「紙芝居舞台」を使った読み聞かせ|子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア#8

連載
子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太
「子供たちの可能性を引き出す!学級経営&授業アイデア」バナー 執筆:鈴木優太

自ら考え、活動したり学習したりする子供たちの可能性は無限大。そうした子供の内に秘めている可能性を引き出すための「学級経営&授業アイデア」を紹介する連載です。『教室ギア56』(東洋館出版社)などの著書をもつ鈴木優太先生が、学級活動、教室環境、授業アイデアなどの中から、毎月1本厳選して解説します。第8回は、「紙芝居舞台」を使った読み聞かせを取り上げます。

執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太

子供の聴く力が向上する

紙芝居舞台。「紙芝居舞台」は、学校の図書室や地域の図書館で借りることができます。
「紙芝居舞台」。学校の図書室や地域の図書館の中には、「紙芝居舞台」を貸し出しているところがあります。

子供たちの聴く力を高める、最も簡単な方法があります。

「紙芝居舞台」を使った読み聞かせをするのです。

「紙芝居舞台」は、木製のシンプルな舞台装置です。「紙芝居を始めまーす!」と言うだけで、子供たちはワクワクです。舞台を開けていくと、紙芝居のタイトルが見えてきて、子供たちは一気に物語の世界に引き込まれます。紙芝居の絵が引き立ち、画面が大きく見えるため、臨場感のある鑑賞体験ができます。子供たちの視線は集中し、物語の世界に没入する効果があるのです。紙芝居の本気の実力を引き出す不易の道具です。

紙芝居は、枚数が決まっています。8枚、12枚、16枚の3種類です。枚数が多くなるほど、高度な内容になります。それでも最大で16枚ですから、とにかく分かりやすさを意識してストーリーが作られています。不要な要素は極力省かれており、伝えたいことが簡潔に表現されています。子供たちの集中力を持続する演出も取り入れられており、飽きずに物語の世界に入り込むことができる工夫がちりばめられています。

「紙芝居舞台」でワクワク感と集中力が高まり、子供たちの聴く力を育みます。
「紙芝居舞台」でワクワク感と集中力が高まり、子供たちの聴く力を育みます。

「紙芝居舞台」を使うことで、視覚的な要素と参加型の要素が組み合わさっている紙芝居の旨味を、存分に味わうことができます。ワクワク感と集中力が高まるため、子供たちの聴く力が育まれるのです。

教師の語りの力も向上する

教師の語りの力を磨く、最も簡単な方法があります。

「紙芝居舞台」を使った読み聞かせをするのです。

楽しい紙芝居を読んでいるうちに、みるみる教師の語りの力も磨かれていきます。
楽しい紙芝居を読んでいるうちに、みるみる教師の語りの力も磨かれていきます。

「紙芝居舞台」を使うと、紙芝居が自立します。紙芝居は絵本と違い、画面から紙芝居を1枚ずつ抜く演出が特徴です。この抜く動作に、様々なテクニックがあります。

・ゆっくり抜く
・途中で止める
・読みながら抜く
・揺らしながら抜く
・素早く抜く などなど

紙芝居には、このような抜き方の指示が明記されているものがほとんどです。

「ぬく」の指示がある紙芝居の裏面。
「紙芝居舞台」の裏側。「抜く」演出を、最大限に生かすために「紙芝居舞台」を使いましょう。

一番の強みである抜く演出を最大限に生かすために、「紙芝居舞台」を使いましょう。紙芝居が自立するので、演じ手の教師は物語を読むこと、そして抜くことに集中できるのです。

紙芝居は、演じ手が観客に語りかけるように読み聞かせます。向かい合っているため、互いの表情がよく見えます。声の抑揚や速度や間、抜く演出を通してコミュニケーションが発生します。感情を共有しながら、演じ手と観客、観客同士が一緒に作品を楽しむ空間が生まれていきます。

楽しい紙芝居を読んでいるだけなのに、みるみる教師の語りの力が磨かれていきます授業がめきめき上手になるのです。紙芝居を読み聞かせすることは、演じ手である教師にとっても豊かな成長の機会になります。リズムや緊張感をコントロールする方法を体得し、聴衆を引き込む語りの力が向上します。

「紙芝居舞台」を借りよう!

絵本の読み聞かせに取り組まれている先生方はたくさんいらっしゃると思いますが、紙芝居の読み聞かせも、とってもいいもの。紙芝居は名作揃いです。物語以外にも、道徳の教材や平和や環境へのメッセージが込められたものなど、本当に様々なジャンルのものがあります。古くて新しい、そんな新鮮さを感じる子供たちや先生方もいるかもしれません。高学年も夢中になります。

紙芝居は、色とりどりのジャンルの名作揃いです。
紙芝居は、色とりどりのジャンルの名作揃いです。

紙芝居は、日本生まれ日本育ちの誇るべき文化です。誕生したのは、1930年頃です。自転車の荷台に舞台を取り付け、屋外で演じる街頭紙芝居も一世を風靡しました。現在では、「KAMISHIBAI」として、海外のたくさんの国へと広がっています。

昭和56年9月20日から勤務校で使われている「紙芝居舞台」はまだまだ現役です。埃がかぶっていたらもったいないです。
昭和56年9月20日から勤務校で使われている「紙芝居舞台」はまだまだ現役です。埃がかぶっていたらもったいないです。

学校の図書室や地域の図書館の中には、「紙芝居舞台」を貸し出ししているところがあります。カウンターで尋ねてみましょう。私の知り合いの中には、紙芝居に惚れ込んで「紙芝居舞台」を購入された方や、自作した方もいます。

子供たちは教師の声が大好きです。教師と子供の関係構築にも絶大な効果があります。そして、仲間と一緒に物語を共有する一体感は、子供たちの成長を促す上で欠かせない要素です。紙芝居の読み聞かせは、子供たちの豊かな心と人間関係を育てる上で重要な役割を果たすのです。

「my紙芝居舞台」で、読み聞かせをしてくださった先輩教師の自宅にて。
「my紙芝居舞台」で、読み聞かせをしてくださった先輩教師の自宅にて。

子供も教師も、よい環境でよい体験を重ねましょう。さあ、「紙芝居舞台」を借りるだけです。

童心社オリジナル紙芝居舞台


鈴木優太(すずき・ゆうた)●宮城県公立小学校教諭。1985年宮城県生まれ。「縁太(えんた)会」を主宰する。『教室ギア56』『教室ギア55』(共に東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)など、著書多数。

参照/鈴木優太『教室ギア56』(東洋館出版社)、鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)、鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)、多賀一郎監修、鈴木優太編、チーム・ロケットスタート著『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク』(明治図書出版)

【鈴木優太先生 連載】
自治的な学級をつくる12か月のアイデア(全12回)
子供同士をつなぐ1年生の特別活動(全12回)
どの子も安心して学べる1年生の教室環境(全12回)

【鈴木優太先生 ご著書】
教室ギア56(東洋館出版社)
教室ギア55(東洋館出版社)
「日常アレンジ」大全(明治図書出版)
学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク(明治図書出版)

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