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学級レク「三大遊び」で楽しく学級経営|子供たちが前のめりになる学級経営&授業アイデア #12

連載
子供たちが前のめりになる学級経営&授業アイデア

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太
子供たちが前のめりになる 学級経営&授業アイデア バナー

学級経営と授業改善について、アナログとデジタル、それぞれのよさを融合しながら唯一無二の実践を続ける鈴木優太先生の連載です。子供たちが熱量高く、前のめりに学習したり活動したりする学級づくりや授業のアイデアを、毎月1本紹介します。今回は、学年末や学期末にもおすすめの教室でできる学級レクを取り上げます。

執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太

「三大遊び」で、学級じまいまで楽しく学級経営しよう

「なんだかクラスの雰囲気が重たい」
「雨で外に出られず、落ち着きのなさが教室に充満している」
「あと10分、半端に時間が空いてしまった」

学級経営をしていると、誰もが一度は立ち止まる瞬間です。学級経営の要は、子供たちのエネルギーを抑えることではありません。健全に発散できる環境を整え、学級のプラスに転換することです。特に、学期はじめや学期末、天候に左右される日や行事と行事の谷間では、この視点が学級の安定を大きく左右します。

そこで、子供たちが確実に前のめりになる方法を提案します。

学級で簡単にできる「三大遊び」です。

①じゃんけん遊び
②鬼遊び
③ボール遊び

そうです。先生方のポケットに、いつでも取り出せる「遊びの引き出し」が入っているだけで、教室の空気は驚くほど軽く、前向きに動き始めます。

最強のネタ元「ACP」の活用

私が「三大遊び」を構築する上で、絶大な信頼を置いているリソースがあります。

公益財団法人日本スポーツ協会が提供している「アクティブ・チャイルド・プログラム(ACP)」です。

JFCA(一般社団法人日本サッカー指導者協会)主催のセミナーに登壇させていただいた際に教えていただきました。これが、とてつもなく優秀です。膨大な数の運動遊びが紹介されています。指導者向けの説明だけでなく、何と子供版の説明もあります。ルビも振られているので、子供たちがタブレットで自らルールを確認し、自分たちの力で進めることも可能です。特筆すべきは、動画です。言葉だけではイメージしにくい動きも、一目瞭然ですぐに始められます。

今回はこのACPの中から、満足度が高いのにあまり知られていない「三大遊び」を紹介します。元のルールがシンプルだからこそアレンジも自在。これまでの教室遊びの常識を覆すものばかりです。

【三大遊び①】じゃんけん遊び「どどどんじゃんけん」

▼「どんじゃんけん」の基本の遊び方

教室で行うじゃんけん遊びの常識を覆すのが、チーム対抗の陣取りじゃんけんです。

1本道の両端から2チームがスタートし、出会ったところで「どん(鉢合わせ)」して、じゃんけんをします。勝ったほうはそのまま進み、負けたほうは道を譲り、次の走者がスタートします。相手陣地に到達したらポイントゲットです。 

・遊び方の動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=u3p6ZIh690I

▼鈴木流アレンジ「どどどんじゃんけん」

私がおすすめするのは、さらにコースを増やした「どどどんじゃんけん」です。タイトルの「ど」の数だけ、コースを増やします。

・「どんじゃんけん」なら1本。
・「どどどんじゃんけん」なら3本。
・「どどどどどんじゃんけん」なら5本です。

教室で行う場合、机と机の間をコースにするのが最も簡単な方法です。しかし、「すずらんテープ」を活用すると、くねくねコースにアレンジすることができます。元々は体育館や校庭などの広い場所を想定したレクですが、教室でも机を寄せてスペースを作ればダイナミックに楽しめます。

この遊びの醍醐味は、「空いているコースをねらう」という戦略にあります。コースを3〜5本ほど用意し、「どのコースを選んでもよい」というルールにするのがポイントです。シンプルながらも、チームごとの作戦が光る遊びです。

