小1算数「整理しよう」指導アイデア《データを絵グラフに表し、データの特徴を読み取る》
執筆/福岡教育大学附属福岡小学校教諭・渡邉駿嗣
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏
目次
単元の展開
第1時 データの個数と種類に着目しながら整理し、よりよい整理の仕方を考える。
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第2時 簡単な絵やグラフから、データの個数や特徴を読み取る。
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第3時(本時)データを絵グラフに表し、データの特徴を読み取る。
本時のねらい
自分たちが集めた虫のデータについて、落ちや重なりがないように数え、絵グラフに表す方法を考え、正しい絵グラフをつくることができる。
評価規準
場面のデータと絵グラフの対応を理解している(知識・技能)
本時の展開
生かつかの 学しゅうで 見つけた 虫の しゅるいを しらべましょう。
生活科の学習で、学校にいる虫探しをしにいきましたね。
いろいろな種類の虫がいました。
見付けた虫ごとにシールの色を変えて、学校地図に貼っていきましたね(図1)。どの虫が一番多かったですか。
【図1】
ダンゴムシかな。バッタかな。
地図を見ただけでは、どの虫が一番多いのかすぐに分かりませんね。困りましたね。
絵グラフで表したら、すぐに分かると思います。
絵グラフに表したら、どの虫が一番多いか分かります。
では、今日はどんなめあてで学習をしますか。
見付けた虫の数を絵グラフに表したいです。
グラフに表して、どの虫が一番多いか確かめます。
では、めあてを書きましょう。
虫の数を絵グラフをつくって調べよう。
見通し
絵グラフをどのようにしてつくりますか。
地図から虫を見付けて、絵グラフにシールを貼ります。
私は、チョウから貼ろうと思います。
虫がたくさんありますが、大丈夫ですか。間違えずに数えるためにはどうしたらよいでしょうか。
数えた虫に印をつければよいと思います。
○で囲むとよいと思います。
なるほど。そうすれば、同じところを何回も数えなくて済みそうですね。では、みなさんが言うように、地図に○などの印をつけながら虫の種類ごとの数を調べて、絵グラフをつくりましょう。そして、気付いたことを書きましょう。
※すべての種類の虫が位置付けられた絵グラフ全体の台紙を渡してもよいですが、ここでは、虫の種類ごとに絵グラフを縦に切った4つのパーツを渡しておき、子供が好きな順序で虫の数を調べることができるようにします。また、この素材では絵に色を塗るのは難しいことから、シールを準備します。
※1人1台端末で、虫のカードの複製や移動で絵グラフをつくることができるような学習環境が準備できれば、その環境で学習してもよいでしょう。
自力解決の様子
A つまずいている子
虫の数を絵グラフに表そうとしているが、数を数え間違っている。
B 素朴に解いている子
虫の数を絵グラフに正しく表すことができている。
C ねらい通り解いている子
虫の数を絵グラフに正しく表すとともに、「バッタが一番多い」のようにデータの特徴を捉えることができている。
学び合いの計画
まず、虫の種類ごとの数の確認をしていきます。落ちや重なりなく数えるための具体的な方法をAの子供にも理解させるために、教師があえて印をつけずに同じ箇所の虫を数え間違うようにします。このことで、印をつけて数を正確に数える方法を確認していきます。
次に、4つのパーツを並べて完成させた絵グラフを見て、データの特徴を考えていきます。絵グラフに表すことによって、どの虫が一番多いかがひと目で分かることを本時でも繰り返し確認します。
4つのパーツに分けて数を数えさせたことで、虫の数が多い順(少ない順)に並べた絵グラフをつくる子供もいるでしょう。このグラフを取り上げることは差し支えありませんが、第1学年の段階でこうしたグラフを全員にかかせる必要はなく、どの順序で並べたグラフであっても、絵グラフに表すと一番多い虫がすぐに分かることの理解が本時の主眼です。
ノート例
A つまずいている子
B 素朴に解いている子
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
虫の数を数えていきましょう。まず、チョウは何匹ですか。
チョウはこことここにあります。2匹です。
では、前の絵グラフにシールを貼れますか。
※チョウの絵グラフのパーツを黒板に貼って、子供にチョウのシールを2枚貼らせる。
次にカマキリを数えられますか。
※多くの子供たちが「数えたい」と言う。
数えたいと言っている人が多くて素晴らしいですね。ちょっと、先生が数えてみるので、合っているかどうか、よく見ておいてくださいね。
※○を付けずに、重複して数える。
1、2、3、4、5、6。カマキリは6匹ですね。
違います。私は5匹になりました。
おかしいですね。数え方がよくなかったのでしょうか。
あのカマキリを2回数えていました。
チョウみたいに、○をつけたら間違えないと思います。
そうでしたね。では、○を付けながらカマキリを数えてくれる人はいますか。
※ある子供に、黒板の図のカマキリに○をつけながら数えさせる。
(○をつけながら)1、2、3、4、5。カマキリは5匹です。
なるほど。カマキリは5匹ですね。やっぱり○をつけたほうが間違いないですね。では、カマキリも絵グラフにシールを貼ってもらいましょう。
※カマキリの絵グラフのパーツを黒板に貼って、子供にカマキリのシールを5枚貼らせる。以下、他の虫についても同様に数えて、確認する。
さっき、みなさんは虫の数を数えて、シールを貼りましたね。机の上の虫の数が、黒板の虫の数と同じになっているか、隣同士で確認しましょう。もし違っていたら、新しい紙とシールをあげるからやり直してみましょう。
※4種類の虫について、正しい数のパーツを完成させる。
それでは、4つの紙を横に並べて、ノートに貼りましょう。
どの虫から貼ればいいのかな。
順番は自分の好きなようにしていいですよ。
※各自のグラフ完成後。
これでノートにもグラフが完成しましたね。グラフを見ると、どんなことが分かりますか。
バッタが一番多いです。
チョウが一番少ないです。
※以下は、必要に応じて取り上げます。
(大きい順に並べた絵グラフをICT環境などを利用して提示する)このようなグラフを書いた人がいました。このグラフにはある「きまり」がありますが、分かりますか。
数が大きい順に並んでいます。
階段みたいだね。
数が一番多い虫と、少ない虫は分かりますか。
バッタが一番多くて、チョウが一番少ないです。
グラフはいろいろかけるみたいですが、バッタが一番多いことはどのグラフでもすぐに分かりますね。
学習のまとめ
今日のめあては、「虫の数を絵グラフで表して調べよう」でした。絵グラフに表すときに気を付けたことや分かったことを言いましょう。
印をつけながら数えると正しく数えることができました。
グラフに表すとバッタが一番多いことがぱっと分かりました。
チョウが一番少ないことも分かりました。
印をつけると絵グラフを正しくつくることができる。
評価問題
虫が なんびきか かぞえて、えグラフの まちがいを 見つけましょう。
子供に期待する解答の具体例
・バッタが7匹なのに、絵グラフは6匹になっている。
感想例
・他のものも絵グラフに表してみたい。
イラスト/横井智美、やひろきよみ