キュウリ&ナス。おいしい夏野菜を食べる前に、おもしろ実験&観察を楽しんでみよう!


夏休み。ふだんより少しだけ余裕のあるこの期間に、子どもたちが喜ぶような、ちょっとしたネタをゲットしてみませんか? 夏野菜の中で最も一般的で、お盆の精霊牛・精霊馬としてもよく知られている、キュウリとナス。学校園などで栽培されていることも多く、子どもたちにとってとても身近だと思います。これらを題材にして、子どもが好奇心を高め、学ぶ楽しさを知るような実験と、興味深い観察をご紹介します。
【連載】モンタ先生の自然はともだち #20
執筆/森田弘文

目次
キュウリのみずみずしさを、みずみずしく体験してみよう!
キュウリはダントツで水分の含有量が多い野菜です。1本の重さのうち、約95%が水分なんですよ。
トマトはだいたい90%くらいが水分で、それより多いのは驚きですね。
そのキュウリのみずみずしさを体験できる実験をご紹介したいと思います。
まず、キュウリを半分に切ります。そして切り口をスプーンなどで掘り、くぼみを作ります。くぼみの深さは5㎜もあれば十分です。そこに、写真1のように、塩をパラパラと落としてみてください。


待つこと10分…。おもしろいことに、穴に水がたまっています。

塩は水とよく混じり合う性質を持っていますよね。それで、キュウリの中から水分がしみ出してきて、食塩水ができたわけですね。
この食塩水がキュウリの中に戻らずにたまったままになり、キュウリに塩味がつくのは、皆さんもご存知の「浸透圧」によるものです。
お漬物は、この浸透圧の仕組みをうまく活用した調理方法ですね。定番料理のキュウリの塩もみも同じです。皮をむいたキュウリを輪切りにして、キュウリ1本あたり小さじ1/4の塩をふりかけて、まんべんなく混ぜます。5分放置したら、キュウリから水を絞って出来上がり!
カンタンでおいしいので、学校菜園のある先生は、ぜひ上の水出し実験とあわせて、子どもたちと楽しんでみてくださいね!
収穫前のナスは、食べごたえではなく見ごたえ満点!
食感としては、パサパサした…というか、いかにも水を吸いそうな感じのあるナスですが、実はトマト並みに水分の含有量が多いんですよ。さすが夏野菜ですね!
そんなナス。味としては抜群ですが、収穫前にぜひとも楽しんでいただきたいのです。

森田弘文(もりたひろふみ)
ナチュラリスト。元東京都公立小学校校長。公立小学校での教職歴は38年。東京都教育研究員・教員研究生を経て、兵庫教育大学大学院自然系理科専攻で修士学位取得。教員時代の約20数年間に執筆した「モンタ博士の自然だよりシリーズ」の総数は約2000編以上に至る。2024年3月まで日本女子大学非常勤講師。その他、東京都小学校理科教育研究会夏季研修会(植物)、八王子市生涯学習センター主催「市民自由講座」、よみうりカルチャーセンター「親子でわくわく理科実験・観察(植物編・昆虫編)」、日野市社会教育センター「モンタ博士のわくわくドキドキ しぜん探検LABO」、あきる野市公民館主催「親子自然観察会」、区市理科教育研修会、理科・総合学習の校内研究会等の講師を担当。著書として、新八王子市史自然編(植物調査執筆等担当)、理科教育関係の指導書数冊。趣味は山登り・里山歩き・街歩き、植物の種子採集(現在約500種)、貝殻採集、星空観察、植物学名ラテン語学習、読書、マラソン、ズンバ、家庭菜園等。公式ホームページはこちら。