普通のじゃんけんではなく、「全身じゃんけん」(体全体を使ってグー・チョキ・パーを表す)にすると、さらに運動量が大幅にアップします。 

どどどんじゃんけんをする子供たち

以前、些細な言い争いから口をきかなくなっていたAさんとBさんがいました。コース上の人が次々と入れ替わるスピーディーな展開。AさんとBさんは、偶然にもコース上で鉢合わせることになりました。出会い頭の「どん!」。チームのみんなが見守っています。「いけー!」「がんばれー!」という声援が飛び交います。チームの期待を背負った二人は、「最初はグー!」と叫んでいました。遊び終わった後、2人の間にあった分厚い壁は消え、今までのように笑い合っています。遊びへの没頭が子供の心を解きほぐし、理屈抜きの関係修復をもたらした瞬間でした。

【三大遊び②】鬼遊び「押しくらまんじゅう鬼」

▼「押しくらまんじゅう鬼」の基本の遊び方

教室で行う鬼遊びの常識を覆すのが、この走らない鬼ごっこです。

背中合わせで腕を組み、円の外へ押し出します。円の外にいる鬼にタッチされたり、円から出てしまったり、尻餅をついてしまったりした子は鬼になります。時間まで円の中に残っていた子がチャンピオンです。

・遊び方の動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=2VWZsMF4o0w

▼鈴木流アレンジ「すずらんテープ押しくらまんじゅう鬼」

すずらんテープ押しくらまんじゅう鬼をする子供たち

円を作るのに、「すずらんテープ」が活躍します。テープを床に貼る必要はありません。円の大きさを調整することで、難易度を自在にコントロールできます。

「まずはしっかり体を動かしたいから広めにしよう」
「遊べる時間も残りわずかなので、最後は狭い円にして、一瞬の勝負にしよう」

子供の実態やその時の状況に応じて、戦いのエリアを自在にコントロールしてください。1回のレク時間の中で、難易度を変えて楽しむことができます。

普段はとてもおとなしく、自分の感情を表に出すのが苦手なCさん。しかし、この遊びでは背中から伝わる相手の力を全身で受け止め、力強く押し返さなければなりません。「身体の距離は心の距離」です。身体を通じた全力のコミュニケーションは、Cさんの殻を内側から突き破ったのでしょう。チャンピオンになったCさんは、普段の生活では絶対に見せないような声を上げ、満面の笑顔です。身体接触を伴う遊びには、子供の奥底に眠っているエネルギーを引き出す力があります。Cさんの、その後の学級生活での発言意欲にもつながっていきました。

【三大遊び③】ボール遊び「ムカデドッジ」

▼基本の遊び方「ムカデドッジ

教室で行うボール遊びの常識を覆すのが、チームで協力して逃げきるドッジボールです。

四角いコートの中を1列(ムカデ)になって逃げきるドッジボールです。相手チームが四方から狙ってくるのを、先頭の人が守ります。一番後ろの人以外は、当たってもアウトになりません。列の手を離してしまったらアウトになります。 班対抗で順番に行い、最も長い時間、逃げ続けた(列の長い)班をチャンピオンにするとよいでしょう。

・遊び方動画はこちら → https://www.youtube.com/watch?v=OXDF27m4J7o

▼鈴木流アレンジ「新聞紙ボールムカデドッジ」

室内でボール遊びをする際、最大のハードルは安全性です。硬いドッジボールを使えば、ガラスが割れる危険もありますし、何より運動が苦手な子が怖がって参加しません。そこで登場するのが、「新聞紙ボール」です。その名の通り新聞紙を丸めるだけ。しかし、ガムテープでぐるぐる巻きにしてはいけません。硬いボールと変わらないためです。ふわっと丸めることで空気抵抗が生まれ、スピードが出過ぎず、当たっても痛くありません。

