「グループ学習」の効果を高める3つの視点【学ぶ意欲と力を育てる 学習指導の極意⑤】

子供たちの学ぶ意欲と力を育てるためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて、学習指導の基礎基本を解説します。第5回は、グループ学習のルールについて解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章
「グループ学習」は、その形態を取り入れただけでは確かな学びになりません。一見、活発に話し合っているようでも、各グループで話し合われている内容を分析してみると、教師の求めたい学習になっていないことが多いのが現状です。グループ学習を効果的に展開するためには、「グループ学習のルール」を明確にすることが求められます。そこで、効果的なグループ学習を展開するにあたって、次の3つのキーワード「グループ学習での役割分担」「グループ学習の手順」「グループ編成上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① グループ学習での役割分担
グループ学習は、グループ内での役割を明確にすることが大切です。一見、どの子供も活発に意見を述べているようでも、一部の子供の考えでグループ学習が進行し、理解の速い子供が理解の遅い子供に一方的に教えているという授業を観ることがあります。まずは、グループ内でどの子供も活躍でき、いやな思いをすることなく学習を展開できるように学習を進める上での個々の役割を明確にしていきましょう。
グループでの役割を輪番制で分担します
グループ学習を進めていく上で、全員が公平に「役割」を担うようにすることが求められます。例えば、4人グループであれば、「司会・記録・板書・発表」という役割が考えられます。「司会」は、グループ学習での進行役で、全員に発表の機会を与えるようにしたり、板書や発表についての意見を求めたりします。「記録」は、話し合われたことを記録し、板書や発表の際の参考資料とします。「板書」は、グループでの話合いを簡潔にまとめ、板書したりまとめのカードを記載したりします。「発表」は、グループでの話合いの内容を簡潔に発表する役割を担います。いずれも、輪番制で、どの子供も公平に役割を交替しながら、担当できるようにしていくことが求められます。
CHECK② グループ学習の手順
グループ学習は、グループでの形態を取り入れただけでは確かな学びになりません。まず、上記のようにグループ内での個々の役割を明確にします。そして、どのようにグループでの学習を展開していくのかという「学び方」を分かりやすく提示していくことが大切です。役割と学び方を理解することによって、本来求められるグループ学習が可能となります。次のようなグループ学習の基本的な手順を指導していきましょう。
グループ学習の手順を具体的に提示します

グループ学習では、「学び方の手順」を指導することが確かな学びへと導く手立てになります。具体的には、次のような手順で学習を展開していくことが考えられます。
①グループ学習の「時間」を確認します
②グループ内で個々の「役割」を確認します
➂順番に自分の考えを「発表」します(出し合う)
④各発表に「質問」をし、比べ合います(比べ合う)
⑤発表に向けて「まとめ」をします(まとめる)
⑥各グループで出された意見を全体に「発表」します
⑦同じグループで「付け足し等」があれば発表します
⑧他のグループの発表に質問等をして「意見交換」をします
