【授業レポート】子供の表現意欲を刺激する「絵本づくり」の探究学習&ワークショップ with NON STYLE石田明さん【PR】
東京都内の公立小学校で、4年生対象に絵本制作の授業が実施されました。授業後のワークショップの講師として、芸人であり絵本制作経験のあるNON STYLE石田明さんも参加。子供たちの想像力と表現力を刺激するユニークな学習活動となりました。当日の授業を担当した学級担任の先生の声も交えて、全3時数の取組の具体的な流れを紹介します。
目次
絵本の創作方法を学んで、実際に作ってみよう!
1〜2時間目で学級ごとに担任の先生による事前授業を行った後、3時間目に体育館に移動して学年全体で石田さんの講話とワークショップをする、という全体構成でした。
絵本づくりの授業を実際にやってみて、「絵本づくり」というテーマで自由にメッセージを設定できると、子供たちは 自分の中の思いをアウトプットしやすいんだなと感じました。アウトプットするのが苦手な子供は少なくないと思いますが、 「発表しましょう」だと緊張してしまう子供も、 「絵本を作りましょう」とすると、自分の伝えたいことを出しやすくなるようです。 普段アウトプットが得意じゃない子も、 楽しそうに一生懸命描いている姿が見られました。ぜひ試してみていただきたいなと思います。
1時間目:人の心を動かすのに必要な要素って何だろう?
【本時のねらい】絵本創作への興味・関心を高め、制作意欲を高める
1時間目は、まず最初に全員でガイダンス動画を視聴し、絵本づくりの基本的な知識を得てから、ワークシートを使用して自分の作りたい絵本について考えを深めていきます。
4年生はちょうど最近、国語科で光村図書『国語 四下』の単元「友情のかべ新聞」をやったところです。今日はそのつながりで、文と絵とつないでいくというところを意識して授業をしました。 教科横断的に、総合的な学習の時間や図工科とのカリキュラムマネジメントもいいと思います。
①導入/動画視聴による学習:「絵本の魅力と絵本づくりの手順について」
マクドナルド協力のもと制作された「絵本づくり」の探究学習プログラムの映像教材を視聴し、絵本の良さを知るとともに、絵本づくりの流れを確認します。
絵本の良さについては、「絵でパッと見て伝わる」「読んでいる人が主人公の気持ちになれる」「絵本は安心できる場所になる」などのポイントが示され、絵本づくりの流れについては、
1.自分の伝えたいことを決める
2.お話の大まかな流れを決める
3.絵とセリフを描く
という段階が示されます。
②展開/ワークシートによる学習:「自分が伝えたいこと、読者ターゲットを考える」
ワークシートを子供たちに配付し、「人の心を動かすのに必要な要素って何だろう?」「えほん作家さんの話を聞こう」など動画で見たことについて、そして「自分がえほんで伝えたいことや表現したいこと」について書き込んでいきます。教師は子供たちのワークシートを見ながら、一人ひとりに肯定感のある声かけをしていきます。
③ふり返り/友達と話し合い活動:「友達の考えを知り、アイデアをさらに広げる」
本時の終わりには、5分ほど席を移動しながら友達との話し合い活動をして、他の人のアイデアを見聞きし、アイデアを広げるよう促します。また、感想を言い合うことで、コミュニケーションの機会を作ります。
友達同士で見合うことで、どんどんアイデアが出てきたかなと思います。図書室でやったらもっと面白いかもしれません。本が目の前にある場所だと、さらにいっぱいアイデアが出ただろうなと思っています。
2時間目:独自性のあるアイデアに整理していこう
【本時のねらい】絵本制作に必要な要素を整理し、具体的なイメージを膨らませる
2時間目は、ワークシートを完成させ、実際に絵と台詞を描いてきます。最後は、友達の作品を認め合い、終末とします。
①導入/前時までの内容確認:絵本の心を動かす要素、絵本づくりの手順を復習
前時から引き続き、ワークシートへの記入を進めます。アイデアを整理し、主人公設定、タイトル、ストーリーなどをワークシートにまとめていきます。教師は机間指導をしながら、子供たちに意欲をもたせる声かけをします。
②展開/制作:実際に絵と文字要素を描き込んでいく
絵本を描くための用紙を配付。記入したワークシートをもとに、絵と文字(台詞)を描いていきます。
教師は「これ、いいね!」「素敵だね!」などと声かけをしながら、子供の作品を見回ります。どう描いてよいのかわからず悩んでいる子供には、各自でタブレットを活用し、参考になる画像資料を検索してみるよう促します。
③ふり返り/グループでの対話:アイデアを共有し、お互いにアドバイスをすることで内容を深める
子供たちの作品が描き上がってきたら作業を止めて、似たようなテーマで描いている子同士でアイデアを共有することを促す。また違うテーマ同士でも、自分の作品を見せ合い、認め合う時間を取ることで、お互いのよさを知る時間につなげ、終末とする。
