「支援が必要な子は前列」をやめてみる!席替えの活用法
学校の先生をしていると悩むことの一つに「席替え」があるのではないでしょうか。毎月のように席替えをするクラスもあれば、学期に一回だけのクラスもあります。今年度は特に地域の状況にもよりますし、何が正解で何が不正解という話ではないものの、席替えのポイントをいくつか知っておけば、日々の仕事がスムーズに進むこともあるはずです。
執筆/大阪府公立小学校教諭・浅野学

目次
「気になる子」を気にしすぎると…
席替えを考える際に「気になる児童を前列にする」というのは多くの先生が採用している方法なのではないでしょうか。
その理由としては、学習への集中や理解度に課題がある「気になる子」を前列にしておけば、授業中でも個別の支援が行いやすいという理由が挙げられるかと思います。これは最もらしい理由であり納得もしやすいでしょう。私自身も若手の時にそのように言われた経験もあります。
しかし、この席替えの方法には注意が必要です。
前列にすることで「気になる子」はずっと先生に「気にされる子」になってしまいます。もちろん支援の頻度や方法にもよりますが、自分が子どもになったとして、自分の学習の行為を逐一先生に見られて、指摘されるというのは何とも窮屈に感じるのではないでしょうか。
先生の立場になってみても「気になる行為」が常に目の前にあるというのはなかなかに忙しい。先生の注意力が前列の「気になる子」へ割かれすぎてしまうという懸念があります。
問題がもう一つあります。
それは「気になる子」が前列の席へ固定された場合の「周りの児童がどう感じるか」という問題です。その子が席替えの度に前列にされているということは子どもたちも気が付きます。さらに前列の児童が毎回の授業で先生から支援を受けていれば、勘の良い子どもでなくも「前列にされる意味」を感じるでしょう。それは「学力差の可視化」にも繋がりかねません。