保護者の信頼を得る個人面談7つのポイント|俵原流!子供を笑顔にする学級づくり #4


子供の笑顔を育てる「笑育」という実践のもと、安全で明るい学校、学級をつくってきた俵原正仁先生。これまで培ってきた学級づくりのアイデアやメソッドを、ユーモアを交えつつ、新任の先生にも分かりやすく解説します。月1回公開。
執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁
目次
はじめに
若いころ、懇談会(保護者会)が苦手でした。
お互い話すことがなくなり、シーンとした時間が長々と過ぎて行ったり、「友達と仲よくがんばっていますよ」と話をした直後に、「うちの子、最近仲間はずれにされているようなのですが」と相談されてプチパニックになってしまったりするなど、多くの失敗を繰り返してきました。
そんな私でも、先輩の先生方の助言を聞き、本を読み、そして、自分なりに考えていくうちに、次第に懇談会に関する苦手意識はなくなっていきました。それは、いくつかの押さえるべきポイントが分かってきたからです。押さえどころが分かれば分かるほど、少しずつ不安は解消されていきます。
そこで、今回は、6月末から7月上旬に行われることが多い個人面談(個人懇談)の押さえどころについて述べさせていただきます。個人面談、備えあれば憂いなしです。参考になれば、幸いです。
個人面談7つの押さえどころ
押さえどころは、次の7つです。
その1:待ち時間を快適に過ごしてもらう
時間通り進めるように配慮するのは当然のことですが、いくら意識していても多少の待ち時間ができてしまう場合があります。また、余裕をもって、予定の時間より早く来られる保護者もいます。そこで、待ち時間にも快適に過ごしていただけるように、廊下にイスを置くだけではなく、ちょっとしたプラスアルファの準備を行います。
○ウチワ・扇子(廊下にも冷房が効いているのなら必要なし)
○学級通信のファイル
○課題図書紹介
○スライドショー

この中でも、特にお勧めなのが、スライドショーです。1学期に撮りためた写真をスライドショーにしてパソコンで流していきます。日常の子供たちの様子を知ることができ、保護者のみなさんには大好評でした。
その2:正面の位置に座らない
面談の際の机の配置にも一工夫します。教師の座る位置が保護者の正面に来ないようにします。下のイラストのような机の配置になります。これは、カウンセラーがクライアントから悩みを聴く時の座席の位置です。

このように座ると、自然な感じで視線を外すことができます。お互い、必要以上のプレッシャーを感じなくて済むのです。
その3:まず保護者に話していただく
何か気になることはありませんか?
個人面談における私の第一声はいつも同じです。このように聞くことで、何か気になることがある保護者は、面談の冒頭で話をすることになります。こうすることで、面談終了間際に「実は、気になることがあるのです…」と話をふられて、面談時間が超過することがなくなります。
「特にありません」と言われた時は、教師が残りの持ち時間をフルに話せばいいのです。
その4:予期せぬ話には即答しない
「うちの子、最近仲間はずれされているようなのですが」
このような相談を保護者からされ、そのことを教師が全く把握できていなかった場合、(自分がそうでしたが)若い教師は動揺して脊髄反射的にその場しのぎの発言をしてしまいます。そして、そのことがさらに自分の首を絞めることになります。下手な言い訳や思い付きの対応策は、さらに保護者に不安や不信感を抱かせるだけです。状況が分からないのであれば、なおさら即答してはいけません。
明日さっそく、調べてお話しさせていただきます。
学年の先生や管理職にも話をして、学年全体で見ていきます。
しっかりと話を聞き、これからの道筋を誠実に伝えることで、保護者の不安は和らぎます。耳あたりのよい答えを返す必要はありません。分からないことは、「分かりません」とはっきりと伝える誠実さが大切です。
その5:具体的にほめる材料を準備する
保護者からの話が終わったら、教師の時間です。子供のがんばっていることを具体的に話していきます。
「いつも丁寧にノートを書いています。丁寧に学習に取り組む子は、これからも力がどんどん伸びていきます」
「太田さんのがんばりはすごいですよね。友達も認めるがんばりでしたよ」
ノートの実物や振り返り等、具体物を見せながら、話ができれば言うことなし。当日までに、ほめる材料をそろえておきましょう。個人面談における準備とは、モノを用意することです。教師の話芸が突然上達することはありませんが、モノを用意することは、やる気さえあればできることです。
その6:気になることは最後に話す
がんばっていることをたくさん話した後に、その子の課題を示します。この順番を逆にしてはいけません。よさをたくさん認めてくれた後だからこそ、課題に対してもしっかり聞こうという気持ちになるものです。
また、解決方法を示さずに、課題だけ話して終わるようなことは絶対にしないようにしてください。保護者の教師に対する不信感を増大させるだけです。
その7:終了時刻が来たら、必ず終わる
話そうと予定していた内容がすべて終わっていなくても、終了時刻が近づいてきたら、話を閉めなければいけません。そのためにも、手元に時計を置いて、教師は残り時間を意識して話をしてください。
どうしても話さなければいけないことが残ってしまった場合、後日、話す場(電話でも家庭訪問でも可)を設定することになります。
この7つの押さえどころの中で一番難しいのが、5つめの「具体的にほめる材料を準備する」の項目です。これだけは、準備にある程度の時間が必要だからです。一夜漬けではできません。続いて、私がそのために行なっていた手立てを紹介します。