校庭で、手軽に楽しく草笛あそび!

日本には、永く伝えられてきた伝承遊びが今でもいろいろと存在しています。「草花あそび」もその1つであると思います。子どもたちが、自然の姿や世界を理解していくために、自分の身の周りの植物に接し、「あそび」から入ることは、楽しく有意義な活動と言えます。ぜひ、こうした身の回りにある優秀な教材を活用してみましょう! 今回は、みんなハマること間違いなしの草笛遊びをご紹介します。
【連載】モンタ先生の自然はともだち #25
執筆/森田弘文
目次
草花との触れ合いで、知的好奇心を育てよう
本来、子どもは、とても活動的で体を動かすことが大好きです。校庭での「おにごっこ」、「ボール遊び」もいいですが、時には「草花あそび」もぜひ楽しんでほしいと願っています。自然事象と五感を通じて触れ合うことは、知的好奇心を育てるうえでとても有効です。
今回紹介するのは、草笛遊びの中でも葉っぱを使ったものです。葉っぱは入手がしやすいですし、意外に早く音を鳴らせるようになります。
以下に難易度別に吹き方を紹介しますが、葉の選び方は共通です。口の大きさに合う程度の大きさで、柔らかいものを選ぶようにしましょう。
楽しく草笛教室 … 初級・中級・上級を目指そう!
【初級】 なるべく薄い葉を使い、両手に持ち、口に軽く当て音を出す


写真のように、葉を軽く持ち、葉の中央部分に口を当て、優しく息を吹くようにします。するとすぐに音が出ます。息を吹き込むことで葉が細かく震え、唇との間にできたすき間を空気が通ることで音が鳴るわけですね。音が鳴りにくいときは、息の強弱をつけたり、角度を変えたりしてみましょう。このやり方は最もカンタンな上、慣れてくると音階も出せるようになります。自分の好きな曲を演奏できますので、夢中になること間違いなしです。

草笛は、どのような葉を選ぶかがポイントです。フジ・ヤマブキ・ニセアカシアの葉をその代表として紹介していますが、全て薄い葉です。厚い葉ではうまく音が出ないようです。なるべく丸い葉の方が吹きやすいと思います。サクラの小さな花びらで音を出せる子もいました。
【中級】 少し厚めの葉を巻いて筒状にし、息を吹き込み音を出す


シラカシなどの常緑樹の葉が適しています。他にはマサキやネズミモチなどでもOKです。
いろいろな葉っぱでチャレンジしてみましょう。ツバキなどの厚い葉では、巻くことができません。また、特にツバキ科は、チャドクガの幼虫がいる可能性があるのでやめましょう。

写真ではシラカシを例にして示しています。まず、シラカシはやや長い葉なので上と下をちぎり短くします。丸い葉の場合にはそのままで大丈夫です。次に葉を巻きますが、表側を中にした方が巻きやすいです。さらに、片方のみ手で押し平たくし、そして、葉を持ち息を吹き込みます。強弱や角度、口に入れる深さなど、いろいろと試してみましょう。
森田弘文(もりたひろふみ)
ナチュラリスト。元東京都公立小学校校長。公立小学校での教職歴は38年。東京都教育研究員・教員研究生を経て、兵庫教育大学大学院自然系理科専攻で修士学位取得。教員時代の約20数年間に執筆した「モンタ博士の自然だよりシリーズ」の総数は約2000編以上に至る。2024年3月まで日本女子大学非常勤講師。その他、東京都小学校理科教育研究会夏季研修会(植物)、八王子市生涯学習センター主催「市民自由講座」、よみうりカルチャーセンター「親子でわくわく理科実験・観察(植物編・昆虫編)」、日野市社会教育センター「モンタ博士のわくわくドキドキ しぜん探検LABO」、あきる野市公民館主催「親子自然観察会」、区市理科教育研修会、理科・総合学習の校内研究会等の講師を担当。著書として、新八王子市史自然編(植物調査執筆等担当)、理科教育関係の指導書数冊。趣味は山登り・里山歩き・街歩き、植物の種子採集(現在約500種)、貝殻採集、星空観察、植物学名ラテン語学習、読書、マラソン、ズンバ、家庭菜園等。公式ホームページはこちら。