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公立学校の教員と地方公務員の違いって?教育職員免許法と教育公務員の身分・服務~シリーズ「実践教育法規」~

連載
シリーズ「実践教育法規」
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国立教育政策研究所 総括研究官

千々布 敏弥(ちちぶ としや)

田中博之

教育に関する法令や制度に詳しい早稲田大学教職大学院・田中博之教授監修のもと、教育にまつわる法律や制度を分かりやすく解説していく本連載。第32回は「教育職員免許法と教育公務員の身分・服務」について。地方公務員のうち、幼稚園や学校に務めるのが教育公務員。任用期間などにおいて、その他の地方公務員とは異なる規定が適用されていることを知っていますか?

執筆/千々布 敏弥(国立教育政策研究所総括研究官)
監修/田中 博之(早稲田大学教職大学院教授)

【連載】実践教育法規#32

教育職員免許法

教育職員免許法により、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教員は、それぞれの学校種に相当する教員免許状が必要であると規定されています。

また、義務教育学校の教員は、小学校と中学校両方の教員免許状、中等教育学校の教員は、中学校と高等学校両方の教員免許状が必要であり、特別支援学校の教員は、特別支援学校と特別支援学校の各部に相当する教員免許状が必要です。

教育公務員とは

教育公務員とは、地方公務員のうち、市町村や都道府県が設置する幼稚園、認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、特別支援学校に勤務する職員を意味しています。

基本的に義務教育段階の小中学校は市町村に設置義務があります(都道府県や国が設置することは可能)。したがって、小中学校の教員の多くは人事権が都道府県にありながら市町村の公務員となり(都道府県立小中学校の場合は都道府県の公務員となる)、地方公務員法の適用を受けています。

服務とは、公務員が職務遂行上または公務員としての身分に伴って守るべき義務ないし規律のことを言います。地方公務員法は「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と規定されています。

教員の服務上の義務

地方公務員法において、公務員の服務上の義務に関しては、職務上の義務(公務員が勤務時間中に職務を遂行する上で守るべき義務)と身分上の義務(職務の内外を問わず公務員がその身分を有することによって守るべき義務)に大別されます。

職務上の義務には、服務の宣誓、法令および上司の命令に従う義務、職務専念義務があります。

身分上の義務には、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、政治的行為の制限、争議行為の禁止、営利企業への従事の制限があります。

なお、教育公務員特例法により、公立学校の教員は地方公務員とは異なり条件付き任用期間が半年でなく1年、政治的行為の制限の範囲は当該地方でなく国の範囲で、と規定されるなど、地方公務員とは異なる規定が適用されています。

教育公務員の服務内容

教育公務員の任命権

地方公務員は服務監督権も任命権も同じ自治体となりますが、市町村立学校の教員の服務監督権者と任命権者は異なっています。

市町村が直接小中学校の教員を雇用しようとすると財政負担が膨大になるため、市町村立学校職員給与負担法で、政令指定都市を除く市町村が設置する小中学校等の職員の給与は都道府県の負担とする、と規定され、都道府県教育委員会が教員の任命権者となっているためです。

政令指定都市を除く市町村立学校の教員は任命権者が都道府県、服務監督権者が市町村となっています。そのため教員採用試験は都道府県か政令指定都市が実施することとなります。

分限処分と懲戒処分

公務員の処分には、分限処分と懲戒処分があります。分限処分も懲戒処分も任命権者が行っています。

分限処分とは勤務実績がよくない場合や心身の故障の場合等に職員の意に反して身分上の変動をもたらす処分です。病気による休職、指導力不足による異動や免職などが該当します。

懲戒処分とは法律違反行為、職務義務違反、職務怠慢、全体の奉仕者としてそぐわない非行等を事由とした処分です。交通事故や体罰等による免職、停職、減給、戒告が該当します。県費負担教職員の分限及び懲戒処分にあたっては、服務監督権者である市町村教育委員会の内申を待たねばなりません。

職務専念義務違反における処分

『実践教育法規 2023年度版』に加筆・修正

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