これでできる!小学校の音楽科「打楽器指導」の基本とポイント
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打楽器の魅力は誰でもすぐに音が出せるのに、突き詰めると奥が深いところです。まずはリズムを楽しむことから始めましょう。打楽器奏者の山本晶子さんに指導をしていただきました。キッチン用品を使ったユニークな演奏も紹介していますので、ぜひチャレンジしてみてください。
山本晶子(やまもと あきこ)●打楽器奏者、パーカッショングループ「フラワービート」代表。静岡県出身。国立音楽大学、大学院ともに首席で卒業。第19回日本管打楽器コンクール打楽器部門第1位受賞。カスタネット、トライアングル、タンバリンといった小物打楽器の演奏法の研究を行い、楽しいリズムアンサンブル曲を多数作曲。全国各地の小学校の音楽鑑賞会や、教師向け講演会に数多く招かれる。
目次
1.打楽器を楽しく演奏するための指導ポイントは?
ポイント1 「指導者が楽しんでいる」ということが大事
例えば、難しいリズムは「ことば」にのせましょう。特に、子供の名前や食べ物などを使うと子供が喜び、意欲的になります。
ポイント2 「簡単そうな楽器でかっこいい演奏を、指導者が実演する」というのも効果的
授業の最初の5分間に常時活動としてリズム遊びを取り入れます。そうすることで、リズムに対する興味、理解が深まり、楽曲に取り組む際、自然にリズムが取りやすくなることでしょう。
2.高学年で取り扱う打楽器は?
ポイント1 木琴にプラスしてマリンバを取り入れる
どの学年も基本的には教科書に掲載されている楽器が中心になるでしょう。中学年は、木琴、鉄琴、箏など旋律和楽器、高学年では木琴にプラスしてマリンバを取り入れることで、合奏の音色が豊かになります。
ポイント2 カスタネットやタンバリンの叩き方を工夫する
カスタネットやタンバリンなどの小物打楽器は低学年で扱うものというイメージがありますが、実はとても奥深い楽器です。いろいろな奏法を工夫することで、多種多様な音色を奏でられます。
〈木琴〉
マリンバ 本体、鍵盤が大きく柔らかい音がします。
シロフォン 一般の人がイメージしている「木琴」はこちら。マリンバより本体、鍵盤が小さく、コロコロと硬い音がします。
〈タンバリン〉
「叩く」の中にも種類がいっぱいあり、「振る」にもいろんな振り方とそれに伴う音色があり、少しテクニックが必要なかっこいい奏法もあります。それらの奏法を指導者ができなくても、子供たちと一緒に楽しみながら、「どう叩くとどんな音色がする?」など音色と奏法の探求、発見も授業の魅力のひとつになります。
〈マリンバ〉
マレットは人差し指と親指で柄の真ん中くらいをもち、マリンバはパイプの上を叩くようにします。
マレットは、素材によって音色に変化が付きます。出したい音の高低で変えるとよいでしょう。右の毛糸から順に低音から高音になります。
〈大太鼓〉
大太鼓は、真ん中を叩くようにします。
〈グロッケン〉
グロッケンは手の中心でマレットの柄の真ん中より少し上をもつようにすると、叩きやすくなります。
高学年もカスタネットを楽しもう
自分のオリジナルの 「カスタネット」の叩き方を探してみよう!
低学年で習った「タン」と「ウン」方法以外の叩き方を、子供たちみんなで探します。
〈カスタネット〉
「タン」と「ウン」方法以外にも指を使ったり、グーで叩いたり、払い打ちしたり、持っている手を握って打つなど、叩き方がいろいろあります。
カスタネットのいろいろな叩き方
カスタネットのいろいろな叩き方を使って、演奏しよう。
【参考動画】カスタネットの「叩き方いろいろ」
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3.キッチン用品で演奏しよう!
鍋、ボール、フライパン、しゃもじ、おたま、まないたなど、キッチン用品を使って楽しく演奏ができます。
(※キッチン用品は壊れてもよい古くなったものを使ってください)
おもちゃの兵隊の行進曲のリズムをキッチン用品で演奏しよう。
台所用品(鍋、フライパン、鍋のふた、しゃもじ、ボール)などを1人1つ持ちます。台所用品のソロパートは、誰がどの番号のソロパートを担当するか相談して決めましょう。ソロを担当する人も、ソロでないところは1、2のどちらかのパートに入ります。
おもちゃの兵隊の行進曲 ~「キユーピー3分クッキング」テーマ曲~
作曲 イエッセル/編曲 山本晶子
【参考動画】 おもちゃの兵隊
監修/志民一成 協力/東京都立川市立柏小学校
取材・文/浅原孝子 撮影/和氣 淳
『教育技術 小五小六』2020年1月号より