小1算数「10より大きい数」指導アイデア《10と1位数の加法と減法の計算の仕方》
執筆/福岡教育大学附属小倉小学校教諭・本田龍一朗
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏
目次
単元の展開
第1時 20までの数の数え方を知る。
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第2時 20までの数の読み方、書き方を知る。
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第3時 20までの数を「10といくつ」と数える。
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第4時 20までの数の構成を知り、10といくつの和として捉える。
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第5時 数直線を用いて、20までの数についての大小を理解する。
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第6時 数直線を用いて、大小や方向を知る。
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第7時(本時)10と1位数の加法と減法の計算の仕方を考える。
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第8時 20までの数の構成を和や差で捉えて、計算する。(12+3、15-3)
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第9時 40までの数の数え方、読み方、書き方を知る。
本時のねらい
数のまとまりに着目し、10に1位数を足す計算や10いくつからいくつを引いて差が10になる計算の仕方を考える活動を通して、それらの計算ができるようになる。
評価規準
10といくつという見方に着目し、たし算やひき算の計算をすることができる。(知識・技能)
本時の展開
(チョコが10個入った箱を提示する)チョコは何個ありますか。
(数えるなどして)10個です。
(さらに、チョコが2個入った箱を提示する)チョコは合わせて何個ですか。
12個だと思います。
どうやって分かりましたか。
数えたらすぐに分かります。
10個と2個だから12個とすぐ分かりました。
絵を見てすぐに分かった人もいたようですね。今日は次の問題に挑戦しましょう。(問題を提示する)
チョコが 10こと 4こ あります。あわせて なんこでしょう。
いままで勉強したように、式にできますか。
10+4です。
どうしてたし算になると思いましたか。
「あわせて」があるからです。
10のたし算は初めてだね。できるかな。
10より大きい数の計算はどうすればよいのか考えてみましょう。
10より大きい数の計算をしよう。
見通し
どうすれば求められそうですか。
ブロックを使ったらいいと思います。
ノートに丸をかいて数えたらいいと思います。
10といくつで考えたらいいんじゃないかな。
10+4の答えを書くだけではなく、その答えになったわけもノートに書きましょう。
※見通しでは、どうすれば解決できそうか、既習の1位数+1位数のたし算の学習を想起しながら、できそうな方法や考え方を出し合います。
自力解決の様子
A つまずいている子
問題文をブロックで正しく表すことができず、14という答えを求めることができていない。または、10個のまとまりを明確にしておらず、総数を数え間違えている。
B 素朴に解いている子
10+4=14 14個
※ブロックの図やノートの○の図から答えを求めている。
C ねらい通り解いている子
10と4で14
10+4=14 14個
※「10といくつ」の考え方を用いて、10+4を14と求めている。
学び合いの計画
Aの子供には、導入のチョコレートの問題のように10個といくつであれば答えが分かりやすくなることを確認します。文章に10個と4個という言葉があることから、まず、10個の「まとまり」をきちんと並べ、その後、4個を10個のまとまりから離して並べるよう指示し、答えを考えさせます。
Bの子供は、ブロックや図を手がかりに、答えが14個になることは理解できています。すべてのブロックを数えたり、10個のブロックから始めて数えたりしている子供には、答えを求めることができていることを賞賛しつつ、既習の数の仕組み「10と4で14」を活用できるようにするために、「10+4の答えを、ブロックを使わないで求めることはできないかな?」などと投げかけておき、全体交流での理解への準備とします。
学習の環境として、前時までの「10といくつ」で大きい数を数えたことをタブレット端末や掲示物で提示し、問題解決の手がかりとなるよう配慮するとともに、AとBの子供については、個別指導ですべて修正するわけではなく、全体の学び合いの場面でCの考えに気付かせていきます。
ノート例
A つまずいている子
B 素朴に解いている子
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
全体の学び合いの場面では、Bの子供の考えからCの考えへと深めていきます。
まず、答えは14個であることを全員で共有することができるように、Bの子供を意図的に指名し、ブロック操作を行います。ここで、10+4=14であることを全員で確認します。
その後、Cの子供を指名し、「10と4で14」という数の仕組みを活用すれば、ブロックを使わなくても答えが求められる、というよさに気付かせます。
その後、Cの考えを実感することができるように、数を変えた試しの問題に取り組ませます。また、たし算と同じ考え方を13-3のひき算の場面でも試し、10と3に分けて3を引くと求めることができることを確認していきます。
10+4はいくつになりましたか。
ブロックで考えました。ブロックを10個と4個置いて、動かします。
(Bの子供を指名し)動かしてみてください。
(1つずつ動かすか、数えて)10に11、12、13、14で14個です。
やっぱり10+4=14だった。
私は違う動かし方をしました。
どんな動かし方ですか。やってみてください。
(10と4を両側から合わせるように動かして)10個と4個で14個だから答えは14個です。
さっきと同じ14個になった。
動かさずに答えを出した人はいませんか。
私はブロックを10個と4個離したままにしました。10個と4個なのでくっつけなくても14個あることが分かります。
くっつけないほうが14個あることが分かりやすいかも。
なるほど。10個のまとまりと、4個のまとまりを少し離しておくんですね。ところで、ブロックやノートに○をかかずに数字だけで考えた人がいたので、発表してもらいましょう。
前の勉強で10と4で14になりました。だから、10と4を合わせたら14になると思います。
今の考えを前のブロックの図で説明できますか。
こちらのまとまりは10個です。こちらのまとまりは4個です。(「10」「4」とブロックの近くに書く)全部で14個あります。10と4で14と同じです。
なるほど。それでは、今まででのやり方のうち、どの考え方がよいですか。
10と4を合わせるやり方です。
どうしてですか。
全部数えなくてもすぐ求められるから簡単です。
そのほうがパッとできます。
ブロックもいりません。
では、次の問題を10といくつのやり方で考えてみましょう。まずは自分で考えて、それから、隣の友達と確認しましょう。
10+8
今度は、少し違う問題を考えましょう。
チョコが 13こ あります。3こ たべると なんこ のこりますか。
どんな式になりますか。
今度は食べて減っているからひき算です。
「残りますか」だから、13-3だと思います。
では、みんなで見付けた10といくつの考え方でできるか試してみましょう。まず、ブロックで確認しましょう。
ブロックで動かすと、(13個のブロックから3個右に動かして)このように10個残ります。
動かさなくても残りが10個と分かります。
ひき算もさっきのたし算のようにブロックを使わずに計算できますか。隣同士で考えてみましょう。
※ペアの活動後。
隣の友達とどんなことを話しましたか。
13は10と3です。3を引いたら10が残ります。
10といくつで考えたら、ブロックを使わなくても計算できました。
たし算のときと同じ考え方でできました。これからも10といくつで考えたらたし算もひき算もできそうです。
なるほど。10より大きい数の計算は、10といくつで考えるとよいのですね。では、今日の学習をまとめましょう。
学習のまとめ
10より大きい数の計算は、10といくつで考えるとよい。
評価問題
①10+5 ②10+7
③12-2 ④16-6
子供に期待する解答の具体例
①15 ②17 ③10 ④10
感想例
- 数えなくても、10といくつを使うと簡単。
- 10といくつを使うと他の計算もできそう。
板書例とワークシート
イラスト/横井智美、やひろきよみ