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【小5・国語「報告文を書く」】学びを振り返り、次のステップへ——子供に《委ねる授業》のデザインと実践[第3回]〈デジタル×深い学び〉

連載
「デジタル×深い学び」の授業デザインReport

今回は、東京都西東京市立上向台小学校の内川航教諭による「子どもに《委ねる授業》のデザインと実践」の、実際の授業の様子を紹介します。子供たちは、自分で選んだユニバーサルデザインのテーマについて、「情報収集」「整理・分析」を経て、「まとめ・説明」へと学びを進めていました。内川教諭は、子供たちの様子を見守りながら、必要なときにだけ声をかけるスタイルで支援します。

内川教諭が学びを《委ねる》ことで、子供たちは自分で考え、互いに助け合いながら学びを深めていく姿を見せていました。

この記事は、連続企画『「デジタル×深い学び」の授業デザインReport』の27回目です。記事一覧はこちら

東京都西東京市立上向台小学校

学校教育目標は、「人にやさしさ 自分につよさ 生き抜くかしこさ」。高学年では教科担任制を取り入れ、学校全体で「自立した学習者」という子供像の育成に取り組んでいる。

[授業のはじめ]
見直す力が、学ぶ力を育てる

授業は、学習の進め方を確認するところから始まりました。この日は、情報収集を終えた子供たちが、「整理・分析」や「まとめ・説明」の段階に入っているところ。内川教諭は、「まとめ・説明」をよりよくしていくための視点として、「4つの手直しポイント」を示しました。
「一度書き終えたら、この4つの手直しポイントを見ながら修正していこう」。子供たちは見本を確認しながら、それぞれの文章を丁寧に見直していきます。

また、時間に余裕のある子供には「深めポイント」も提示。「困っている友達を手伝えたら最高だね!」と声をかけながらも、「自分のことで精いっぱいでも大丈夫」という言葉を添え、あくまで子供のペースを尊重する声かけをしていました。

手直しポイントは、子どもが自分のペースで動ける「学びの物差し」に。修正を終えたら、進捗を示すピンを移動させる仕組みで、自分の進み具合を可視化しています。

[授業のなか]
子どもの自走を支える、静かな支援

同じテーマでも、それぞれの学びを大切に

子どもたちは「ユニバーサルデザイン」をテーマに、自動販売機、信号機、ペットボトルなど、身の回りの題材を選んで学習を進めています。同じテーマを共有する子もいれば、異なるテーマで集まるグループもあり、それぞれが自分の関心をもとに活動していました。

内川教諭は、日常的に「誰と勉強するか」にも丁寧に声をかけているといいます。「仲がいいのは心強いけれど、学習を進めるうえではシンプルな関係も大事だよ」と伝えながら、学びのバランスを整えています。

同じテーマに取り組む場合でも、「それぞれで取り組んで、内容が重ならないようにしてね」と声をかけているそうで、その言葉を子どもたちはしっかりと受け止め、一人ひとりが自分のペースで黙々と取り組む姿が見られました。

授業中、友達のFigJamボードを見ながら、自分の学びを確かめる子供の姿が見られました。
グループになっても、困ったときだけ相談し合う姿が印象的でした。

一人ひとりの学びに合わせて、支援のレベルとタイミングを調整

内川教諭は、前時の振り返りを丁寧に読み込み、次の授業でどの子にどんな声をかけるかを考えています。「振り返りに書かれたコメントが、次の授業準備そのものなんです」と話すように、子供の記録を指針にしています。

授業前には、「AさんとBさんは進みが少し遅いな」など、支援が必要な子どもに目星をつけておきます。授業中、黙って止まっている子には早めに声をかけます。一方で、基本的に自分で進められる子どもには、集中を切らさないよう、あえて声をかけないこともあるそうです。

内川教諭の声かけメモ。

[授業のおわり]
自分の学びを振り返り、次の一歩へ

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