子供たちといっしょに読みたい 今月の本#9 防災・災害を考える本
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連載9回目のテーマは、「防災・災害を考える本」です。日本は自然災害が多い国。自然災害が起こったときにどのようにするかなど、防災意識を高めるきっかけになるような本を紹介します。子供たちの1人読み、先生が読む、読み聞かせなど学級の実態に合わせてください。
監修/東京学芸大学附属小金井小学校司書・松岡みどり
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目次
絵本
低学年にも親しみやすい絵本で、地震の際の自分自身の守り方を知り、防災について考えることができます。ストーリー仕立ての絵本なので、子供たちが自分事として興味をもつことができるでしょう。
![子供たちといっしょに読みたい 今月の本 防災・災害を考える本 『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/dksho_25-t2_book_01.jpg)
『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』
文・監修/清永奈穂 絵/石塚ワカメ
岩崎書店刊
大地震発生直後の8秒が生死を分ける、と言われています。子供が1人のとき、この8秒間にどうやって自分の身を守ればよいのかが分かる絵本です。
松岡司書のおすすめポイント
地震直後にどのように動くかが分かりやすく描かれているストーリー形式の絵本です。「さがして(うさぎ)、はしって(ねずみ)、まもるんだ(かめ)」という合言葉は子供にとって覚えやすく、逃げる場所を確保し、次の揺れに備えることが初期動作として大切だということを教えてくれます。低学年だけでなく、中・高学年にも読んでほしい内容です。
読み物
地震が起きたときには、誰しも慌てることでしょう。日ごろから地震についての知識をもっていれば、具体的な行動をイメージしやすく、いざという場合に備えることができます。
![子供たちといっしょに読みたい 今月の本 防災・災害を考える本 『ぼくのじしんえにっき 新装版』](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/dksho_25-t2_book_02.jpg)
『ぼくのじしんえにっき 新装版』
作/八起正道 絵/いとうひろし
岩崎書店刊
大地震で町がメチャンコになった! そのときのことを主人公の僕が絵日記に描きました。子供目線で淡々と描かれる厳しい場面が、阪神淡路大震災、東日本大震災を経験した今、リアルに迫ります。1989年に刊行された第6回福島正実記念SF童話賞大賞受賞作。
松岡司書のおすすめポイント
この作品は、阪神淡路大震災より前に書かれた創作の物語です。主人公が読者の子供たちに近い年齢で、地震が起きたときの様子がイメージしやすい内容になっています。東日本大震災から10年以上が経過し、災害に遭ったことのない子供たちに大切なことを伝えてくれることでしょう。1人読みがおすすめです。
ノンフィクション
今の小学生の子供たちは、東日本大震災のことについてほとんど知りません。震災について語り継いでいくことが、今後起きるであろう震災に備えることにつながるでしょう。
![子供たちといっしょに読みたい 今月の本 防災・災害を考える本 『きみは「3.11」をしっていますか?』](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/dksho_25-t2_book_03.jpg)
『きみは「3.11」をしっていますか?』
著/細野不二彦 著/平塚真一郎 著/井出 明
特別協力/河北新報社
小学館刊
2011年3月11日に起きた東日本大震災から10年後に、当時のことを伝えるために書かれたものです。マンガ、コラム、取材データなど様々な視点から「3.11」を見つめ続け、命の大切さを伝える1冊です。
松岡司書のおすすめポイント
いろいろな人の言葉やデータを通して震災のことを語り継いでいます。10年という月日を経て語ってくれた言葉やこれまでの軌跡を知ることで、震災の記憶を風化させず、未来に伝えていく新たな一歩となる本です。東日本大震災より後に生まれた子供たちにもこの本を読んで震災のことを知っていてほしいと思います。
知識の本
日本の災害は大昔から発生しています。災害の歴史やデータなどを紐解いて、私たちに役立つ防災対策につなげましょう。
![子供たちといっしょに読みたい 今月の本 防災・災害を考える本 『マンガでわかる災害の日本史』](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/dksho_25-t2_book_04.jpg)
『マンガでわかる 災害の日本史』
著/磯田道史 防災監修/河田惠昭
マンガ/備前やすのり
池田書店刊
地震、津波、噴火、台風、土砂崩れ、感染症など歴史的災害にまつわる古文書を、歴史学者である磯田道史氏が徹底解説。当時の人たちがどのように被災し、どのように復興を果たしたのかを伝えることで、今の私たちに役立つ教訓や防災対策につながります。
松岡司書のおすすめポイント
低学年には少し難しい内容ですが、マンガの部分を読むことで興味をもちやすくなるかもしれません。歴史を紐解いて災害について考えることで、過去の災害が未来の防災につながる可能性を探ることができます。新しい視点で災害や防災について考えることができる本です。
![子供たちといっしょに読みたい 今月の本 防災・災害を考える本 『地球防災ラボ』](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/dksho_25-t2_book_05.jpg)
『地球防災ラボ』
著/東北大学災害科学国際研究所
岩崎書店刊
災害の歴史を踏まえ、「断層はどうしてずれるのか」など実験を通して仕組みを理解したうえで、実感をともなった防災意識を高めます。実験で断層などの仕組みを知って、命を守るための知識が学べます。
松岡司書のおすすめポイント
災害についていろいろなデータが載っていて、イラストや写真などのビジュアルも多いので、災害について学びやすくなっています。身近なものを使って、液状化の実験や津波の実験ができ、仕組みが分かることが子供たちの学びにつながります。子供自身が読んでもよいし、先生が防災の授業をするときのヒントにしてもよいでしょう。中・高学年向きです。
こちらもおすすめ
災害に直接は関係しませんが、地球を守るために自分のできることについて考えさせられる本です。
![子供たちといっしょに読みたい 今月の本 防災・災害を考える本 『空気を変える』](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2025/01/dksho_25-t2_book_06-1.jpg)
『空気を変える』
文/デビー・リヴィ 絵/アレックス・ボーズマ
訳/宮坂宏美
あすなろ書房刊
地球が抱える環境問題の1つは、空気中に二酸化炭素が増えすぎていること。この本では、自然による二酸化炭素削減のメカニズムを紹介し、さらに人間の創意工夫で地球環境を守る方法を具体的に解説します。
松岡司書のおすすめポイント
災害そのものについて書かれた本ではありませんが、自然災害のなかには私たちの行動が影響を与えているものもあります。その一例が地球の温暖化です。これからの地球を守るために、私たちができることを考えさせてくれる絵本であり、結果的に災害を減らすヒントにもなります。
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松岡みどり司書からのメッセージ
日本は災害が多い国なので、災害を怖がるだけではなくて、地震や台風が来るという前提で本から知識を得るようにしてはいかがでしょう。避難訓練を行った後などに、低学年なら『おおじしん さがして、はしって、まもるんだ』、中・高学年なら『地球防災ラボ』などを関連付けて紹介するとよいと思います。歴史や実験などの情報を合わせて入れることによって、災害の視点が「怖い」というだけではなく、「どうしたら命が守れるか」ということにつなげられるのではないでしょうか。子供たちが防災意識に目を向けるきっかけにしてください。
読書や本の情報が満載
ウェブサイト「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」(東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会)
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/
取材・文・構成・撮影/浅原孝子
授業で使える312冊の絵本を紹介
![『絵本で広がる小学校の授業づくり』書籍表紙](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2022/07/71Oy4df2fgL.jpg)
著/齊藤和貴(京都女子大学教授)
司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよく分かります。
B5判/112頁
ISBN9784098402212
〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)
京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。