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教頭の人間関係マネジメントは、外部業者のやり取りから! 外部業者と共にめざす、円滑な学校運営

連載
GKC(がんばれ教頭クラブ)

元山形県公立学校教頭

山田隆弘

教頭として最初に直面する課題の一つは、業者とのやり取りです。備品や教材、設備の手配、校舎改修やスクールバスの運行など、業者に依頼する業務は日々の仕事で大きな割合を占めます。学校の予算を使いすぎず、かといってケチりすぎず、業者の働きを最大限に引き出して、児童の学びや安全を守りましょう。そのためには業者との適切な距離感や信頼関係の築き方が重要です。

【連載】がんばれ教頭クラブ

「業者」とは誰を指すの?

教頭に就任したらまず、学校を支える業者がどのような役割を担っているのかを正しく理解することが欠かせません。業者には大別して、2種類あります。


①教育委員会が発注した指定業者

例えば、校舎建築や大規模改修、ICTシステム導入など、大規模な予算がかかり、教育委員会によって発注される業者です。この場合、教頭は指定業者と円滑な協力関係を築き、工事や納品が滞りなく進むよう調整する役割があります。


②学校が予算内で選定発注する業者

日常の備品発注や小規模工事、消耗品の調達など、学校予算の範囲で学校が選定する業者です。こちらは、コストと品質のバランスや、納期を遵守するか否か、アフターフォローが良いか等を教頭が見極めて選ぶ必要があります。業者ごとに得意分野や提供サービスが異なるため、まず「何を・どのように提供しているのか」を正確に把握し、その理解をもとに報告や連絡の頻度、相談窓口、評価基準をあらかじめ設定しておくことが、強固な信頼関係を築く第一歩となります。

学校に関わるさまざまな業者

⑴ 物品販売業者(教材や文房具)

物品販売業者は、学校に必要な消耗品や教材を提供してくれる業者です。この業者には、年度の初めに一括で見積もりを依頼し、必要な量を予測して購入することが一般的です。
見積もり時の気配りとして、
「今年度の学校の考え方や児童のニーズを反映させた提案をお願いします」
という一言を添えると、業者も積極的に新しい教材や物品の紹介をしてくれることが多いです。

⑵ メンテナンス業者(エアコン、パソコン、設備)

メンテナンス業者は、学校設備の点検や修理を担当してくれるパートナーです。急なトラブルへの迅速な対応力が求められます。迅速なサービスで労力がかかることも多いので、
「急な修理でもすぐに対応していただきありがとうございます。次回もどうぞよろしくお願いします」
等と気配りを見せましょう。感謝の気持ちを伝えることで、業者との信頼関係が深まり、いざというときの対応がより丁寧になる可能性があります。

⑶ 工事・設備業者(校舎の改修、補修)

学校施設の改修や補修を担当する工事業者とは、長期的に関わることが多いため、信頼関係を築くのが非常に大切です。工事が予定通りに進まなかった場合でも、
「お疲れ様です、いつも頑張っていただいてありがとうございます。進捗状況を教えてもらえるとうれしいです」
と、感謝の気持ちと共に状況確認をすることが、スムーズな対応を引き出すコツです。

⑷ サービス業者(給食、バス運行、清掃)

学校の日常業務を支えてくれるサービス業者も、非常に重要な役割を果たします。特に給食業者やスクールバス業者とは、児童の安全に直結するため、継続的なコミュニケーションが求められます。
「毎日児童が安全に食事をとっています。感謝しています」
といった感謝の気持ちを表すことで、業者のモチベーションが向上し、よりよいサービスが提供されることにつながります。

⑸ 専門人材業者(講師、指導者)

教材屋さんに帯同する専門知識を持つ講師や指導者との関わりも大切です。業者に対して
「児童たちの成長をいっしょに支えてくださいますと幸せです」
といった言葉をかけることで、業者も一層学校との協力を意識するようになります。これにより、授業や活動がより実り多いものになります。

業者との良好な関係を築くことは、学校運営を円滑に進めるために非常に重要です。しかし、あまりに親密すぎると「なあなあ」との疑念を招くことがあり、逆に距離を置きすぎると、急なトラブル時に業者の協力が得られない場合もあります。教頭として大切なのは、業者と深い信頼関係を築きながらも、適切な距離感を保つことです。信頼を深めつつ、健全な距離感を持つことで、業者はもちろん、学校の教職員や児童にも安心感を与えることができます。

2 業者さんとの信頼関係を築くための心遣い

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