小1国語科「のりものカードをつくろう」板書例&全時間の指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小1国語科「のりものカードをつくろう」(東京書籍)の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末の活用例等を示した授業実践例を紹介します。

 小一 国語科 教材名:「のりものカード」をつくろう(東京書籍・あたらしいこくご  一下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/熊本大学大学院教育学研究科准教授・北川雅浩
執筆/東京学芸大学附属小金井小学校・橋浦龍彦

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、「書くこと」の指導事項として、「必要な事柄を集めること」と「簡単な構成を考えること」をねらいます。目的に沿って取材や文章を構成することができるよう、児童にとって目的のある単元をデザインすることが大切です。

「のりものカード」は、何のために、誰に向けて書き、書いてどうするのか。児童がこの三つを自ら設定し、主体的な学びにつながるよう、「いろいろなふね」(https://kyoiku.sho.jp/271684/)からの見通しをもった単元をデザインしていきましょう。

「のりものカードをつくろう」では、「いろいろなふね」で読んだ船の役目とつくりを生かして書くことを目指します。それぞれで本を読んで調べたことの中から題材を設定した後、必要な事柄を集めたり確かめたりして、伝えたいことを明確にしていきます。「必要な事柄」とは、選んだ乗り物の役目とつくりです。

児童は、興味をもって図鑑などの本を読み、「こんな乗り物もあるのか」と驚きとともに読書を楽しむことでしょう。乗り物の情報を楽しむことを大切にしつつ、必要な情報を意識しながら読むことと両立していきたいものです。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

「のりものカードをつくろう」は、「いろいろなふね」に続いて掲載されており、2教材を使った「読むこと」と「書くこと」の複合単元ともいえます。長丁場の学習になりますから、「教科書に載っているから書く」のではない、主体的な学習にしていきたいものです。

本単元の言語活動としては、次のような過程があります。

 ⑴ 図鑑から自分の題材(乗り物)を設定する
 ⑵ 必要な情報(役目とつくり)を集める
 ⑶ 集めたメモや文例等をもとに、文章構成を検討する
 ⑷ メモをもとにカードを書く
 ⑸ 推敲する
 ⑹ 文章を読み合って内容や表現のよいところを見つける

これだけの活動がありますから、一律に題材の設定、取材、構成…と進むことは難しいでしょう。それぞれが、これらの学習過程を自分のペースで行き来できるよう、児童一人一人が毎時間のめあてを設定することを心掛けましょう。

4. 指導のアイデア

本単元の内容に興味をもたせるためには、「のりものカードをつくろう」の学習を始める前、できれば「いろいろなふね」を読む前から、教室に乗り物の図鑑などの本を置いておくことが有効です。学校司書や司書教諭の先生と協力して、学校図書館や市区町村の図書館などから集めるとよいでしょう。

本を設置、紹介した後、子供たちが自ら手に取って読んだり、友達や教師に図鑑の話をしたりしたらチャンスです。「みんなに教えてあげよう」と促したり、「一番面白いことだけが書いてあると、いつでも誰でも簡単に読めるんだけどなあ」とつぶやいたりしていくと、児童から「それなら、自分たちでカードをつくろう」という声があがってくると思います。図鑑のコピーや見本となるカードを掲示しておくことも効果的です。

今回の学習で書けるようにしたい文章では、選んだ乗り物の役目とつくりがしっかりとつながっていることが大切です。そのためには、ペアで確認し合う場面をとったり、本単元で紹介するようなゲームをしたりするとよいでしょう。また、情報の不足したカードや、乗り物の写真・イラスト等を提示し、何を書くか話し合うことも有効だと考えます。

例えば、タンクローリーのイラストと、乗り物の名前のみが書かれたカードを提示します。どのような情報があるとよいか、児童と話し合い、既習の「いろいろなふね」に立ち返ることで、役目とつくりの必要性を感じることができるでしょう。

その際、「『いろいろなふね』に書いてあるから」ではなく、「何のための乗り物なのかは必ず知らせないと、そのつくりの意味が伝わらない」というように、必要な事柄と、その事柄を集める意義を明らかにすることが大切です。

5. 単元の展開(7時間扱い)

 単元名: ぴったりの「のりものカード」をつくろう

【主な学習活動】
・第一次(1時
① どのような文章を書きたいか話し合い、単元の見通しをもつ。 

・第二次(2時3時4時5時6時
② 生活の中で見た乗り物を振り返ったり、図鑑などの本を読んだりし、題材の候補を集める。
③④ 図鑑などの本を読み、選んだ乗り物の役目とつくりをメモする。
⑤ グループでメモの「神経衰弱」をして、役目とつくりのつながりを見直す。
⑥ メモをもとに、「のりものカード」を書き、推敲する。

・第三次(7時
⑦「のりものカード」を読み合い、役目とつくりのつながりに注目してよさを伝え合う。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
「のりものカード」づくりへの意欲を高める

第1時では、「カードを書きたい」という思いをもつことを目指します。そのためには、「4.指導のアイデア」に示したように、本単元に入る前から関連する図書を教室に配架しておくとよいでしょう。
児童が乗り物についての関心を高めた状態で、単元の学習をスタートさせることができます。
本時では、知りたいという思いから伝えたいという意欲につなげ、どのような方法で伝えるかを話し合っていきました。

「のりものカードをつくりたい」という思いをもつことができたら、すぐ教科書の文例を読ませて書き方を教えるのではなく、児童の力でどのようなカードにしたいのか、話し合います。漠然とでも構いません。どんなことを書きたいか、どのように書きたいかを話題にして、目的をもたせましょう。この時間は書く目的を耕し、2時間目にじっくり図鑑や電子書籍などを読むことができるようにします。

また、教師としては、役目とつくりのつながりをおさえたいところですが、この段階では多くの児童が「もっと乗り物のことを知りたい」「カードで伝えたい」という意識にとどまっているでしょう。
題材が決まり、メモをし始める頃(第3時頃)から役目とつくりのつながりを意識させるつもりで、気長に進めましょう。

もっといろいろな乗り物のことを知りたいです。

船の他にも、乗り物はたくさんありそうです。

「いろいろなふね」の1年2組版をつくってみたいです。

「いろいろなふね」で読んだことが生かせそうですね。

みんなでまとめれば、本になりそう。

最後は本にしてもいいけれど、一人一つ書いたら、それを全部まとめて貼れば、たくさんの人に同時に読んでもらえそう。

 一人1ページ、カードみたいにつくろうよ。

( 単元のめあて「のりものカードをつくろう」を設定する。)

カードには、どんな乗り物を書きたいですか。

自分の一番好きな、はしご車のことを書きたいです。

自分のお気に入りの乗り物を書きたいのですね。

教科書の「いろいろなふね」にはない乗り物を、図鑑で調べて書きたいです。

私は、クラスのみんなに読んでほしいけれど、みんなも図鑑で調べると思うから、みんなが目をつけないような珍しい乗り物を見つけて書きたいです。

分厚い図鑑ばかりですから、まだ知らない役目のある乗り物も見つかりそうですね。

つくりも、驚いてもらえそうなつくりを書きたいです。


【2時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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