中が虫食いになっていますので、取り除きます。
次に殻をむき、甘皮をとって、虫が入っていないか、カビなどが生えていないかも確認してください。
あとはピーナッツなどと同じ要領です。茹でればアクが抜けて柔らかくなり食べやすいですし、炒って食べると、とても香ばしいです。
実をすりつぶし、砂糖や小麦粉を混ぜてクッキーを焼いてもいいですね。

※渋いドングリでも、むいて渋皮をとった実を水にさらし、30分くらい茹でこぼしてしっかりアク抜きをすれば、渋さが消えて食べられるようになりますよ。一度お試しいただくのもオススメです。

ドングリクッキー完成

見た目は不格好ですが、味は大好評だったマテバシイのクッキー。いろんな料理サイトにレシピが公開されていますので、ぜひお好みでチャレンジしてみてください。

ドングリオブジェを作って、創作の楽しさを味わおう!


森田弘文

森田弘文(もりたひろふみ)
ナチュラリスト。元東京都公立小学校校長。公立小学校での教職歴は38年。東京都教育研究員・教員研究生を経て、兵庫教育大学大学院自然系理科専攻で修士学位取得。教員時代の約20数年間に執筆した「モンタ博士の自然だよりシリーズ」の総数は約2000編以上に至る。2024年3月まで日本女子大学非常勤講師。その他、東京都小学校理科教育研究会夏季研修会(植物)、八王子市生涯学習センター主催「市民自由講座」、よみうりカルチャーセンター「親子でわくわく理科実験・観察(植物編・昆虫編)」、日野市社会教育センター「モンタ博士のわくわくドキドキ しぜん探検LABO」、あきる野市公民館主催「親子自然観察会」、区市理科教育研修会、理科・総合学習の校内研究会等の講師を担当。著書として、新八王子市史自然編(植物調査執筆等担当)、理科教育関係の指導書数冊。趣味は山登り・里山歩き・街歩き、植物の種子採集(現在約500種)、貝殻採集、星空観察、植物学名ラテン語学習、読書、マラソン、ズンバ、家庭菜園等。公式ホームページはこちら。

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