小５国語科「大造じいさんとガン」全時間の板書と指導アイデア

特集: 文部科学省教科調査官監修｢教科指導のヒントとアイデア｣

授業改善

2025.01.30

プリント

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、自分が感じた物語の魅力について、その根拠となる優れた叙述を見いだしていきます。そして、友達と交流しながらお互いの感じ方の相違に気付き、物語の読み方の多様性を実感できるようにしていきます。

2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

この単元では、「作品の魅力を見つけ、朗読しよう」という言語活動を設定します。
作品の魅力を見つけ出すことを目的として、朗読に取り組み、朗読を生かして、作品全体のよさや作品の工夫などに気付くことができるように展開していきます。
まずは直感でこの作品の魅力を捉え、できるだけ短い言葉で表現してみます。そして、その魅力を感じた優れた叙述がどこにあるのか、探していきます。さらに、直観で捉えた作品の魅力について、どのように朗読するかを考える過程で、叙述について詳しく読んでいきます。
また、作品の魅力を探す中で、作品の「山場」や「情景を描いた叙述」にも触れ、児童はそれらの叙述の中にも自分が感じた作品の魅力の根拠があるかどうかを考えていきます。
この作品は、大造じいさんと残雪の相互関係を捉えることでその魅力に気付くことができます。残雪の「仲間を守る」という一貫した行動に触れながら、その心情を変化させていく大造じいさんの様子を、描写をもとに捉えられるようになることに重点を置いて進めていきます。　
本単元では、朗読を中心的な活動として取り上げますが、場面ごとの朗読だけでは、作品全体を通した変化や構成の工夫に気付くことはできません。そこで、１人１台端末を活用して児童の場面ごとの朗読をつなげて聞いたり、本文を確かめたりします。そうすることにより、作品全体を見渡すことで気付く魅力についても考えることができるようにしていきます。

4. 指導のアイデア

「直観で作品の魅力を捉える→根拠となる叙述を作品の中から探す」という学習過程とすることで、児童の学習意欲の高まりをねらいます。与えられた課題を解決するのではなく、自分で捉えたものを詳しく捉え直していく活動になるので、より主体的に読み進められます。

また、それぞれの学習過程で交流を取り入れることで、対話的な学びをねらっていきます。
例えば、作品の魅力を捉える段階では、「残雪のすごさが魅力だ」「大造じいさんの成長が魅力かもしれない」等々、一人一人が何に目を向け、どのような魅力を感じているのかを交流することで、自分の視点に自信をもったり、修正を加えたりすることができます。
また、児童が魅力の根拠と考える叙述を探し出した段階でも交流をすると、「そうそう、この叙述は大事だよね」と自分の探した叙述に自信をもったり、「どうしてその叙述を選んだの。なるほど、そういうことね。気が付かなかったけれど、それも重要だね」と新たな気付きを得たりすることができます。

5. 単元の展開（全6時間扱い）

　単元名： 作品のみ力を見つけ、朗読しよう。

【主な学習活動】
第１時　作品の魅力を捉えよう。
○音声CDを活用して、全文の朗読を聞く。　
　・あらすじを確認しながら聞く。
　・「いいな」と思うところに印を付けながら聞く。
○作品の魅力をできるだけ短い言葉で表現する。
○一人一人が考えた作品の魅力を学級全体で交流する。
○今後の学習の進め方を確認する。

第２時　朗読したい場面を選び、朗読を工夫しよう。
○最も魅力が詰まっていると思う場面（＝朗読したい場面）を選ぶ。
○どの場面を選んだか、友達と交流する。
○自分が朗読したい場面を決める。
○作品の魅力の根拠となる叙述を探す。
○朗読の仕方の工夫を考え、朗読譜を作る。
○本時の振り返りをする。

第３時　魅力が伝わるように、工夫して朗読しよう。
○前の時間に作成した朗読譜を確かめる。
○朗読の練習をする。
○お互いの朗読を聞き合い、感想を伝え合う。

第４時　朗読をつなげて聞き、作品全体から魅力を考えよう。
○場面ごとの朗読をつなげて、作品全体の朗読を聞く。
○１時間目に考えた魅力と比べて考える。
○作品全体から気付いた魅力についてまとめる。

第５時　見つけた作品の魅力を伝え合おう。
○注目したところが同じ友達と伝え合う。
○注目したところが違う友達と伝え合う。
○作品の魅力について自分なりの考えをまとめる。

第６時　学習を振り返り、作品の魅力をまとめよう。
○自分が考えた作品の魅力を確かめる。
○改めて、自分の朗読を聞き、作品の魅力について友達と伝え合う。
○学習を振り返り、作品の魅力をまとめる。