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生徒の進路・職業の選択をどうサポートする?―― 一人ひとりの個性を生かす進路指導①<中高教員の実務>

連載
中高教員の実務

創価大学大学院教職研究科教授

宮崎 猛

文京学院大学名誉教授

小泉博明

中学3年生になると、初めての進路指導を経験します。生徒によって成績、親子の関係など様々な状況がありますが、どんなケースでも生徒が納得する進路を支援していきましょう。

編著/小泉博明・宮崎 猛

【特集】中学校・高校教師 実務のすべて#31

進路指導は、生徒たちの人生を左右する一大事。それぞれの興味や適性に合った進路を見付けてほしいけど、そのために教師ができることって何だろう?

最もその人らしい個人的な特徴や行動を表すものを、アイデンティティといいます。職業、家庭、友人、余暇活動、精神的充実感など、何がその人にとってのアイデンティティかは、人によって様々です。「生き方・あり方」を育む進路指導は、まさに生徒に自分のアイデンティティは何かを考えさせる援助活動です。

進路指導のポイント

1.自分を知る

進路を選択するうえで、まず初めにすべきことは「自分について知る」ことです。とくに自分のいいところを発見させることが大切です。

どんなことに興味や関心があり、これまでどのようなことをしてきて、これからどのように生きるべきか、性格や適性能力なども併せて、じっくりと内面から考えさせるように援助しましょう。

2.職業を知る

何かに興味をもつには、まず知ることです。職業を選択することについても同じことが言えます。

社会にはたくさんの職業がありますが、まずは興味のありそうな職業についての情報を入手し、それらの内容や特徴を、本やインターネットなどで調べることから始めましょう。なお、近年はIT 産業の発展に伴い新たな業種・職業も生まれてきています。教師も最新の情報を得ておく必要があります。

具体的には、どのような内容の仕事でどのような人が従事しているか、その仕事に就くための条件(学歴、必要な資格、専門性など)は何か、また、その業界の将来性や賃金、労働時間はどのようなものか、などを知ることが必要です。

3.多様な生き方を知る

職業を選択するときに、自分の性格や能力に合ったもの、また、可能性を伸ばせるものを考えることが大事です。

いくら収入がよくても、興味がないと意欲は出ませんし、充実感や自分の社会的な存在感を実感できるような仕事でなければ長続きしません。自分のしていることに意味や価値を見出せる職業を選択することが重要です。そのためにも、日常的に「生き方・あり方」を考え、表現させるような指導が大切です。理想とする人物の生き方を知ることもヒントになります。

生徒を援助する方法

個人面談

個人面談は、生徒自身の自己理解を深めさせるために行います。そのためにも、教師は生徒の話にじっくりと耳を傾け、生徒の興味・関心、進路希望などを聞き出すようにしましょう。生徒の本音を引き出すには、コーチングなどの対話スキルを身につけることも大事です。また、適性検査や模擬試験の結果も有効に活用しましょう。

<教師のコミュニケーション術>
① ティーチング:知識を教える
②メンタリング: 経験を伝える・アドバイスする
③ コーチング:自分で気づかせる・引き出す

啓発的な経験の充実

イラスト/タバタノリコ・畠山きょうこ

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