「学級納め」に向けて注意すべき3つのポイント
冬休みが明けて、まもなく3学期がスタートします。学級納めに向けて3学期に注意すべきことは何でしょうか。鳥取県の公立小学校で、若手教員に寄り添い続けた友定章子先生が解説します。
執筆/鳥取県公立小学校非常勤講師・友定章子
目次
3学期はあっという間に過ぎていくもの
いよいよ3学期がスタートしますね。昔から「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」と言われ、正月から3月までは行事も多く、あっという間に過ぎてしまうことを形容しています。6年生は、卒業式まであと45日あまり、5年生以下も50日たらずの登校です。
年末年始をはさみ、子供たちの生活リズムは崩れがちになりますので、新しい年を迎えるにあたって、改めて学年納め(修了式)に向けて具体的な予定を立てましょう(詳しくは、以下の「3学期 終了式までのカウントダウンカレンダー」を参照してください)。
3学期は、学級で楽しい活動の計画を立てたり、6年生を送る会の準備(練習)等があったりするため、学習の時間が思ったより少なく感じると思います。テストの予定を立て、成績や所見などは早目に終えられたりするよう計画を練り直しましょう。
どの学年を担任していても、子供たちに「1年間、ありがとう」と言って笑顔で1年を終えたいですね。そのために、見通しをもって最後まで頑張りましょう。もうひと踏ん張りです!
資料1「3学期 終了式(卒業式)までのカウントダウンカレンダー」(Excel)は、上記ボタンをクリックしてダウンロードできます。行事の予定等を加除修正してご活用ください。
ポイント① 学習進度の見直しをしよう
〇教科書の内容は、3月の第1週目までに終了する
3学期は、6年生を送る会や新入生の体験入学等、様々な学校行事が計画されています。それに向けての準備の時間も必要になります。3か月分の週案を立て直し、学習内容に落ちがないか、テストの実施日等も考えて予定を立てておくことをお勧めします。
〇副教材としてのドリルやワークシート、テストはすべて終了する
保護者のお金を使って教材を購入しています。自分の学級だけが副教材を使っていないとか、ドリルがすべて終わっていないということがないようにしましょう。年度末には、保護者が確認できるようにすることが絶対条件です。
〇各教科の教材(図工、書道)や作品を計画的に返却する
作品が完成しないという状況が生まれないよう、もう一度計画を見直しましょう。そして、作品は最終登校日にまとめて返却するのではなく、少しずつ返却し、計画的に家に持ち帰らせましょう。
ポイント② 子供たちが進学・進級への期待をもてるようにしよう
〇1年間の振り返りをする
1年間の振り返りをして、4月の自分と今の自分を比較してできるようになったこと(学習や生活習慣等について)を明確にします。
4月に「こんなことを頑張りたい」と書いた目標(どんなことができるようになりたいか、どんな学級にしたいかなど)を個々に配付して振り返りを行います。もし、何もなければ、学習したこと、運動会や学習発表会での活躍を思い出し、振り返りをするとよいでしょう。振り返りをして、自分の成長を友達や家族と一緒に喜びたいですね。
もちろん、先生も一人一人の成長を言葉にしてメッセージを送りましょう。
〇〇さん、かけ算九九を覚えるのが速かったね。水泳では、15mも泳げるようになったね。
□□さん、休み時間、自分が遊びたいことより、下級生のやりたいことを優先して一緒に遊んであげていることがよくありましたね。あなたの優しさは下級生の憧れです。
〇不安が解消するメッセージを伝える
進学・進級に向けての不安もあると思いますが、来年度への楽しみや期待が膨らむように、子供が春休みの間に準備できることを考えられるように助言しましょう。
子供の不安は、漢字や算数の学習内容についてが多いので、「春休みの間に〇〇を復習しておくと、〇年生になった時に自信をもって学習できます」と伝えるのもよいでしょう。一人一人の苦手な教科や単元を洗い出して、個々に伝えることも有効です。
「〇年生になると、林間学校があります」のように、学校行事に対する楽しみも進級への期待感につながります。
ポイント③ 学年末の事務手続きに向けて準備しよう
春休みは、教師にとって学年のまとめと新学期の準備で大忙しです。以下の点に注意しましょう。
〇指導要録(学習状況や生活についての個人の記録)記入の準備
指導要録は、通知表とは評定等が違うため、注意しましょう。指導に関する事項は5年、学籍に関する事項は20年保存することが義務付けられています。また、写しは中学校へ送られます。
〇健康調査、家庭環境、指導記録等の引継ぎのための整理
健康調査(アレルギーや服薬、身体的配慮が必要なこと)は、養護の先生と確認しておきましょう。
家庭環境(保護者の仕事の関係で家庭との連絡が取りにくい、何かあった時の緊急連絡先等)については、2年ごとに保管、毎年リニューアル等、学校によって対応が違うので確認しておきましょう。
指導記録は、その子にどんな支援や配慮が必要だったのか、次の学年でも共有しておくとよいことを書き留めておきましょう。例えば、叱るときは言葉だけでなく視覚支援すると伝わりやすい、視力が弱いので前の席を希望、図工の学習では個別の配慮が必要等です。
〇使っていた教室をきれいにする
1年間、子供たちと過ごした教室は、次の学年が使用するため、きれいにして引継ぎます。
掲示板の画鋲、子供たちの机と椅子に付けた名札はすべてはがします。教材や作品を保管していた棚、ロッカーや下足場は空にして、子供たちと一緒にきれいに拭き掃除をしておきましょう。
教室で使った机や椅子は、子供たちの身長に合わせて配置してあります。机や椅子を号数ごとに並べておくなど、学校によって対応が違うので確認をして、その決まりに従います。
また、先生が使っていた教師用の机の中は、春休みの間に空にしてきれいに拭き掃除をしておきます。学校で出たごみの中には、名前が書いてある個人情報がたくさんあるので、シュレッダーにかけるなど、捨て方には十分配慮しましょう。
2025年度より、新任・若手教員に向けた友定章子先生の連載がスタートします。第1回は、2025年3月公開予定です。こちらもお楽しみに!
長年、小学校教員(講師、教諭、教頭)として鳥取県の学校現場で勤務。2010年、鳥取県エキスパート教員(算数科)任命。2022年、広島大学大学院に進学、算数の授業を通して教員養成の在り方について研究。2024年、教育学の学位を取得。算数のエキスパート教員として先生方に授業を公開しながら算数の授業改善を目指す。若い先生方の力になりたいと学校心理士の資格を取得する。『初等教育資料』(東洋館出版社)等に執筆。
イラスト/イラストAC