評価のポイントとしては、子供たちの「学びに向かう力」。ここは非常に見取りやすいポイントかなと思います。 自分でどんどん進めていける学びなので、その自主性を丁寧に認め、伸ばしていきましょう。
子供たちの口からは、「似たテーマでも、全く違う物語を考えている友達を見て、いろんなアイデアがあるんだなと思った」「6歳くらいを対象に作ったので、妹にも読んでもらいたい」 など、様々な感想が語られました。
3時間目:NON STYLE石田明さんとの絵本づくりワークショップ
2時間目終了後は、学年全員で体育館へ移動し、NON STYLE石田明さんによるグループワークを行いました。石田さんの軽妙な語りと問いかけは、子供たちの自由な発想を引き出し、発表を通して表現する楽しさを体験することができました。
ワークショップは以下の三部構成で行われました。
①石田明さんより漫才のネタ作りにも通じるストーリー構成術を伝授
ワークショップは石田さんのトークからスタート。「みんな僕のこと知ってる?」というところから笑いをとりつつ、子供たちの注意と関心をひきつけていきます。
「僕は、今までに200個以上、漫才ネタを含めたら1000以上のストーリーを考えてきました。僕が子供の頃は、家にテレビもなかったんです。だから、ずっと自分で楽しい物語を考えて過ごしました。辛いことや嫌なことがあっても、楽しいことを考えていたら、楽しくなれるよね! だから、みんなもこれを機に、たくさんの物語を考えていってほしいな!」
そして石田さん自ら、ご自身の絵本『ヤドカリさんのだいへんしん』を紙芝居スタイルで読み上げ、ストーリーを共有します。また、起承転結(はじめに・なか・おわり)という構成を考えると絵本らしくなるということも伝えていただきました。
②セリフを考えよう!グループワーク
次は絵本『ヤドカリさんのだいへんしん』を題材に、グループワークの時間です。絵本の最後のページに「優しいって、かっこいいよね」という台詞があり、その1つ前のページのヤドカリくんの空白になった部分を埋める台詞を、みんなで自由に考えようというワークです。
子供たちは数人のグループごとに分かれてアイデアを話し合い、各グループに1枚ずつ配られた用紙の空白部分に、とっておきの台詞をひとつ書き込んでいきます。
③具体的なセリフの例や、子供たちのユニークな発想などを紹介
石田さんが巡回しながら、子供たちから挙げられた台詞を次々に取り上げて発表していきます。
「やっぱり普通が一番!」
「かっこいいって、外見じゃなくて中身だよね!」
「優しいことが、本当のかっこよさなんだ!」
「ありのままの自分でいいや」
など、魅力的な台詞が次々に発表されます。都度、子供たちの発想に対する石田さんの巧みな価値付けも、子供たちの喜びを向上させていました。
「他の人をうらやましがって無理をするより、ありのままの自分でいる方が人に優しくなれるよね。そして優しいことが、本当にかっこいいことだよね。みんなが、僕より素敵な台詞をたくさん考えてくれて、すごく勉強になったよ! ありがとう!」
「物語は、身近なところから生まれます。この『ヤドカリさんのだいへんしん』の話は、子供と一緒に海に行ったときに思いつきました。みんなも、いつもの生活の中から、物語のタネを探してみてね!」
と、石田さん。 たくさんの笑顔と笑いに包まれて、ワークショップは終了しました。
まとめ:授業に「絵本づくり」の探究を取り入れたら
以上、今回は東京都内の公立学校で実施した「絵本づくり」の探究学習&ワークショップの模様をお伝えしました。終了後に学級担任の坪木先生から、今回の取組について次のように総括いただきました。
今日の絵本づくりの授業では、最後のワークショップも含め、子供たちが笑顔で自主的に楽しむ姿がたくさん見られました。自由にのびのびと、自主性を重んじることができ、普段の授業とはまた一味違ったよさがありました。授業の最後に、「ハッピーえほん大賞」への参加を促したとき、子供たちから意欲的な反応が見られたので、そういった目標を持たせることの効果も感じられました。
絵本づくりを通して、子供たちの想像力や表現力、コミュニケーション能力を伸ばす授業。先生のクラスでも取り組んでみてはいかがでしょうか。
この絵本づくり探究授業は、学校で容易に導入できるように映像教材・ワークシート・教師用指導書がパッケージ化されて無償で提供されています。
ご希望の先生は下記参加フォームよりお申し込みください
↓↓↓
https://edu.qubena.com/l/968643/2024-10-17/q1m184
◆申し込みについてのお問い合わせ先:info@compass-e.com
マクドナルド「ハッピーえほん大賞」の詳細はこちら
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取材・文/田口まさ美(Starflower inc.) 写真/黒石あみ(小学館)
取材協力/世田谷区立千歳小学校
提供/日本マクドナルド