また、コートを円形にすれば、「すずらんテープ」を置くだけでも作れるため、準備の手軽さも抜群です。

新聞紙ボールムカデドッジをする子供たち

このほかに、21種類ものドッジボールのバリエーションを連載第3回で紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。実は、教室でできる「新聞紙ボールムカデドッジ」から始めるのがおすすめです。

運動が苦手で、ドッジボールを「怖い」と避けていたDさん。いつもコートの隅っこで、飛んでくるボールに怯えながら逃げ回るばかりでした。しかし、当たっても痛くない新聞紙ボールなら話は別です。Dさんは何と自ら「先頭」に立候補したのです。列の先頭に立って、後ろの仲間を守るために必死に身体でブロックしました。「ナイスガード!」「助かった!」後ろにつながっている仲間たちから、称賛の声が上がります。キャッチできなくてもいい。強く投げられなくてもいい。運動が苦手な子もヒーローになれるボール遊びです。

熱狂を生み出すシステム「短く×多く」の魔法

教室遊びを導入する際、重要な大前提についてお話しします。

経験の少ない先生方や子供たちは、10分間あれば10分間活動をしようと考えます。「たくさん活動したい!」というやる気の表れですが、設定した活動時間がそもそも長過ぎることが、うまくいかない原因です。

短く×多く

例えば、10分間のドッジボールを企画したとしましょう。開始早々に当てられてしまった子は、残りの9分間コートの中を眺めているだけということもあります。時間が経つにつれて、待機時間の長い子や負けているチームの不満は蓄積していきます。これではエネルギーの発散どころか、学級経営としては逆効果です。

ドッジボールを10分間するのであれば、10分間1本勝負よりも、3分間×3セットのほうが盛り上がります。90秒間×5セットでもよいでしょう。トータルの時間はそれほど変わりませんが、その中身は別物です。

あっという間に試合が終わります。短いスパンで勝敗が決まるので、子供たちは毎回新たな気持ちでスタートできます。セット間の短いインターバルで、自然発生的に作戦会議が始まります。この回転数こそが、中だるみを防ぎ、子供たちを前のめりにする最大の秘訣なのです。

今回示した「三大遊び」は、どれも「秒で決着」する活動です。

書籍やウェブサイトに掲載されている活動時間の目安よりも、短く、回数を多く設定するのがコツです。「もう少しやりたかった!」の声が出るからです。

「授業時間が足りないのに、遊んでいる暇なんてない」――そう思われる先生もいるかもしれません。

しかし、私は断言します。学級経営における良質な遊びは、時間の消費ではなく、未来への「投資」です。

たった数秒のじゃんけん遊びで、喧嘩していた2人が笑顔になります。 雨の日、すずらんテープ1本で、停滞していた教室の空気が一変します。新聞紙を丸めただけのボールで、自信をなくしていたあの子がヒーローになります。

これこそが、教師という仕事の醍醐味ではないでしょうか。ぜひ、明日の教室から、これらの「三大遊び」を取り入れてみてください。子供たちが前のめりになる瞬間を、先生自身も楽しんでください。


鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア56』『教室ギア55』(共に東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)など、著書多数。

イラスト/高橋正輝

参照/鈴木優太『教室ギア56』(東洋館出版社)、鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)、鈴木優太『クラス全員が「聞ける」「話せる」! ペア活動図鑑100』(学陽書房)、多賀一郎監修・鈴木優太編・チーム・ロケットスタート著『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク』(明治図書出版)、鈴木優太編・チーム・ロケットスタート著『小学6年の学級づくり&授業づくり 12か月の仕事術』(明治図書出版)

【鈴木優太先生 連載】
子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア(全12回)
自治的な学級をつくる12か月のアイデア(全12回)
子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)

【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア56(東洋館出版社)
教室ギア55(東洋館出版社)
「日常アレンジ」大全(明治図書出版)
クラス全員が「聞ける」「話せる」! ペア活動図鑑100(学陽書房)
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク(明治図書出版)
小学6年の学級づくり&授業づくり 12か月の仕事術(明治図書出版)

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