「カスハラ」とは?【知っておきたい教育用語】
学校に理不尽な対応を要求する保護者のことを「モンスターペアレント」という言葉で呼ぶことがありますが、昨今は保護者による学校への「カスハラ」も問題視されています。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

目次
カスハラとは
【カスハラ】
「カスタマーハラスメント」の略称で、顧客や取引先などからの不当なクレームや過剰な要求などの迷惑行為を指す。学校現場においては保護者が学校および教職員に対して行うもの。
カスハラの判断基準は業種や業態、企業文化などによって違いがあり、各組織に応じ、前もってカスハラの判断基準を明確にしておく必要があります。また、組織内での考え方やカスハラがあった場合の対応方針を統一し、共有しておくことも大切です。
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によれば、カスハラを判断する一つの尺度として、「顧客等の要求内容に妥当性はあるか」「要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か」という2つの観点で判断することを推奨しています。
カスハラの例としては以下のようなものが挙げられます。
「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例
●企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
●要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合
「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例
(要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの)
●身体的な攻撃(暴行、傷害)
●精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
●威圧的な言動
●土下座の要求
●継続的な(繰り返される)執拗な(しつこい)言動
●拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
●差別的な言動
●性的な言動
●従業員個人への攻撃、要求
(要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの)
●商品交換の要求
●金銭補償の要求
●謝罪の要求(土下座を除く)
学校現場におけるカスハラ
学校におけるカスハラとしては学校および教員に対する保護者からの不当なクレームや要求、暴言・暴力などが挙げられます。
例えば、何かトラブルが生じた場合、教員の対応に落ち度がないにもかかわらず執拗な謝罪を求めることや、勤務時間を大幅に超えて夜遅くまで不満を言い続けるといった言動のほか、合理的な理由がないのに自分の子どもを特別扱いするよう要求するといった事例もあります。また、SNSを通じた学校や教職員に対しての誹謗中傷など、学校現場のカスハラは複雑化してきています。
こうしたカスハラは教職員の精神的負担を増やすだけでなく、多忙な教員の時間をも奪い、教育の質の低下にもつながってしまいます。そのため、カスハラが起こった場合における明確なガイドラインなどの設定や相談窓口の設置が必要です。また、カスハラが起こらないよう、保護者とのコミュニケーションを怠らないようにすることも有効な対策の一つです。