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安全で楽しく豊かな夏休みにするための3つの指導|新任教師のための学級経営講座 #7

連載
新任教師のための学級経営講座

元鳥取県公立小学校教頭

友定章子

初めて学級担任になった新任教師にとって、「学級経営」は不安なもの。そこで、学級経営の基本が学べる連載をお届けします。毎月の準備や進め方などをその月の学校行事なども絡めながら紹介。鳥取県の公立小学校で、若手教師の育成に尽力してきた友定章子先生が、新任教師でも分かりやすいように解説します。今回は、夏休みに向けて子供たちに指導すべきことについて解説します。

執筆/元鳥取県公立小学校教頭・友定章子

子供たちが楽しい夏休みを過ごせるように指導しよう

夏休みまであと少しになりました。夏休みという言葉の響きは子供たちの心をウキウキさせ、怪我や事故が起こりやすくなります。楽しい夏休みにするために、子供たちに3つの指導をしておきましょう。

①子供自身で夏休みの計画を立てる

約40日間の夏休みをどう過ごすのか、また、1日をどう過ごすのかを考える必要があります。そこで、夏休み全体の予定表(資料1)と夏休み1日のスケジュール表(資料2)を渡します。

楽しい夏休みにするために時間を取って考えてもらいます。高学年は自分で作成できますが、低学年には少し難しいかもしれません。その場合は、保護者に協力をお願いして、一緒に作ってもらうとよいでしょう。

夏休み全体の予定表(資料1)

【資料1】「夏休み予定表」は、下記のボタンをクリックするとダウンロードできます。
※Excel形式。学校の夏休み期間に合わせて修正してご活用ください。

【資料2】夏休み1日のスケジュール表

【資料2】「夏休み1日のスケジュール表」は、下記のボタンをクリックするとダウンロードできます。
※Excel形式。2ページ目があり、曜日分のスケジュール欄があります。

長い夏休みだと感じていても、意外に自由になる時間が少ないことに気付くはずです。やらなければならない宿題を40等分すれば、1日の負担はそれほどではありませんが、最後にまとめてやろうと思うと大変になることが予想されます。計画を立てて見通しを立てることが大切です。

②夏休みだからこそじっくりと取り組む「自由研究」

夏休みの自由研究をする子供

夏休みの子供たちを悩ませるだけでなく、保護者の悩みの種にさえなるのが「自由研究」ではないでしょうか。実は、昭和22年の学習指導要領に教科の1つとして盛り込まれたのが始まりとされています(たった4年間しか実施されていなかったようです)。とはいえ、探究学習につながることもあって、夏休みの宿題として取り入れている学校も多いでしょう。

子供たちは一人一人違う個性をもっていますが、学校で行われるカリキュラムは、画一的で時間の制限があることも事実なので、個人の興味関心は考慮されていません。学校生活の中ではなかなかできない、子供たちの「やってみたい」「調べてみたい」という興味関心に夢中に取り組む時間があるのが、夏休みです。ぜひ、取り入れてほしい課題です。

しかし、どうやって題材を見つければいいのか、まとめ方はどうすればいいのか、という子供たちの疑問が出てくるはずです。自由研究に対して、たくさんの本が出版されていたり、インターネットで調べたりすることができますが、私は、夏休みの前に子供たちと一緒に考える時間をつくっていました。学級通信等を通じて、保護者の方にもお知らせしていました。

・「こんなものがあればいいのに」「あったら便利」を作ってみる【工作、発明】
・今もあるものだけど、廃品を利用して作ってみる【SDG’s】
・いつも見ていたけど、「よく見ると不思議」について調べてみる【理科、社会 等】
・1学期の学習でもっと詳しく知りたいことを調べてみる【理科、社会、算数、総合 等】
・大好きなものやコレクションしているものを紹介しよう
(好きな理由や魅力、歴史や種類についてまとめる)
・興味があることについてもっと詳しく調べてみよう
(例:歴史上の人物、世界遺産、マンホール、鉄道、コイン、石、草花、昆虫、ゲームキャラクター、プログラミング、デザインや模様、スポーツ、アーティスト 等)
・夏休みに経験したことを詳しくまとめる
(例:スポーツ観戦、観劇、水族館、旅行 等)

もちろん、まとめ方についても指導します。

①研究したいと思ったきっかけ
②実験や調査の方法や内容
③予想
④実験や調査の結果
⑤まとめ(分かったこと)
⑥感想(考察)

という項目ごとにまとめると分かりやすいと伝えていました。

「自由研究」は、大きなグラフ用紙にまとめる子供が多いのですが、大きな紙に書いたことがない子供にとっては大きな負担です。ノートやレポート用紙にまとめたり、1人1台端末を使ってアプリでまとめたりすることもよいと教えます。また、写真や資料の切り抜きを貼ることによってより分かりやすくなったり、自分でグラフを作ってみたりすることで研究内容に説得力をもたせることができることも伝えます。

③楽しい夏休みにするための安全指導

夏休みは、たくさんの思い出ができる楽しい時間です。しかし、水の事故や交通事故のニュースがあるのも事実です。自分のこととしてとらえにくいものですが、決して他人事ではありません。だからこそ、子供たちが安全に過ごすために指導します。以下のことは、保護者にも学級通信などを通して伝えましょう。

●交通事故に注意!

遊びに夢中になると周りが見えなくなるもの。道路横断の安全確認やボールを追いかけて飛び出してしまったり、交通量が少ない道路で遊んだりすることはやめよう。自転車に乗るときは、ヘルメットをかぶること、交通ルールを守ることが自分の命を守ることにつながることを指導しましょう。

●水の事故に注意!

夏休みだからこそ起こりやすい水の事故。子供はおぼれるとき、大きな声で助けを呼ぶことができず、沈んでしまいます。大人と一緒でも危険はつきもの。川の流れや離岸流は最も危険です。流れが急に速くなったり、川も海も急に深くなったりします。子供たちだけで水遊びをしないこと、保護者にも水の近くで遊ぶ時には目を離さないように呼びかけましょう。

●火遊びに注意!

夏の手持ち花火は、やけどの危険があります。また、花火の後始末をきちんとすること、子供たちだけで火遊びをしないことなど、しっかり指導しましょう。

1学期の終業式に向けて

1学期の終業式までに教室の整理はできていますか? 1学期の作品や水彩道具等を持ち帰らせたいものがある場合は、一度に重たい荷物を持たせることがないよう、少しずつ持ち帰らせましょう。

子供たちに渡す通知表。一人一人の名前を呼んで、「〇〇さんは、1学期に〇〇〇を頑張っていたよね。最後まで頑張る姿はとても素敵だったよ。先生からの大事なお手紙だからおうちに帰ってからゆっくり見てね」と一言添えて渡します。通知表を友達同士で見せ合おうとする子もいますが、見せたくない子もいます。だから、私は、見せ合うことをやめようと話していました。通知表は、教科の評定は書いてありますが、その子のよかったことに着目して記述しています。2学期も期待していることをしっかり伝えましょう

教師自身もしっかりリフレッシュを!

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