【相談募集中】係活動をきっかけに、学級でトラブルが多発します

特集
先生のための個別相談サービス【みん教相談室】相談&回答一覧

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太

係活動をすることで学級内にトラブルが起こってしまうという相談が「みん教相談室」に寄せられました。その度に何度も話合いや指導をしてきたものの、根本的な解決にいたらないそうです。これを受けて回答したのは、宮城県公立小学校教諭の鈴木優太先生。その内容をこちらでシェアします。

イラストAC

Q. 係活動をきっかけに学級が崩れてしまいます

30代前半、教員8年目です。いつも係(会社)活動をきっかけとして学級が崩れてしまいます。低学年でも高学年でもだいたい同じことが起きます。低学年では「◯◯会社に入っていない子とは遊ばない」「◯◯さんは絶対入れてあげない」等の仲間外れが多く、保護者を巻き込んだ話合いに発展したこともあります。

最近担当した高学年のクラスでは「イラスト会社」が専科の授業中にちぎったノートにイラストを書いたり、「折り紙アート会社」の女子が大人しい男子に命令して自費で折り紙を持ってくるように言ったり……。その他の会社活動でも、女子グループが対立し、関係が悪化する一因にもなりました。

1学期の早い段階に「会社活動はクラス皆が楽しく過ごせるためのもの」「お金をかけずに活動しよう」等、ルールを確認もし、守れなかった時に繰り返し話合いや指導もしていますが結局根本的な解決にはなりません。何らかの上手くいく声かけや活動のさせ方を模索しています。アドバイスお願いします。

(まる・30代女性)

A. 仲間外れや対立を防ぐための具体策を3つ提案します

「係(会社)活動で、豊かな経験をしてほしい!」

という相談者さんの願いにとても共感します。私も係活動が大好きだからです。しかし、この問題は多くの学級で起こり得るものです。「根本的な解決」のヒントとなるよう、精一杯回答させていただきます。

まず、仲間外れや対立を防ぐための具体策を3つ提案します。

① 「1人係」を推奨する

「係は友達とやるもの」という固定概念を捨てましょう。必ず複数人で取り組まなくてはいけない、と学習指導要領に明記されているわけではありません。探究的な学習の入り口として、係活動はもってこいです。「1人係」を積極的に推奨しましょう。

② 「プロジェクト活動」に取り組む

「会社活動」というネーミングが、意図せず対立を煽っている可能性が考えられます。「プロジェクト活動」と名称を変え、短期間で見直せる仕組みにするのがおすすめです。競い合いをイメージする会社とは異なり、お互いが学級をよりよくするために取り組んでいるプロジェクトだから応援し合えます。

③ 「アクションプラン」を2週間ごとに振り返る

「〇月〇日から〇月〇日まで□□□□□を☆回やります」とプロジェクトを宣言する、アクションプラン方式を取り入れます。活動期間は、まずは2週間がお薦めです。達成or未達成を振り返り、継続・解散・新設を決めます。短期間で活動を積み重ねていくことで、「入らないと仲間外れになる」、「固定メンバーで対立が起こる」といった問題は起こりにくくなります。

アクションプラン方式についてはこちらをご覧ください↓
「係活動 アクションプランシート」自治的な学級をつくる12か月のアイデア

これ以外のトラブル(授業中の落書き、お金をかける、特定の子に命令する……)が発生するのは、子どもたちが係活動に依存してしまっているからかもしれません。解決策はシンプルです。

なくてもよいものだから、やめる

トラブルのもとになるなら、係活動を停止してみましょう。係活動のない期間を経験してみることで、新しい実践のヒントがつかめるかもしれません。学習指導要領からも、学級の実態に応じて行わない選択が可能であると解釈できます。例えば、学級開き直後の1週間を振り返ってみてください。当番活動や係活動がなくても、学校生活はそれなりに回っていきます。

子どもたちから「やってみたい!」という動きが出たときこそ、真の主体的な活動となるのではないでしょうか。「待つ」ことも、教育ではとっても大切です。

係活動はいつ始めてもよい

6月や9月から始めても構いません。私は、12月から開始したこともあります。

「どうすればよいか、みんなで行動してみよう」

このように投げかけます。「考えてみよう」と私たち教師は言いがちですが、本当に重要なのは「行動すること」です。アウトプットでしか世界は変わりません。トライ&エラー&「リトライ」の経験も、子どもたちには全身でたっぷりと積み重ねてほしい。だからこそ、相談者さんの試行錯誤は、かけがえのない財産です。子どもたちと共有することで、尊い学びとして未来に生かされるでしょう。

それでも、課題は必ず生まれるもの。不安を恐れてチャレンジしない学級ではなく、乗り越えられる強い学級が、私たちが目指すところです。係活動に取り組まないと、決して見ることのできない景色だと思います。「やらない」ことも選択肢にある中で、子どもたち自身が「やってみたい!」と主体的に動き出す。その瞬間にこそ、人が育つからです。

本気の主体性が引っ張り出されるのが係活動なのです

だから、私は係活動が大好きです。これまでの常識を見直し、子どもたちとともに、新しい係活動のカタチを模索していきましょう。

みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
特集
先生のための個別相談サービス【みん教相談室】相談&回答一覧

学級経営の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました