初夏に咲く、可憐な白い花コレクション! あなたはいくつ見たことがありますか?【モンタ先生の自然はともだち】

初夏の野山に出かけると、意外にもたくさん見つかるのが木々の白い花々。まるで目立たないように、そっと咲いているような雰囲気なのですが、よくよく見ると魅力がたくさん。今回は、そんな控えめな花々に代わって、私が魅力を精一杯ご紹介していきたいと思います。まずは皆さんに、まずはちょっとしたクイズを。白い花は、本当に白い色なのかな?? ぜひ、その答えを考えながら、読んでみてください!
【連載】モンタ先生の自然はともだち #11
執筆/森田弘文
目次
野山の樹々の花、初夏によく見かけるものと言えば…
初夏は、青葉・若葉の季節です。雑木林に目をやると、緑の濃さを増した樹々が多いことに気がつきます。よく見ると、林の縁に白い花を輝かす低木が見えたり、高木の枝の先々に白い花を初夏の風に翻していたり、はたまた、山道を歩いていると、落下した白い花が道々にこぼれ散っている姿を見つけては、ハッと驚いたり喜んだりする今日この頃です。そんなステキな季節のたよりに、気がついた人もたくさんいることでしょう。
それにしても、初夏の季節になると、なぜ白い花を咲かせる木々が多く目に飛び込んでくるのでしょうか。木々の緑がいっそう色濃くなるので、コントラストを効かせて目立つためでしょうか。
実は、そこには、なかなかに興味深い話がありそうなのです。
白い花は本当に白いのかな?
なんだかナゾナゾのようですが、白い花が白く見えているのは、我々人間だけの話みたいなのです。
花々が一番アピールしたい相手は、人間ではなく昆虫たちですよね。その昆虫たちにとっては、どうやら花々は違う色に見えているみたいなんですよ。
人間が色として認識できる光の波長は、大きく分けて赤・緑・青の3原色で構成されています。自然界の様々な物体は、この三原色をどれだけ反射したり、吸収したりするかによって、人間の目が色として認識できるわけですね。
例えば黄色いものは、赤と緑はよく反射するけど、青は吸収してしまう。黒は赤も緑も青も全部吸収する…といった具合です。
白い花が白く見えるのは、赤も緑も青も、全部の光をまんべんなく反射しているからです。
では、昆虫にとってはどうでしょう? 多くの昆虫は、赤の光は見えないかわりに、緑と青、そして紫外線を見ることができる、と言われています。そして、昆虫は、紫外線を反射する物によく集まる、という習性があります。
植物が種を作るには、おしべの花粉をめしべに運ぶ必要があり、その方法の多くは、虫の助けを借りる(虫媒花)ことです。そこで、花は虫にとってハッキリわかりやすく、魅力的に映るような姿へと進化していったと考えられます。虫媒花の花々は例外なく、よく紫外線を反射する特徴を持っています。全体が反射したり、模様のように反射したり…と様々なようです。
人間にとっては白く見えている花々が、虫たちにとってはどんなふうに見えているか、ぜひ教えてもらいたいものですね。下に、虫の目で見えるエゴノキの花の想像図を作ってみました。みなさんも、いろいろとイマジネーションを膨らませてみてください。
なお、虫は匂いにも敏感です。多くの虫媒花が魅力的な匂いを発散しているのも、そんな理由からです。

